君はデンマークを見たか!?



第0.5回:君はデンマークを見るのか!?(2002年5月31日)
 甲斐高風は2002年(第17回)韓国・日本サッカーワールドカップにおいて、デンマークを応援しています。
 ちなみに、日本でデンマークを応援している人は以下の3パターンに大別できますので甲斐高風がどれに該当するのかはご想像におまかせします。

 1.本人か周囲がデンマーク人。
 2.MF小野伸二ファンで彼の所属するフェイエノールト(オランダ)のチームメイト、FWヨン・ダール・トマソンを知っており、トマソンやデンマークを語ることでそこらのミーハーとの差別化をはかる。
 3.1992年欧州選手権の「白夜の奇跡」、まるで『キャプテン翼』のような試合を見せて予選繰り上げ出場(ユーゴスラビアが内戦の制裁措置として出場できなくなったため)から優勝したデンマークとGKピーター・シュマイケルのイメージが抜けない。

 ところで参加国32ヶ国の中で、1次リーグの日本地上波放送がないのはデンマークを含めて4ヶ国くらいです。 同じグループに日本やイタリア等の人気チームがあれば、その国の試合が放送されるため、不人気チームにも出番があるものなのですが、 どうしてフランス−デンマークは放送されないんでしょうか。それともフランスって人気がないんですか?

第1回:ウルグアイ1−2デンマーク(2002年6月1日蔚山)
 初戦の相手はウルグアイ(FIFAランキング24位、ちなみにデンマークは20位)。
 5月31日ソウルでの開幕戦がフランス0−1セネガルという、初出場国が初戦で前回優勝国を破るという波乱により、俄然Aグループが面白くなってきたとの声が高い割には 注目度は0のまま始まった南米の古豪と北欧の雄の対決。恐らくAグループの残り2チームが彼等だと気づかれていないんでしょう。 デンマークのシャドーストライカー?(エースストライカーに気を取らせているうちにこっそり点を取るFW)トマソンが前半終了直前44分に先制し、最高の形で前半戦を終えると、 後半開始1分でDFダリオ・ロドリゲスにあっさりと同点弾を食らうという最悪の形で後半戦を始めるというナイスな試合展開だったが、 後半37分トマソンの2点目が決勝点となった。 デンマークのシュートは7本、うち3本が枠内で、2得点。 で、トマソンのシュートは3本で、うち3本が枠内で、2得点。 「ダニッシュ・ダイナマイト」の面目躍如とも言える相変わらずの派手なディフェンスと地味なオフェンスで、強いのか弱いのかわからないデンマーク節炸裂の試合となった。
 結果、チームそのものがシャドーストライカーともいえるデンマークが暫定1位、フランスが暫定4位という幕開けとなった。

Aグループ勝点得点失点得失点差
デンマーク  3 2 1 +1  
セネガル   3 1 0 +1  
ウルグアイ  0 1 2 −1  
フランス   0 0 1 −1  

第2回:デンマーク1−1セネガル(2002年6月6日釜山)
 2戦目の相手は日本キャンプ担当課長の自殺、司令塔カリュー・ファディガの万引き、開幕戦の鮮やかな勝利と、話題性がフランスの1強3弱だったはずのAグループで株急上昇中のセネガル(FIFAランキング42位)。
 当然、フランス戦でイエロー&レッドカードをもらわない「エレガントなアフリカ勢」というかつてない華麗な試合をしたセネガル旋風がどこまで続くかのみに注目は集まった。 ところが、セネガルは準備万端で臨んだフランスの時とは異なりデンマークの研究を怠っていたようで、試合は前半16分にトマソンがMFサリノ・ディアオに必然性のないファールを食らっていただいたPKを本人が確実に決めて先制。 初出場国にまで軽視された「ダニッシュ・ダイナマイト」の地味な攻撃力が本日も爆発し、そのまま前半戦を乗り切る。 しかし、後半7分に先程のディアオの同点弾をあっさり食らうと、「韓国で6月上旬に午後3時半からの試合」という、北欧勢とアフリカ勢では明らかにハンデになる高温多湿な気候も手伝い後半戦はシュート0本という防戦一方。 ところがセネガルもやっぱりディアオがカード2枚で途中退場し、1人と決め手を欠いたまま引き分けに終わった。 ちなみにこの試合は両軍合わせてカード6枚が舞い、デンマークもエースストライカー、エッベ・サンド&シャドーストライカー、トマソンが仲良くイエローカードをもらっている。
 尚、敗者が最終戦を待たずして1次リーグ敗退が決まってしまう大邱での試合はフランス0−0ウルグアイと、両者最終戦に奇跡の可能性を残す結果となった。 こうなるとAグループの話題は悩める王者フランス、新星セネガル、いまだ真価を発揮していない左足の魔術師アルバロ・レコバ率いるウルグアイの3チームからどこが決勝トーナメントに進出を果たすかで持ちきりであり、 暫定1位のデンマークには決勝トーナメント進出の期待は集まらない代わりに、暫定4位フランスの奇跡の決勝トーナメント進出のために2点差以上の見事な敗北をするか否かという注目が集まっている。

Aグループ勝点得点失点得失点差
デンマーク 4 3 2 +1  
セネガル  4 2 1 +1  
ウルグアイ 1 1 2 −1  
フランス  1 0 1 −1  

第2.5回:君は『少林サッカー』(2001年:香港)を見たか!?(2002年6月9日)
 予定と予定の間にものすごい空き時間があったのでたまたま目についた映画館で『少林サッカー』を朝から一人でスーツ姿で吹き替え(=子供率高い)で見てまいりました。 いや、素直に面白かったです。劇場の大スクリーンで見てこそ価値のある作品なわけですし。 もちろん、気になる点もあるにはあるんですけど、この作品に野暮なコメントを言うのは「バカって言う奴がバカ」って感じですし。 ちなみに『少林サッカー』、原題は『少林足球』ですが企画段階では『少林足球小將』だったとのこと。 そして、「足球小將」というのは『キャプテン翼』(高橋陽一/集英社)の向こうでのタイトルだったりします。 と、いうことでタイトルや予告、そして別にネタバレしても面白さが半減したりはしないだろうと、ネットの各所で絶賛しているコメントを事前に読んでいたにも関わらず、それらがアレやコレについて触れずに超人サッカーにのみ触れていたおかげで、 新鮮にストーリーに驚けたりもしました。単に超人サッカー部分だけでツッコミどころが満載だったので触れるのを忘れただけかもしれませんけど。

 尚、デンマーク−フランスではどうやら怪我のためこれまで出場していなかったフランスの司令塔ジネディーヌ・ジダンが出場する模様で、 評論家の皆様も「フランスが2−0で劇的な決勝トーナメント進出」といった予想をされておられます。 もちろん評論家の皆様は、デンマークが「ダニッシュ・ダイナマイト」と呼ばれているのには、 1986年メキシコ大会、1998年フランス大会、そして今大会とここまでワールドカップ出場全11試合連続得点記録を継続していたり、 今大会地区予選でもアイスランド、北アイルランド、ブルガリア、マルタ、チェコ相手に 10試合(6勝4分)で22得点6失点とほぼ全試合得点(0−0、いわゆるスコアレスドローというのが1回だけある)していたりと、 一応「なんとなくかっこよさそうだから」以上の理由があることはご存知の上で、客観的な予想をされているんですよね?
 あるいはデンマークを「1次リーグ最終戦でフランスに劇的な決勝トーナメント進出を果たさせるための踏み台」にするならするで、 フランスとデンマークが国際大会で激突したのは過去4回、 1984年欧州選手権、1998年ワールドカップ、2000年欧州選手権はフランスが、 1992年欧州選手権はデンマークが勝利しており、 勝利者がいずれもその大会で優勝しているのですから、 無理矢理アルゼンチン−イングランドに匹敵するくらいに盛り上がらせることもできるはずなのですが、 皆様あまり話題にされませんね。


参考資料
1986年(第13回)メキシコ大会
1次リーグ
 1−0スコットランド
 6−1ウルグアイ
 2−0西ドイツ
決勝トーナメント
 1−5スペイン

1998年(第16回)フランス大会
1次リーグ
 1−0サウジアラビア
 1−1南アフリカ
 1−2フランス
決勝トーナメント
 4−1ナイジェリア
 2−3ブラジル

第3回:デンマーク2−0フランス(2002年6月11日仁川)
 3戦目の相手は王者フランス(FIFAランキング1位)。
 司令塔ジネディーヌ・ジダンにダビド・トレゼゲ(イタリアセリエA)、ティエリ・アンリ(イングランドプレミア)、ジブリル・シセ(フランス)と各国リーグの得点王3名を擁し、 1998年フランスワールドカップ、2000年欧州選手権、2001年コンフェデレーションズカップと「3冠」に輝く優勝候補、のはずが暫定4位。 この試合でフランスは最低でも勝利しないと 1950年(第4回)ブラジル大会のイタリア、1966年(第8回)イングランド大会のブラジル に続き前回覇者の1次リーグ敗退となってしまうが、 怪我のためこれまで出場していなかったジダンが出場、 「韓国で6月上旬に午後3時半からの試合」という、デンマークが叩き潰されるのに必要な舞台は整っている。 世界の期待を背負ったフランスは試合開始早々からジダンを中心に猛攻撃を見せるが、 シンガポールの「マーライオン」、ドイツの「ローレライの岩」「ブレーメンの音楽隊」、ベルギーの「小便小僧」、オーストラリアの「オペラハウス」 と並み居る強豪を相手にしてもかなりの高確率で「世界3大ガッカリ名所」に挙げられる童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの『人魚姫』の「人魚の像」を首都コペンハーゲンに擁するデンマーク、 世界の期待を裏切るのは得意らしく、 前半22分に数少ないチャンスを活かしてFWデニス・ロンメダールが先制すると、 その後も続いたフランスの猛攻撃をしのいで前半を乗り切ってしまう。 1次リーグ全試合で前半1−0という「ダニッシュ・ダイナマイト」の確実性を誰からも誉めてもらえないまま後半戦もフランスの猛攻撃が続くが、 なんと後半22分に数少ないチャンスを活かしてトマソンが追加点。 1次リーグ全試合で得点を奪ったトマソンの確実性も誰からも誉めてもらえないまままだまだフランスの猛攻撃は続くが、 かつてのSGGKピーター・シュマイケルに比べていろんな意味で今まで小粒な印象のあったGKトーマス・ソーレンセンの「ミラクルウォール」なディフェンスもあり、 後半も乗り切ってしまう。 結局フランスは無勝利どころか無得点で今大会を去ることになった。
 そして、水原で行われたもうひとつの試合はセネガル3−3ウルグアイという結果となり、Aグループはデンマークが1位、セネガルが2位で決勝トーナメントに進出となった。 フランスの1次リーグ敗退によりフランスとデンマークを非難する世論もセネガルの1次リーグ突破は素直に喜んでいる様子だが、開幕戦でフランスがセネガルに勝利していればフランスが1次リーグ突破できていたはずであり、 デンマークよりセネガルに非難が集まってもよさそうなものである。 もっとも、前半3−0とリードしておきながら後半追いつかれるところなぞ、エンターテイナーとしてはセネガルの方がデンマークより優れているのは疑いようがない。
 最後に、第0.5回で触れた「日本でデンマークを応援している人」に豆情報を追記しておく。

 1.本人か周囲がデンマーク人。
→日本キャンプ地和歌山市の方々は当然これに含まれる。
 2.MF小野伸二ファンで彼の所属するフェイエノールト(オランダ)のチームメイト、FWヨン・ダール・トマソンを知っており、トマソンやデンマークを語ることでそこらのミーハーとの差別化をはかる。
→フェイエノールトは2001−2002年欧州連盟(UEFA)杯優勝。トマソンはACミラン(イタリアセリエA)に移籍が決定している。
 3.1992年欧州選手権の「白夜の奇跡」、まるで『キャプテン翼』のような試合を見せて予選繰り上げ出場(ユーゴスラビアが内戦の制裁措置として出場できなくなったため)から優勝したデンマークとGKピーター・シュマイケルのイメージが抜けない。
→参考資料
1992年欧州選手権
1次リーグ
 0−0イングランド
 0−1スウェーデン
 2−1フランス
決勝トーナメント
 2−2(5PK4)オランダ
 2−0ドイツ

Aグループ勝点得点失点得失点差
デンマーク7 5 2 +3  
セネガル 5 5 4 +1  
ウルグアイ2 4 5 −1  
フランス 1 0 3 −3  

第4回:デンマーク0−3イングランド(2002年6月15日新潟)
 決勝トーナメント初戦の相手は「死のFグループ」2位、サッカー(とフーリガン)の母国・イングランド(FIFAランキング12位)。
 ところで、1次リーグで既に3冠王者フランス(FIFAランキング1位)、南米の覇者アルゼンチン(同2位)、華麗な攻撃のポルトガル(同5位)と優勝候補が姿を消しているが、 これは単にサッカーの大会として波乱であるだけではなく、世界経済にとって波乱なのである。 例えばフランスは、絶大な人気を見込んで世界各国の企業が協賛スポンサーとして多額の契約料を支払っていたが、 1次リーグ敗退によりそのバブルが崩壊した。これはフランスのユニフォームの色にちなんでブルーショックと称されている。 また、国家の経済状態が思わしくないアルゼンチン、ポルトガルも今大会に賭けていたが、その希望も志半ばで断たれた。 要するに、世界経済のためにも本命の上位進出が望まれており、 それは1次リーグで全部で7ヶ国しかいないワールドカップ優勝経験国のウルグアイ、フランスを撃破してしまったデンマークが 同じように決勝トーナメントでイングランドやブラジルを撃破することなく敗退することが期待されているということである。
 さて、ついに日本会場で、ついに地上波放送で行われるデンマークの試合で、しかも新潟で土曜日の午後8時半からというゴールデンタイムの試合。 本企画の目標は達成できたといえるだろう。 試合は、前半5分、イングランドの世界一の右足を持つ貴公子デイビッド・ベッカムのコーナーキックからMFリオ・ファーディナンドが先制。 今大会リードを奪われたことがなかったデンマークはこれで事実上終わった。 ボール支配率では上回ったが相手の堅守と確実な反撃に翻弄されるというフランス戦で自分達が行ったサッカーを完全にイングランドに行われてしまった。 前半22分には韋駄天FW「ワンダーボーイ」マイケル・オーウェンに2点目を奪われると、 専属のヘアー・アーティストまで帯同させているベッカムのベッカムヘアーのトサカが寝てしまうくらいの豪雨が途中で降ったところで流れが変わることはなく、 前半44分には再びベッカムのアシストからFWエミール・ヘスキーに3点目を奪われて前半戦だけで3点差と安全圏まで離され、 そのまま後半戦も語るべきところのないまま終わってしまう。 これでイングランド戦は過去15試合でわずか1勝、 ワールドカップ出場連続得点記録が12試合で終わり、デンマークの今大会も終わった。

 ここまでデンマークや甲斐高風を温かく見守って下さった皆様、本当にありがとうございました。 次回2006年(第18回)ドイツ大会で、デンマークが地区予選を突破でき、甲斐高風がまだデンマークを応援しており、しかも当サイトが健在である可能性はあまり高くないと思われますが、 その節にはまたよろしくお願いいたします。


参考資料
1930年(第1回)ウルグアイ大会:ウルグアイ
1934年(第2回)イタリア大会:イタリア
1938年(第3回)フランス大会:イタリア(2回目)
1950年(第4回)ブラジル大会:ウルグアイ(2回目)
1954年(第5回)スイス大会:西ドイツ
1958年(第6回)スウェーデン大会:ブラジル
1962年(第7回)チリ大会:ブラジル(2回目)
1966年(第8回)イングランド大会:イングランド
1970年(第9回)メキシコ大会:ブラジル(2回目)
1974年(第10回)西ドイツ大会:西ドイツ(2回目)
1978年(第11回)アルゼンチン大会:アルゼンチン
1982年(第12回)スペイン大会:イタリア(3回目)
1986年(第13回)メキシコ大会(2回目):アルゼンチン(2回目)
1990年(第14回)イタリア大会(2回目):西ドイツ(3回目)
1994年(第15回)アメリカ大会:ブラジル(4回目)
1998年(第16回)フランス大会(2回目):フランス
2002年(第17回)韓国・日本大会:ブラジル(5回目)(2002年6月30日追記)
2006年(第18回)ドイツ大会:?

第4.5回:君はワールドカップを見たか!?(2002年6月30日)
 今大会出場国32ヶ国中、1次リーグの日本地上波放送がなかったのは5ヶ国。いずれも韓国で行われたA−Dグループでした。しかし、彼等は健闘しました。
 新生ダニッシュ・ダイナマイト、デンマーク(FIFAランキング20位)はAグループを1位通過、イングランド(同12位)と激突し、0−3で敗れました。
 名物キーパー、ホセ・ルイス・チラベルト率いる南米には珍しく鉄壁の守備陣を有するパラグアイ(同18位)はBグループを2位通過、ドイツ(同11位)と激突し、0−1で敗れました。
 文字通りアメリカンなフットボールを行うアメリカ(同13位)はDグループを2位通過、メキシコ(同7位)と激突し、2−0で勝利して1930年(第1回)ウルグアイ大会以来72年ぶりにベスト8に進出しました。 そこでドイツと激突し、0−1で敗れました。
 EU認可申請の都合上イスラム教国でありながらヨーロッパに眠る「アジア最強」のトルコ(同22位)はC組を2位通過、日本(同32位)と激突し、1−0で勝利してベスト8に進出しました。 そこでAグループを2位通過した新星セネガル(同42位)と激突し、1−0で勝利してベスト4に進出しました。 そこでCグループで1度1−2で敗れたブラジルと再度激突し、0−1で敗れました。しかし、3位決定戦で韓国(同40位)と激突し、主将ハカンシュキュルの大会史上最短得点記録となる試合開始11秒(公式記録は前半1分)での先制点もあり3−2で勝利して3位に輝きました。 中国(同50位、ちなみに今大会本戦参加者中最下位)、日本会場における日本、韓国会場における韓国を撃破して「アジア最強」を証明したのです。 念のため付記しておきますと、韓国と日本は開催国として出場し、アジア地区代表は中国とサウジアラビア(同34位)でした。
 ただひとつ、カリブの奇跡、コスタリカ(同29位)だけはCグループ3位敗退でした。Cグループは終わってみれば1位と3位がいたリーグでしたが、何故かブラジル−中国しか放映されなかったのです。

ブータン4−0モンセラルト(2002年6月30日ティンプー)
 片や険しい山岳地帯に阻まれFIFAランキング202位(最新加盟者)、片やスフリエヒルズ火山の度重なる噴火に阻まれ(唯一の競技場も火山灰に埋もれたまま)同203位(最下位)。
 ワールドカップの決勝戦と同日に行われたこの世界一を決める戦いは、オランダのドキュメンタリー制作会社ケッセルスクラマーの企画に、ヒマラヤ山脈の王国、西インド諸島のイングランド領の小島、そしてFIFA(国際サッカー連盟)が応じることで実現した。 しかし勝負とは非情なもので、ブータン王国首都ティンプーの「標高2500メートルに位置する競技場」という明らかにホームに有利な状況がモンセラルトの選手を高山病と食中毒で苦しめる中、 ブータンが主将ウェンゲル・ドルジェの前半4分の先制点を含むハットトリックと弱冠16歳のデニシュ・チェトリの得点で勝利した。

 デンマークといえば、ヴァイキングの末裔であり、世界最大の島グリーンランドであり、世界最古の王室であり、世界最古の国旗ダネブローであり、 実存主義の祖と呼ばれた哲学者セーレン・オービュエ・キルケゴールであり、ビールはカールスバーグであり、高税金・高社会福祉・高環境保護国家であり、そしてローリガンであります。 ローリガンとはデンマークのサッカーファン(いわゆるサポーター)のことです(広義ではスウェーデン・ノルウェーといった北欧サッカーのサポーター)。 語源はデンマーク語の“rolig”(ローリ:平静)で、紳士的にして陽気な応援をすることから、フーリガンに対してそう呼ばれています。 ちなみに、デンマークといえば、開かれた政治や開かれた王室も挙げられますが、今大会、デンマークの練習も完全公開で行われたそうです。ローリガンの気質はデンマーク王国の気質そのものなのかもしれません。
 そして、私はデンマークを応援する時以外でも、ローリガンでありたい、なんて思っています。

参考資料:最新FIFAランキング(2002年7月3日)
1位ブラジル(2位)
2位アルゼンチン(2位)
2位フランス(1位)
4位スペイン(8位)
5位ドイツ(11位)
6位メキシコ(7位)
7位ポルトガル(5位)
8位イングランド(12位)
10位イタリア(6位)
11位アメリカ(13位)
12位トルコ(22位)
13位デンマーク(20位)
14位アイルランド(15位)
17位カメルーン(17位)
18位パラグアイ(18位)
19位ベルギー(23位)
20位スウェーデン(19位)
22位韓国(40位)
23位ウルグアイ(24位)
24位日本(32位)
26位コスタリカ(29位)
27位クロアチア(21位)
28位ロシア(27位)
29位ナイジェリア(27位)
31位エクアドル(35位)
31位セネガル(42位)
33位南アフリカ(37位)
35位スロベニア(25位)
36位チュニジア(30位)
38位サウジアラビア(34位)
39位ポーランド(38位)
51位中国(50位)
―――――――――――――――――
199位ブータン(202位)
202位タークス・カイコス諸島(200位)
203位モンセラルト(203位)

おまけ:君はINAS−FIDサッカーワールドカップを見たか!?(2002年8月8日−25日)
 オリンピックにパラリンピックがあるように、FIFAワールドカップにもINAS−FID(国際知的障害者スポーツ連盟)サッカーワールドカップがあります。 ただし、IPC(国際パラリンピック委員会)が主催するパラリンピックは1999年にIOC(国際オリンピック委員会)によって五輪憲章にその存在を明文化されましたが、 INAS−FID(国際知的障害者スポーツ連盟)サッカーワールドカップはまだ現時点ではFIFAの規定にその存在を明文化されてはいません。
 今大会、いずれの試合も日本地上波放送はありませんでした。  しかし、サウジアラビアとマリの提出書類不備(選手の参加資格証明書類)による失格があったとはいえ、 「1位イングランド、2位オランダ、3位ロシア、4位ドイツ」 というのは、 「1位ブラジル、2位ドイツ、3位トルコ、4位韓国」にひけをとらないワールドカップぶりを発揮していたと思います。
 ちなみにデンマークは1994年(第1回)オランダ(ホーゲベーン市)大会には参加していたことを付記しておきます。


参考資料
1994年(第1回)オランダ(ホーゲベーン市)大会(参加国12ヶ国):ルーマニア
1998年(第2回)イングランド(レスター市)大会(参加国15ヶ国):ポーランド
2002年(第3回)日本大会(参加国16ヶ国):イングランド
2006年(第4回)ドイツ大会:?


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