1.ふしぎ概説
学園世界には、一般に「認知」されていない「ふしぎ」と呼ばれるものがあります。「ふしぎ」は極めて包括的な概念で、その内容は宇宙人、幽霊、アンドロイド、悪魔、魔術、ESP、精霊、未来人、時空の歪み、魔女、UMA(未知動物)、地底人、妖怪、人体自然発火、クローン人間、半魚人など多彩です。こうした「ふしぎ」が、学園世界では時折その姿を垣間見せます。しかしそれは、あくまで非日常の存在としてです。この「ふしぎ」という概念はこの世界独自のもので、次のように定義されます。
◆ふしぎ:現実世界に於いて、一部の人間がその存在を半ば狂信的に、あるいは半信半疑で信じているが、その存在が実証されているわけではなく、一般には広く現実にはあり得ない(と考えられている)モノ。学園世界に於いても、一般的に実証はされておらず、圧倒的大多数の人間はその存在も知らない。但し、一部にはふしぎと遭遇したと証言する人々がいる。
ふしぎはあくまで、世界の秩序外の存在です。多くの人はふしぎの存在を正確に認識してはいません。ただし、ふしぎは現実に存在するのですから、人々のふしぎに対する考え方も現実世界とはかなり違ってきます。
たとえば、ふしぎと遭遇したことのある人はどれくらいいるかというと、「知人の知り合い」がふしぎと遭遇したことがある人は、全人口の5割程度です。
そうなってくると、たとえば友人からふしぎな話をされても、対応が変わってきます。自分や直接の知り合いがふしぎに遭っていなくても、口伝てで聞いている人は多いですから、たとえば「放課後の教室に白い影を見た」といった場合、「見間違いじゃないか」などと確かめるということをするとしても、誰も彼もが一笑に付す、という状況ではなくなります。
では、そんなに多くの人間がふしぎと接触しているのに、何故ふしぎの存在が認められないのでしょうか。当然、それには理由があります。
まず、ふしぎというのはさまざまな事柄を総体として表した用語であって、それぞれのふしぎの間に明確な連関があるわけではない、ということを前提として理解していただきたいと思います。
たとえば、ある人は宇宙人に襲われたと証言するとします。またある人は、妖精との遭遇を熱心に語るかもしれません。しかし、宇宙人と妖精の間には明らかな論理的連続性は何もないのです。自称「宇宙人襲撃の被害者」が「妖精との遭遇者」に理解を示すとしても、それは「世の中には信じられないことが実在する」という実感を持っている者同士、またはそれにより世間で白眼視されている者同士の連帯感であって、一義的に妖精の存在を認めているわけではないのです。
シーラカンスが現代まで生き延びていたからといって、大陸移動説が証明されるわけではないのです。
また、ふしぎの側にも、さまざまな事情があります。たとえば魔術を現代に蘇らせた人物がいたとしても、彼はそのことを世間に公表したりはしません。そのようなことは、結局のところ彼に不利にしか働かないからです(マスコミが押しかけてきたり、行動が監視されたりとか)。
このようにしてふしぎは、常にイレギュラーな存在なのです。
次の項では、これまでのシナリオなどをもとに、ふしぎの傾向、不思議スポットなどを紹介します。シナリオ作成の参考にはなるかもしれませんが、GMを務めない場合には、シナリオの興を削ぐだけの結果に終わりかねませんので、読むことをお勧めしません。
★戻る★
★次へ★