「妹の日」記念シナリオ リプレイ

 

 第11幕 病院にて

 

GM:では、病院です。3時ちょっと前かな。

瀬戸愁也:ヤバイな……。

今井笑美子:「こっちこっち」

愁也:急いで行きます。

笑美子:お母さんのことを心配してくれてるのかな(笑)。

怜花:違いますよ。

笑美子:ひどいな……。

愁也:「ICU?」

笑美子:「お母さん。お兄ちゃん、連れてきたよ……」

愁也:ではその、痛々しい様子を見て……。

GM:もう、まぶたを開けるのも辛そうな感じですが、あなたの姿を、うっすらと開けた瞳の奥に認めて。

今井幸香(GM):(消え入りそうな声で)「愁、也……?」

愁也:近寄っていって、手を取りましょう。屈み込んで耳元に、「母さん、俺だよ。大丈夫?」。

GM:言葉を詰まらせている。

愁也:くそぉ……。

GM:喋れない?

愁也:喋れないんですよ、こっちも。

一同:(無言)

幸香:「元気に、してる?」

愁也:「俺は元気だよ」

幸香:「いま、幸せ?」

愁也:「幸せにしてる」

笑美子:後ろで頷いているな、わたしは。

幸香:「そう……」

GM:そう言って彼女の頬を、冷たいものが伝います。

愁也:「だからさ。母さんも弱気にならないでさぁ。ね?」

幸香:(無言で愁也を見つめる)

愁也:ぐぐぐ……。

瀬戸怜花:(冷めた声で)プレイヤーがダメージ受けてますね。

笑美子:そんな冷静にツッコミ入れなくても。怜花(のプレイヤー)が怖い。

怜花:そりゃあねぇ。敵だもん。

愁也:どうしよう。……、じゃあ……。

一同:(無言)

愁也:……。「1人じゃないんだし、母さんも頑張ってよ。ね?」

一同:(無言)

幸香:「笑美子に……、これ以上、迷惑かけられないから」

笑美子:「迷惑なんて……」

GM:ピッ(機械音)。

愁也:! ヤバイッ!

笑美子:え?

GM:彼女は何か苦しそうな顔をします。急に息も荒くなります。

愁也:さすがにそれを見たら……。「か、母さん!」

笑美子:「お母さん?」

愁也:「俺もここにいるから。しっかりしてよ」

GM:じゃあ、看護婦さんがやってきますね。

愁也:「元気出して」

幸香:ハァハァ……(荒かった息が、次第におさまっていく)

愁也:腕を握ります。「俺、ここにいるからさ。母さん、ね? 気をしっかり持って、ね?」

GM:じゃあ、看護婦さんが、愁也君は手を握ってるから、笑美子の方に話そうか。

看護婦(GM):(小声で)「幸香さんも疲れますので、あまり長いご面会は……」

笑美子:「はい、分かりました。お兄ちゃん。お兄ちゃん?」

愁也:「あ、あぁ。ゴメン」

笑美子:「そろそろもう」

愁也:「母さん、俺、外で待ってるからね」

笑美子:「ゴメンね、お母さん。いまはお兄ちゃんだけしか呼べなかったけど、お父さんも連れてきてあげるからね」

GM:じゃあ、そうですね。言葉を発する力は、いまは疲れていてないようですが、かすかに、ゆっくり、頷いたような気が、しました。

愁也:フゥ。

GM:で、病室を出ると、待合室みたいなところへ行こうとする途中で、ですね……。

愁也:あの親父かぁ?

GM:こういう声が聞こえますね。

今井源治(GM):「幸香さん、もう、あぶないかなぁ」

親族A(GM):「何とか立ち直ってもらわないと困るよ」

親族B(GM):「幸香さんのトコって、彼女1人だろ? もしものことがあったら、笑美子ちゃん、……なぁ?」

親族A:「源治さん。あんたのトコ、子供みんな成人してるだろ?」

源治:「ちょ、ちょっと待ってくれよ。うちだって生活苦しいんだ。家のローンも、残ってるしさ」

愁也:うぉぉー(絶叫)! さすがに、これは……! 扉に手をかけると、そんな声が聞こえるんですね?

親族B:「婆さんのトコに預けるか?」

今井うめ(GM):「だいたいね、あの、満彦だったっけ? ミツヒコだかムツヒコだか知らないけど、あの男が悪いんだよ。結婚している妻がいるっていうのにさ、それも子供が2人もいてだよ。余所に女作るかね」

愁也:それを聞くと、手がぷるぷると(笑)。

うめ:「これだから都会の男は……。山形にはそんな男は1人もいないよ!」

源治:「ば、婆さん。あんまり大きい声出しても……。いま、あいつのこと言ったってしょうがないだろ?」

うめ:「あたしゃ離婚にはね、最後まで反対したのよ」

愁也:じゃあ、取り敢えず、後ろを見る。

笑美子:口を押さえている。

愁也:「ここで待ってろ」と言って……。

笑美子:「あっ!」

愁也:じゃあ、入る。

笑美子:ダメダメ。それは止める!

愁也:ドアノブは回しちゃったぞ。

GM:ガチャッという音で彼らは……。

愁也:手を出して止めても、もう回しちゃったぞ(笑)。

笑美子:「ダメ!」

愁也:「だけど……」

笑美子:「分かってるの……。だいたい、予想はついてたし……」

愁也:「じゃあ、あいつらに好き放題言わせるのかよ、あんなこと」

笑美子:「そりゃあ、わたしだってああいう風に言われるのは辛いことだけど。だけど! こうなることはお母さんが決めたことで、最初からちゃんと覚悟もしてたことだと思う。わたしのわがままでお母さんに迷惑かけたくないし、親戚のみんなにも、迷惑はかけたくない」

愁也:「じゃあ、お前はそうやって、全部1人で抱え込んで……。お前が持たなくなるぞ」

笑美子:「わたしなら大丈夫」

愁也:「大丈夫って……」

笑美子:「たとえ近くにいなくたって、思い出のお兄ちゃんはわたしを支えてくれる」

怜花:何か言ってみようかなぁ。

笑美子:「ありがと、さっきの。嘘でも嬉しかった」

木村誠二:笑いが止まらんって感じ(笑)。

愁也:じゃあ、ちょっと離れたところへいざなう。こんな奴らの声の聞こえない場所に!

笑美子:「ちょ、ちょっとわたし、用事思い出しちゃった。ちょっと行くね」最後は涙声になりながら走り去る。

GM:ちなみに、ふっとあなたが見た、病院の中に掛けている時計では、いま、3時30分となっていますね。ここからの移動時間とかを考えると、いま出るのが、コンサートに間に合うぎりぎりのタイミングですか。

笑美子:大変だねー。

愁也:「お、おい! ちょっと待てよ!」

怜花:お兄ちゃんに捨てられた……。

笑美子:走る走る。中学で陸上部だったので、「疾走」技能があったりする。

愁也:くそぅ、こんな状況に追い込みやがって……。

怜花:追い込んだのは半分自分ですよ。

愁也:実を言うと自分で追い込んでるんだけどね。

誠二:仕方ないよ、それは。楽しい展開じゃないか。

愁也:取り敢えず追いかけるぞ。

笑美子:追いつかれると、ばつが悪いから、逃げるよ。

怜花:それは対抗判定じゃないですか?

愁也:負けるわ、俺。

笑美子:疾走2レベル。

愁也:疾走なんて持ってない!

笑美子:しかも敏捷が+3。

愁也:敏捷は±0です。……ま、1点だけBPと言っておいてやるか。振る前から宣言したぞ(笑)。

笑美子:さすがに使わない(笑)。

愁也:3Dだからな。5点ひっくり返すのは難しいな。

笑美子:(ダイスロール)8、+5で13か。

愁也:3Dで13か。結構厳しい……。(ダイスロール)お! よっしゃ、13、13。

GM:これは、何とか追いつけるってところですか。

愁也:がしっと腕を掴んで、「どこへ行くんだよ」。

怜花:今度は筋力対抗判定?

愁也:(笑)

笑美子:顔が涙でぐちゃぐちゃです。

愁也:「どこ行くんだよ。またそうやって、全部抱え込むのか? お前、母さんと2人キリでいたとき、いつもそういうコトしてたのか? いつも1人で抱え込んで、1人で泣いてたんだろう」

笑美子:(涙声で)「だい、じょおぶだから」。大丈夫って言ってるんだろうけど、聞き取れない。「わたしは、大丈夫だから……」

愁也:うーん。じゃあ、「こっち来いよ」と言って、ゆっくり座れるところにでも連れていって、座らせて、横に座ってるか。

GM:じゃあ、そろそろ行動を宣言してもらいたいんだが。つまり、コンサートには行かないんだね?

愁也:だって! ……くそ、うぅ……。(絞り出すように)行けない。

笑美子:(笑)

怜花:なるほど。お兄ちゃんはわたしを捨てたんだ。

愁也:いや! そういうつもりはないっ(絶叫)!

笑美子:2人とも捨てない? じゃあ、2人とも……。

怜花:(誠二に)幸せになろうね。

誠二:それが一番だ。お互いにとって一番らしい。

愁也:ま、待ってくれぇ!

怜花:行き先が見えてきましたね。

誠二:見えた。かなり見えた。まぁ、それは現場で色々と。

GM:それにはもうちょっと頑張らないと行けないけどね。

怜花:わたしも誠二とくっつくには(イベント)全然足りませんよ。

愁也:ちなみにマスター、わたしは時間は確認しておいて、コンサートが終わりそうな時間になったら行きますよ。

笑美子:感情設定の、一番上を1アップ(別れへの恐怖:1→2)。それから、4番目を2ダウン(「思い出の中の兄」が壊れることへの恐怖:2→0)かな?

GM:なるほど、2下がるのね。これは当然ですね。他にも、新しい感情の獲得もどんどん宣言して下さいね。

怜花:ここ(笑美子)への感情はまだだなぁ。

笑美子:会ったことないじゃん。

怜花:会いましたよ。

誠二:C級エンドでは、寺崎への友情が芽生えて終わりなんだろうなぁ。

GM:寺崎に「親友」が5くらいになってますよ。ま、それは置いておいて。

 

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