ご存知の通り2010年(第19回)南アフリカサッカーワールドカップの1次リーググループEはオランダ・日本・カメルーン・デンマークという組み合わせで行われ、1位がオランダ、2位が日本という結果に終わった。
今回は 2012年(第14回)ヨーロッパサッカー選手権ウクライナ・ポーランド大会なので、欧州ではない日本とカメルーンを抜いて代わりにドイツとポルトガルが入ることになった。
そう、FIFAランキングベスト10が集結した死のグループの完成である。
そんな死のグループに入ったデンマークは2012年5月26日の1998年(第16回)サッカーワールドカップフランス大会準々決勝以来の再戦となるブラジルとの国際親善試合を1−3で敗れた上に守護神GKトーマス・ソーレンセンが背中を負傷しメンバーを離脱、代わりのGKとしてシュマイケルが招集された。
シュマイケルというのはもちろん1992年(第9回)ヨーロッパサッカー選手権スウェーデン大会の「白夜の奇跡」のGKピーター・シュマイケル、の息子、カスパー・シュマイケルのことであるが、誰もが一瞬父親の方が招集されたのかと驚くようだ。
というわけで初戦の相手は豊富で魅力的なタレント陣による攻撃力が売りのオレンジ軍団・オランダ(FIFAランキング4位、ちなみにデンマークは9位)。
なお、グループBはウクライナ側で試合を行うことになっており、更にオランダは3戦全てこのハルコフで行うことになっている。
試合は、オランダのトータルフットボールによる波状攻撃と言えば聞こえはいいが個人技頼りの精度の悪い攻撃により、そもそもゴール枠内に飛ばない、
ゴール枠内に飛んでもソーレンセンの代わりを務めるGKステファン・アンデルセンがMFウェスレイ・スナイデルのスルーパスからの途中出場直後のFWクラースヤン・フンテラール&FWロビン・ファン・ペルシーの一対一2連発をはじめとして体を張ったビッグセーブを連発、
そのアンデルセンがパスミスをしてFWアリエン・ロッペンにパスカットされてもゴールポストが体を張ったビッグセーブ、と決定力が決定的に足りない。
対するデンマークは防戦一方の中前半24分、DFシモン・ブスク・ポウルセンの左サイドアタックからのクロスボールが相手DFに当たった結果MFミハル・クロン=デリに渡り、そこから鮮やかなキックフェイントで一気にDF3人をかわすとGKの股抜きシュート、このチーム最初のシュートがまさかの先制弾となり、この1点を守り抜いた。
シュート28本中枠内が8本のオランダ 対 シュート8本中枠内が8本のデンマークの明暗ははっきりと分かれ、デンマークはオランダに実に45年ぶりの勝利となった。
そしてリヴィヴで行われた試合はFWマリオ・ゴメスのヘディングと守護神GKマヌエル・ノイアーの堅守でドイツ1−0ポルトガル。
結果、デンマークは1位タイでの発進となった。
グループB | デ | ド | オ | ポ | 勝点 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
デンマーク | − | | ○ | | 3 | 1 | 0 | +1 |
ドイツ | | − | | ○ | 3 | 1 | 0 | +1 |
オランダ | ● | | − | | 0 | 0 | 1 | −1 |
ポルトガル | | ● | | − | 0 | 0 | 1 | −1 |
第2戦の相手はFWクリスティアーノ・ロナウド率いる豊富で魅力的なタレント陣による攻撃力が売りのポルトガル(FIFAランキング10位)。
デンマークはポルトガルと2010年(第19回)南アフリカサッカーワールドカップヨーロッパ予選グループAでぶつかり1勝1分の結果1位通過、今大会予選グループHでもぶつかりお互いホームで勝利して1勝1敗の結果1位通過と近年の相性は悪くないこともあって序盤からポゼッションを優位に試合を展開する。
しかし前半14分、今大会の為に新設されたこのスタジアムの芝に滑ったのか、MFニキ・ジムリングが肉離れで退場し、MFヤコブ・ポウルセンに代わるとそこから流れが変わっていく。
前半24分、MFジョアン・モウチーニョの左サイドからのコーナーキックをDFペペがニアサイドからヘディングで叩き込んで先制。
更に前半36分、MFルイス・ナニのグラウンダーのクロスボールをFWエルデル・ポスチガがニアサイドから叩き込んで追加点。
早くもデンマークは叩き潰されてしまったかと思った矢先、前半41分、FWニクラス・ベントナーの右へのサイドチェンジ→ヤコブ・ポウルセンのアーリークロス→ミハル・クロン=デリがヘディングで逆サイドに切り返す→ベントナーのヘディングが無人のゴールへ、という綺麗な流れで1点を返し、ベントナーがポルトガル戦5試合連続の得点をあげて前半を終える。
ところが反撃もこれからという後半14分、今度はFWデニス・ロンメダールが肉離れで退場し、FWトビアス・ミケルセンに代わる。
後半35分、右へのサイドチェンジからDFラース・ヤコブセンのクロスボールを再びベントナーがヘディングで決め、同点に追いつく。
今大会のデンマーク−ポルトガルはお互いホームで勝利して1勝1敗1分という結果で終わるのかと思ったところ、このままでは後がないポルトガルがここから必死の反撃を見せ、後半39分から投入されたFWシルベストレ・バレラが後半42分、DFファビオ・コエントランのクロスボールを左足で空振りしてから右足で叩き込むという双龍脚なファーストタッチで勝ち越し点をもぎ取る。
その後後半45分からミハル・クロン=デリの代わりに投入されたラッセ・シェーネがペナルティエリア内でフリーになる好機もあったがこのシュートはゴールの枠を捉えず、このまま日本地上波放送で行われたこの試合は終わった。
そしてハルコフで行われた試合はMFバスティアン・シュバインシュタイガー→FWマリオ・ゴメスのホットライン2連発でロビン・ファン・ペルシーによる反撃も及ばずドイツ2−1オランダ。
この結果、全チームに決勝トーナメントの可能性が残る状況となった。
グループB | ド | ポ | デ | オ | 勝点 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
ドイツ | − | ○ | | ○ | 6 | 3 | 1 | +2 |
ポルトガル | ● | − | ○ | | 3 | 3 | 3 | ±0 |
デンマーク | | ● | − | ○ | 3 | 3 | 3 | ±0 |
オランダ | ● | | ● | − | 0 | 1 | 3 | −2 |