甲斐高風のDIARY

2003年8月後半〜9月



 
2003年8月19日
 ちょいと思うところあって、サイトの移転をきっかけに雑記なんて書いてみようかと思った今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

 雑記といっても、近況は古本屋で入手した『エンドコール メッセージ』(山之内正文/双葉社)の奥付にある作者名の下に手書きで「○○ちゃんの母親の姉の娘の夫」と書いてあり、これを書いた人物と作者との関係が「赤の他人」であることにしばらく気づかなかったことくらいしか書くことがありませんし、 更新メモという側面も、ここしばらく甲斐高風が行う定期的な更新は漫画家推進小委員会関連しかないにも関わらず、 『学園恋獄ゾンビメイト』(森繁拓真)は最終回が近そうですし、『今日の5の2』(桜場コハル)はショートストーリーだからネタが少ないですし、『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』(山田風太郎 せがわまさき)は既に前半戦が終了してお気に入りの忍者も半減してしまっているので、 すぐに挫折するかもしれません。

バジリスク 〜甲賀忍法帖〜 第十四殺「五対七(その三)」
・ 多分4回目の巻頭カラー。冒頭に「成仏人別帖」というおまけがあって地虫十兵衛も夜叉丸も登場しています(嬉しくない)。

・ 五対七と数で勝っていながら、貴重な戦力の筑摩小四郎と朧が盲目になってしまいむしろ体勢は不利だといえる伊賀組。 しかもいきなり甲賀組が駿府に旅立ってしまったのでその体勢を整えられないまま追いかけざるを得ないというのは薬師寺天膳も辛いところです。 でも、そもそも甲賀卍谷を安易に襲撃してしまい有利な状況を崩したのも貴方ですしねぇ。

・ で、筑摩小四郎や朧の所為で全員では甲賀組に追いつけないので、蛍火と蓑念鬼が黒装束の戦闘態勢で別働隊として追尾。 蛍火が髪を縛っていたり、蓑念鬼の棒が折り畳めるやつだったりと、今回も地味なアレンジが効いています。 ちなみに単独行動はやめろと言っているのに、甲賀組の霞刑部も抜け駆けで伊賀組の元へ。

・ 私は素直に甲賀弦之介&朧のカップリングを推奨しているので実は陽炎をあまり好きではなかったのですが、それでも今回の甲賀弦之介を想う陽炎はめちゃくちゃかわいいです。あの表情には惚れます。あの表情の時に迂闊に近づくとそれだけで命の保証がありませんけど。

・ それにしても、忍法の特性上忍法の使用には肌を露出が不可欠なお胡夷・朱絹、同じく忍法を使用するシチュエーションとして肌を露出させることが多くなる陽炎と、自然とサービスシーンが多くなるようにできているのは流石は山田風太郎忍法帖ですが、 彼女達ではなく、肌を露出させる必要のない朧・蛍火にだけ恋人がいるのは皮肉な話です。男だと霞刑部や雨夜陣五郎も肌を露出させる必要があって恋人がいないようですが、まぁそれはどうでもいいです。

・ 原作版より頭の回転が3倍のスピードになっている漫画版の如月左衛門。今回も陽炎の暴走の前兆を読み取っているのは流石ですが、そんなにおなごは怖いと力説されると、何か女性関係で嫌な思い出でもあるのかと勘繰ってしまうのですが。

・ 実は、今回の最大のポイントはイラストグラビア集「水着でハプニング!」に描かれていた御前人気投票堂々の1位・「Hでキレイなお胡夷さん」(『武装錬金』風表現)の「忍法・乳魚挟」だったりします。っていうかそれは忍法じゃないです。


参考資料甲賀忍法帖生き残り対策マニュアル

 
2003年8月22日
 女性の腰にさりげなく手を回せるようなウツワの男性になりたい思う今日この頃、いかがお過ごしでしょうか(意地でも『今日の5の2』ネタで挨拶)。

 「別冊ヤングマガジン」第47号(講談社)発売。
 まずは『今日の5の2』(桜場コハル)ですが、ユウキが二人三脚でチカの腰に手を回しているコウジを見て驚いているのは、 単純に男子が女子の腰に手を回しているからではなく、他ならぬコウジが他の女子の腰に手を回しているからに違いないとまで深読みできる皆様、お待たせいたしました。 今までろくな情報が集まらず、「別冊ヤングマガジン」が見つからず、月一連載では物足りず、「2本立て」の予定すらかなわず、 「週刊ヤングマガジン」「ヤングマガジンスポ僧」への出張掲載に気づかず、周囲にオススメするのも上手くいかずといった日々をお送りしてきたことかと思いますが、 そんな長く苦しい日々とももうすぐおさらばです。2003年11月、『今日の5の2』単行本発売決定だそうです。
 ただ、今までの長く苦しい日々を思うと、発売中止とか発売延期とか発売したけど単行本が見つからないとかいったオチが待っているのではないかとちょっと思ってしまったりするのですが。
 『学園恋獄ゾンビメイト』(森繁拓真)はもうどうすれば話がまとまるのかさっぱりわからない展開になっていますが、 よく考えると今までの作品も「そこでその人物がそんな行動をとったら話がまとまらないじゃないかぁっ」という展開なのに何故かちゃんと話がまとまっているので、 これはもう単純に続きを楽しみに待つことにします。ポイントとしてはあの人が再登場するのではないかとは思うのですが。
 上記2作品以外では最近は本格的バカ番長アクション『熱血番長 鬼瓦椿』(横山了一)がお気に入りです。


参考資料桜場コハル非公式ファンクラブ(代理)
参考資料森繁拓真非公式ファンクラブ(代理)

 
2003年8月26日
 「月刊アフタヌーン」(講談社)を購入しようとしたら、レジの店員が新人アルバイトだったり、急にマニアックな雑誌について尋ねるおっちゃんがいたり、 おっちゃんの質問に新人がとまどっている隙に横入りしようとする別のおっちゃんがいたり、待っている間に山のような書物を抱えきれずに落とすおばちゃんがいたりして、 気がついたら付録の「海洋堂特製『幻蔵人形鬼話』(高田裕三)鬼九姫フィギュア」をもらいそこねた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

 と、いうことで二宮ひかる集中連載『犬姫様』開始に伴い、「月刊アフタヌーン」が購読雑誌に昇格。 まぁその気になれば『神戸在住』(木村紺)とか『てんでフリーズ!』(ISUTOSHI)とか『るくるく』(あさりよしとお)とか『げんしけん』(木尾士目)とか『ラブやん』(田丸浩史)とか結構読みたい作品はありますし。妙に偏ったラインナップですけど。

漫画『武装錬金』(和月伸宏/集英社)
 「“津村斗貴子”でググるとうちのサイトが2位ー!」(武藤カズキが似顔絵を披露する時の決めポーズで)

 まぁこれにはフルネームでわざわざ表記しているサイトが少ない(総検索結果で約88件)というトリックがあるわけですが(ちなみに主人公“武藤カズキ”は約40件)、 “斗貴子”でググっても33位/約5210件というのはちょっと驚きです。 作者の名前をずっと和月伸宏ではなく和月和宏だと思い込んでいたような奴が共同管理人をしているサイトなのに。 幸い“武装錬金”でググってもうちのサイトには引っかからないようなので杞憂だとは思うのですが、 ひょっとしたら『武装錬金』は人気がないのだろうかと不安になってしまいました。
 逆に、「Hでキレイな津村斗貴子さん」の画像あたりを求めてわざわざ訪れて下さった来訪者側も、 「未成年女性である津村斗貴子さんが仮の宿としてビジネスホテルに泊まっていることがいかにリアリティがないことであるか」についての書き込みしかなかったのでさぞ困惑されたことだろうと思います。 この問題につきましては、自分なりにビジネスホテルについてネットで調べ漁っているうちに、 出会い系サイトではないどこかのサイトで出会ってめちゃくちゃ遠距離恋愛中の未成年カップルが、遂に初めて出会う際にビジネスホテルを薦められている書き込みを見つけたまではよかったのですが、 その後話題が「1度も会ったこともないのに恋愛といえるのか」「今の状態は恋に恋しているだけではないのか」と何時の間にか「恋愛とは何ぞや」という方向に話がいってしまい、 自分はなんでサイトの移転作業もろくに進めないまま、数時間座りっぱなしだった所為で右膝の調子をおかしくしてまでこんなものを一所懸命に読んでいるのかとふと我に返って首を傾げていた思い出だけを付記しておきます。

 で、このままではちょっと申し訳ないので少しだけ真面目に作品の感想を書いておきます。
 正直なところ、初回を読んだ時は「わははははは!こ、こりゃだめだ!バルキリースカートって!太股から4本の処刑鎌(デスサイズ)って!そもそも“武装”と“錬金(術)”の単語の組み合わせって!」 といきなり見限っていたのですが、 その後読み進むに従って主人公・武藤カズキこそ『るろうに剣心 −明治剣客浪漫譚−』『GUN BLAZE WEST』ではできなかった「少年漫画の王道をいく主人公」であると評価するようになりました。
 「友情」「努力」「勝利」といえばかつての「週刊少年ジャンプ」のキーワードでしたが、 「友情」は成長の動機、「努力」は成長の過程、「勝利」は成長の結果(結果として、「友情」が広まったり深まったりすることで次の成長の動機が生まれていく) であり、主人公の成長を描いていくというのは今でも少年漫画の王道のひとつであると思います。 最近の少年漫画の主人公達は、妙に強い奴(或いは妙に強くなる奴)が多く、この「友情」「努力」「勝利」の連鎖が上手くいかずに 強くなりたい動機も強くなるための過程もうやむやのまま「とりあえず強いから勝ちました」というだけの展開になっている作品が結構あったりしますが、 今のところ、武藤カズキの「友情」「努力」「勝利」の連鎖は、実に納得できる範囲にあり、好感と共感が持てます。 それは正に「キミは今日、少し強くなった」(津村斗貴子)と表現すべき、一歩一歩ではありますが、着実に主人公と作品が王道を歩んでいるということなのだと思います。

洋画『猟奇的な彼女(My Sassy Girl)』(2001年:韓国)
 いやぁ、こんなに楽しい映画を観たのは久しぶりです。 内容は要するに「女々しい男性と雄々しい(を通り越して猟奇的な)女性のラブコメディ」なのですが、 うわぁ猟奇的ってこういうことかよ下品すぎるよとか、 うわぁ劇中劇にお金かけてるよ意味ないよとか、 あぁそういえば主人公キョヌ(チャ・テヒョン)って学生時代の知人に外見も性格もそっくりだよ、でもヒロイン(チョン・ジヒョン)にそっくりな知人なんていないよとか他愛もないことを考えながら 前半戦、後半戦、延長戦と進んでいくうちに単純なラブコメディではなくなってきます。 油断できません (まぁ、冒頭の「写真撮影中に携帯電話がかかってくる」「2年前に埋めたタイムカプセルの元に行く」シーン自体をすっかり忘れていたのは私くらいでしょうが)。
 ちなみに、原作はキム・ホシクがネットで書き込みんだ彼女との実体験(?)が元になっているのだそうです。 油断できません。
 映画を見ていて、自分が恋愛関係で薄幸なのも忘れてついつい主人公達のハッピーエンドを望んでしまった、そんな映画でした。

 
2003年9月2日
 『殺人の門』(東野圭吾/角川書店)は「殺意」に対して「衝動殺人」「動機なき殺人」の正反対のアプローチを試していてなかなか面白かったのですが、 例によって直木三十五賞のカマセ犬にさせられるのではないかとなんとなく不安がよぎった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

 さて、一応3周年を迎えてしまったわけですが、3年前の2000年9月とはどういう時期だったのかというと、「ジャレコ、PCCWに買収決定」という時期だったのです。 仮にもスーチーパイが縁で知り合った相方と共同管理しているサイトをどうしてそんな時期に立ち上げたのか、そんな時期だからこそ立ち上げたのか、さっぱり思い出せません。

バジリスク 〜甲賀忍法帖〜 第十五殺「五対七(その四)」
・ 冒頭で甲賀弦之介が喪った甲賀組の5人と朧のことを想っていますが、この時の朧の表情が絶妙で、天使の笑顔にも悪魔の笑顔にも見えます。甲賀弦之介の心中や如何に。

・ そんな甲賀弦之介を陽炎、蛍火のヘビが立て続けに襲撃し、七夜盲の秘薬により失明。 ちなみに漫画版の甲賀弦之介は陽炎をかばったり陽炎の毒が残っていたために不覚を取ったのも仕方ないように思えますが、 基本的な流れは同じながら原作版の甲賀弦之介は陽炎に襲われたのとは別に寝込みを蛍火のヘビに襲われて失明しており割とへっぽこ感が漂っていたりします。 そして陽炎の喜怒哀楽表情七変化は怖いです。

・ 蓑念鬼撃破。 「体毛が自在に動く」と書くとなんだか宴会芸のような忍法ですが、飛び道具を受け止めて投げ返すわ、自重を支えるわ、人体を串刺しにするわとその長髪と全身の体毛と鼻毛を攻めに守りにかなり幅広く活用していましたが、結局その自らの忍法で撃破されてしまいました。 薬師寺天膳にしては珍しくコンビで行動させたのにも関わらずわざわざ単独行動した上に、盲目とはいえ実力未知数の室賀豹馬を軽視したことが直接の敗因ですが、そもそも霞刑部の姿が見えなくても実は近くに隠形しているかもしれないとは考えなかったのでしょうか。 それにしても、小豆蝋斉の「まだまだ汁気たっぷりのたっしゃな爺さんじゃ!」(雨夜陣五郎)といい蓑念鬼の「いやはやなんとも‥‥おはずかしいかぎり」(室賀豹馬)といい伊賀組は悲惨な死に様をギャグにされることが多いです。

・ 人に指摘されるまで気がつきませんでしたが、多彩な忍法が登場する中で、最後の最後に忍法を披露する室賀豹馬は優れた聴力というミスリーディングをした上で、師弟ということで思いっきり甲賀弦之介と忍法がかぶっており、それも盲目なのに瞳術という捻りまで効いています。 ところで、室賀豹馬の目蓋が夜間のみ上がるのは、どういう原理なのでしょうか。昼間でも目蓋は上がるけれども瞳術が夜間限定だという意味だとするならば、弟子はどうやってその限定条件を超越したのでしょうか。

・ 如月左衛門と陽炎が蛍火を追撃。原作版では蝶を蛍火本人とは逆に飛ばして囮にして二人を振り切っているのですが、漫画版では蝶を引き連れてわざと目立った蛍火本人が囮になり、しかも追いつかれています。原作版既読者も次回の展開には油断ができないようです。


参考資料甲賀忍法帖生き残り対策マニュアル

役者天海祐希(『オケピ!』 2003年:舞台)
 実は『オケピ!』は初演(2001年)も生で観ており、 割と松たか子ファンである私は彼女の演じたハーピストのイメージが強く残っていたので 最初写真で見た時にはどうもイメージに合わないと首を傾げておりました。
 しかし、実際に観てみたら1985年宝塚音楽学校入学(首席)、1993年男役トップに就任(史上最短)ときた宝塚歌劇団のエリートの「迫力」に圧倒されてしまいました。 宝塚歌劇団にのめりこむ人々の気持ちもよくわかりました。 ちなみに『オケピ!』は彼女が1995年宝塚歌劇団退団後初めて出演したミュージカル作品です。
 尚、余談になりますが、私が観に行った4月16日夜の回では白い杖の方も観劇していました。 不勉強で申し訳ないのですがミュージカルってよく白い杖の方も観劇するものなのでしょうか。 また、その回は有名人のお客様も多かったらしいです。開始ギリギリにウロウロしていた長身の女性と恰幅のいい女性が実は江角マキコと森久美子だったらしいですし、 他にも大倉孝二、大竹しのぶ、佐々木蔵之介、渡辺いっけい達がいたようです。

 
2003年9月9日
 右手に携帯電話、左手に金魚の入った金魚袋を持ったセーラー服の女子高生を見かけて妙に胸が躍った今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

 最近死の恐怖に襲われています。例えば口に歯ブラシとか割り箸を咥えて移動している時に今転んだら後頭部を貫いてしまうのではないかとか、そんな感じの恐怖に。 で、ふと思い出してみると前々回に感想を書いた2作品のヒロインの決め台詞(?)が「死んでしまえ」と「ぶっ殺されたいの?」だったりしたわけですが。

スーチーパイと私

 さて、2003年9月5日には『ULTRAシリーズ アイドル雀士スーチーパイSpecial』が発売になりました。 当日の夜、ちょいと欲しいものがあったついでに秋葉原へチェックしに行ったのですが、 これが『月は東に日は西に −Operation Sanctuary−』(オーガスト)の体験版が配付されていたりいなかったりで大変な賑わいを見せておりまして、 その所為かゲーム屋を探しても探しても見つからず、すっかり諦めていたら何故かとらのあなで見つかりました。 目的はあくまでもチェックだったので発見できたことに満足し、そのまま購入せずに帰宅いたしました。 尚、ちょいと欲しいものの方は見つかりませんでした。

 そして、例によって三谷幸喜氏情報ですが、ミュージカル『オケピ!』が映画化するらしいです。 あの作品は「舞台下のオーケストラピット」が舞台のミュージカルであるところが面白いわけで、 その面白さを実際にオーケストラピットのある劇場ではなく、映画でやる場合にはどのようにして伝えるのかはわかりませんが、 田村正和氏も『古畑任三郎』復活を匂わす発言をしていたりと、まだまだ私にはがんばれる材料があるようです。


参考資料スーチーパイと私

 そうそう、秋葉原では『妹は思春期 3』(氏家ト全/講談社)が必要以上に大量に平積みされておりました。 氏家ト全は現在「別冊ヤングマガジン」の『妹はひまわり組』、「週刊ヤングマガジン」の『妹は思春期』に加えて「週刊少年マガジン」で『家庭教師 濱中アイ』の連載も始まり、 「別冊ヤングマガジン」出身作家の出世頭として快進撃を続けております。 しかし、11月に『今日の5の2』の単行本が発売されればその快進撃も桜場コハルが止めてくれるに違いない、 いや、まだ発表にはなっていないものの、もうすぐ最終回を迎えると思われる『学園恋獄ゾンビメイト』だって単行本化が充分期待できるので、快進撃を止めるのは森繁拓真かもしれない (別に止めずにみんなで仲良く進撃していけばいいような気もしますが)、と思っていたところ、 「別冊ヤングマガジン」は10月発売の第49号という中途半端な号数で休刊になることが明らかになりました。 ニュースソースが「恋緒みなとHP」(恋緒みなとは現在「別冊ヤングマガジン」のエースと思われる『イオ』連載中)ですので、残念ながら確定のようです。
 まぁ、正直なところ『ヤングマガジンGT』が今夏の第8号で休刊のようでしたのである程度の覚悟はしておりました。 もっとも、ニュースソースによると休刊後インターバルを置いて別の月刊誌が立ち上がり、『イオ』はそこで連載続行のようですが。 しかし、「別冊ヤングマガジン」は若手作家の登竜門的存在であり、後継誌も基本的にはその路線になると予想されますので、 恋緒みなとのような例外を除けば「別冊ヤングマガジン(或いはその後継誌)」に安住していればいいというわけではありません。 ですから災い転じて福となすということで、森繁拓真・桜場コハルの両名にはこの機会にぜひ他の雑誌へと飛翔していただきたいものです。
 まず森繁拓真ですが、偶然なのか必然なのか休刊号で『学園恋獄ゾンビメイト』が最終回を迎えると思われるので、まずは本作品の単行本化、 その後は講談社限定で考えるならば「イブニング」や「モーニング」あたりが雑誌の雰囲気と作風があっていると思えるので、ぜひそのあたりでの新連載を期待したいものです。
 次に桜場コハルですが、『今日の5の2』は今のままでも「週刊ヤングマガジン」に食い込めるだけの力は充分にあると思うのですが、 なんとなく作品というより作者が週刊連載に向いていないように見えます。 そうなると講談社限定で考えるならば「ヤングマガジンUppers」「月刊アフタヌーン」あたりになるのでしょうか。 個人的には新雑誌で『今日の5の2』を続行しつつ、「月刊アフタヌーン」で『今日の○○部』とかいう作品の連載を希望したいところです。 それにしても、『今日の5の2』単行本発売決定時に「発売中止とか発売延期とか発売したけど単行本が見つからないとかいったオチ」を予想しておりましたが、 まさか雑誌がなくなるというオチだったとは……。


参考資料桜場コハル非公式ファンクラブ(代理)
参考資料森繁拓真非公式ファンクラブ(代理)

バジリスク 〜甲賀忍法帖〜 第一殺〜第十三殺「十対十」〜「五対七(その二)」要約版
第一殺「十対十」
・ 表紙&巻頭カラー。連載開始時点では原作版未読。徳川家康の顎に引いてしまいこの時点ではあまり評価していませんでした。 夜叉丸が根暗っぽい風貌からいきなり男前になるため一瞬主役のようにも見えるのですが、その後は大切な人別帖をいきなり擦られ、そのまま第八殺のラストまで出番はありません。

・ 山田風太郎は意外と史実に忠実であることと、今回の忍法勝負が甲賀組に次子・国千代派、伊賀組に長子・竹千代派、と徳川幕府3代将軍の命運を託したものであること、 そして本作品のタイトルが「“甲賀”忍法帖」であることを、原作版未読者はどう思っているのでしょうか (ちなみに私が原作版未読時は今挙げた事は知ってはいたのですがあまり深く考えていませんでした)。

・ 漫画版のアレンジは概ね好評で、原作版のように文章で説明できない分、忍法や心情の描写には趣向が凝らされています。 例えば甲賀弦之介&朧の場合、原作版では2日目の夜明け前にお互いに逢いに行くという場面が、 漫画版では初回に二人を登場させるために1日目に逢っていて、そのまま一夜を共にしてから夜明け前に戻る、という様にアレンジされています。 大胆ながら自然なアレンジであるため、当初はアレンジされていることに気がつかず、 「甲賀忍法帖生き残り対策マニュアル」を作成する際に原作版と漫画版の日数計算が一致しない気がして読み直してようやく気がつきました。

・ 甲賀弾正&お幻撃破。甲賀伊賀20名の忍者の戦いはいきなり両者の頭領の相討ちという波乱の幕開けとなります。

第二殺「九対九」
・ 早くも伊賀組10名勢揃いの巻。ちなみに甲賀組はラストの地虫十兵衛を含めてもまだ5名です。

・ どんな忍法でも破ってしまう最強の矛・朧の破幻の瞳が初公開。もっとも、術でも無く技でも無く生まれついての能力なので描写としては「ただ見ているだけ」だったりするのですが。 ちなみに朧が忍法を全く身につけられなかったのはこの生まれついての破幻の瞳の所為で見取り稽古ができなかったからという説が一般的です。 剣術体術を全く身につけられなかったのは生まれついてのドジっ娘だからでしょうか。

第三殺「九対九(その二)」
・ 地虫十兵衛登場の巻。

・ 薬師寺天膳撃破。両頭領の次に撃破されるのが「優位にたっている伊賀組」の副頭領格であり、それを撃破したのがまだ忍法勝負の事を知らない四肢なき忍者であるという展開に痺れます。 それはそれとして、薬師寺天膳に「甲賀卍谷の十人衆」と言われて人別帖の存在を知らない地虫十兵衛は誰を指しているのかわかっていたのでしょうか。

第四殺「九対九(その三)」
・ 地虫十兵衛退場の巻。多分2回目の表紙&巻頭カラー。

・ 風待将監&地虫十兵衛撃破。 それぞれニカワのような痰と槍の穂を吐くのですが、吐く際に舌を活用するアレンジは絶妙でした。 両者を撃破した忍者の意外性や、これで甲賀組は忍法勝負の事を知る忍者も人別帖も失い正に絶対絶命という展開に痺れます。 ところで、第一殺で夜叉丸の周囲をひらひら舞っていた蝶は蛍火が遣わせたらしいのですが、夜叉丸の安否を知らせてくれるわけでもなく、一体何のために遣わせたのでしょうか。

第五殺「七対九」
・ 伊賀鍔隠れ谷にて、甲賀弦之介&朧、鵜殿丈助&朱絹、そして余った雨夜陣五郎の巻。

・ 酒宴のシーンを見ている限りでは、朧は甲賀弦之介にベタ惚れしているだけですが、甲賀弦之介は甲賀卍谷と伊賀鍔隠れ谷の未来を考えているように思えます。 まぁそんなことはどうでもよくて、今回の最大のポイントは帯を口に咥えて半裸を晒した朱絹だったりします。その直後には想像していたより濃い血の霧を食らってしまうわけですが。

第六殺「七対九(その二)」
・ 雨夜陣五郎大活躍の巻。 今まで割と参謀風発言をしていた雨夜陣五郎ですが、いきなり情けない姿を披露する羽目に。 忍法発動&朧に破幻されて外見だけでも相当情けないのですが、いくら朧がタネを知っているとはいえ、暗殺者が「朧に気づかれずに」という条件下で行動しているはずなのにあっさりばれているあたりが情けないです。 と、このまま株を下げて終わるのかと思いきや、ラストでその情けなさを覆す大活躍を見せてくれます(原作版とは戦い方が完全に変更されています)。もっとも、第十殺で完全に株を下げ、その後も参謀風発言はしているものの、ちっとも説得力を感じなくなってしまうのですが。

・ 鵜殿丈助撃破。 骨無しのバケモノ(或いはゴムゴムの実)1号・肉の鞠。鉄格子を潜り抜けたり打撃どころか斬撃すら通じなかったりするところはゴムゴムの実より上だったりしますが、予想もできなかったであろう方法で撃破されてしまいます。 それはそれとして、単独行動はやめろと言っているのに、雨夜陣五郎と朱絹はそれぞれ甲賀弦之介と鵜殿丈助を狙い、しかも両方とも失敗しているにも関わらず、最終的には伊賀組は無傷で甲賀組の鵜殿丈助だけ撃破されています。 情報戦を制するとここまで戦況に差が出てしまうのですね。

第七殺「六対九」
・ 伊賀組5人、甲賀卍谷襲撃(失敗)の巻。ちなみに風待将監の血族が登場しておりますが、出番はわずか4コマでした。

・ 今回と次回との間で原作版を読んでしまったのですが、今回で忍者20人が勢揃いしているので(既に5人撃破されていますが)、ビジュアルイメージは漫画版のまま固まってしまいました。

第八殺「六対九(その二)」
・ 多分3回目の表紙(甲賀弦之介&朧)&巻頭カラー。この回から原作版既読者という立場で漫画版に触れることに。

・ お胡夷、伊賀組5人にさらわれるの巻。 甲賀卍谷から退却中の伊賀組が、彼等が甲賀卍谷を襲撃する前から伊賀鍔隠れ谷に物見に向かっていたお胡夷を何時の間に追い越したのかも不思議ですが、 あにさま(如月左衛門)がどう考えても危険な伊賀鍔隠れ谷に向かった妹・お胡夷を放ったまま東海道へ物見に向かう霞刑部に同行するのも不思議です。

第九殺「六対九(その三)」
・ 夜叉丸撃破。両手が塞がれた時の為に右足にも黒縄を仕込むという芸の細かいところも持っていたのですが、肝心な時に役に立ちませんでした。 夜叉丸&蛍火はお互いを想いあういいカップルに見えたのですが、結局再会できないまま。 ところで、よく考えると不戦の約定が解かれた可能性も考えて東海道に赴いたのですから、実際に不戦の約定が解かれたと聞いても如月左衛門があそこまで驚くことはないと思うのですが。 それから、何回読んでも瞳と腕の位置から考えると夜叉丸の黒縄が隠形した霞刑部を貫いているように見えるのですが。

・ 塩倉に繋いだお胡夷の元へ向かう小豆蝋斉が1ページも使ってヒタヒタと歩く様が何回見ても妙におかしいです。そしてお胡夷が蓑念鬼によってひん剥かれた様も何回見ても妙におかしいです。

第十殺「六対八」
・ お胡夷は小豆蝋斉と雨夜陣五郎相手に、蛍火は偽夜叉丸(如月左衛門)相手に大活躍の巻。 蛍火は上目遣いの指吸いより「そして風待将監はわたしがとどめをいれました 何度も 何度も」の時の笑顔の方が評判が高かったようですが。 ところで、蛍火のヘビは本物の夜叉丸には懐いていたのでしょうか。

・ 小豆蝋斉撃破。骨無しのバケモノ(或いはゴムゴムの実)2号・骨の鞭。 四肢を無数の関節があるように動かせたりそこから放たれる斬撃が鋭かったりするところはゴムゴムの実より上だったりしますが、囚われの身であるお胡夷にあっさりと撃破されてしまいます。 小豆蝋斉は対十人衆戦で全くいいところがなく、人別帖も奪われてしまうので皆様からへっぽこだと思われており、後に漫画版の御前人気投票で堂々の最下位になってしまいます。 しかし、小豆蝋斉は雨夜陣五郎や蓑念鬼と異なりお胡夷に欲情せずに尋問を優先していますし、 そもそも序盤の伊賀組優勢は小豆蝋斉が人別帖を運んできたお幻の鷹を逸早く発見して鵜殿丈助に人別帖を読ませなかった点にあることを考えると (鵜殿丈助から人別帖を奪えなかったのが悲しいところではありますが)、なかなか忠誠心に厚く、実績以上の功労者だと思っているのは私だけなのでしょうか。 まぁ、小豆蝋斉がへっぽこであろうがなかろうが、敗因は薬師寺天膳が尋問を単独で行わせた点にあるように思いますが。

第十一殺「六対七」
・ 朧も如月左衛門もお胡夷救出に間に合わずの巻。 朧&薬師寺天膳、お胡夷&雨夜陣五郎、蓑念鬼、蛍火&偽夜叉丸(如月左衛門)、本当に一瞬のタイミングで運命が激変しています。 嫌な書き方をすれば「塩倉に向かう偽夜叉丸はよく見るとかなり早足なのですが、蛍火に指を吸われていた分お胡夷の救出に間に合いませんでした」というくらい一瞬のタイミングです。 それはそれとして「蛍火おぬし夜叉丸を毒牙にかけたのか? なんとおそろしや‥‥」というあたりの蓑念鬼と蛍火の掛け合いは笑いました。

・ お胡夷撃破。原作版では「口で血をすする」+「皮膚が吸盤になる」という能力が、漫画版では「全身で吸いついて血をすする」と能力を一本化したアレンジに。 そうなると、彼女は吸った血を後で吐き捨てていますが、あれは口で吸った分だけではなく、肌で吸った分も含まれているのでしょうか。 だとすると、肌で吸った血はどうやって胃の方に行っているのでしょうか。

第十二殺「五対七」
・ 如月左衛門と甲賀弦之介大活躍の巻。 塩倉の中に4人、外に3人の伊賀組に囲まれるという絶体絶命の状況ですが、ここで大幅なアレンジにより 原作版より頭の回転が3倍のスピードになっている漫画版の如月左衛門の真骨頂が見れます。 まずは塩の目潰しで蓑念鬼の機先を制すると、その蓑念鬼の長髪に蛍火が絡まってしまい、これで2人が無力化。 次に山刀を出入口にいる朧に向かって投げつけると、忍者失格の朧はこれに対処できないので仕方なく薬師寺天膳が朧を突き飛ばしてかばい、これで4人が無力化。 そして、突き飛ばされた朧を筑摩小四郎が受けとめている間に人別帖を外に向かって投げつけ、これを回収しようとする雨夜陣五郎と朱絹を隠形していた霞刑部が制して人別帖を回収、これで7人全員が無力化。 その隙に如月左衛門は塩倉からの脱出に成功して逃走、霞刑部も再び隠形して逃走してしまいます。 ちなみに、筑摩小四郎の朧に対する「姫様」という呼称も漫画版のアレンジです。

・ 裸体の霞刑部を見て引いている朧や朱絹とか、全く役に立っていない雨夜陣五郎とか、朧を受けとめた時に太股に触れてしまって顔を赤らめている筑摩小四郎といった ちょっとだけコミカルな描写が、余計にその後の全てを知った甲賀弦之介の沈痛な表情やどんな攻撃でも跳ね返す最強の盾・甲賀弦之介の瞳術の迫力ある初公開を引き立たせています。 ところで、蓑念鬼と雨夜陣五郎はお胡夷に多少なりとも血を吸われているのですが、両者とも全然そんな風に見えませんね。

第十三殺「五対七(その二)」
・ 薬師寺天膳、眉間に皺が寄りっ放しの巻。 あまりに寄りっ放しなので逆に笑えてしまうくらいですが、 少し前まで圧倒的優勢だったはずなのに、 どんな攻撃でも跳ね返す瞳術の甲賀弦之介に対しても、どんな忍法でも破ってしまう破幻の瞳の朧&ガード不能の遠距離必殺技・吸息の旋風かまいたちの筑摩小四郎という完璧な布陣を敷いたはずなのに、 気がついたら上司と部下が視力を失っていたというのは心中お察しします。

・ 御前人気投票、私は蛍火3P、地虫十兵衛2P、蓑念鬼1Pで投票いたしました。 投票結果発表によると、地虫十兵衛のすぐ下に悩んで悩んで投票しなかった夜叉丸がいるのですが、この差がわずか1Pだったようです。 余談ですが、この投票でQUOカードが当選いたしました。


参考資料甲賀忍法帖生き残り対策マニュアル

 
2003年9月16日
 「まんがタイムジャンボ」(芳文社)で新連載の『パパはポジティブ!!』(東城ミキオ)、 パパが「押忍!ポジティブ!!」な空手家なのはいいのですが、 実質的な収入がママの稼ぎだけであるにも関わらず8人の子だくさんだというのは ちょっとポジティブすぎるのではないかと思った今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

 いや、『パパはポジティブ!!』はどうでもよくて、『エン女医あきら先生』(水城まさひと)を一度きちんとオススメしたかったんですが、 今回時間切れです。 実は書こうと思って「まんがタイムジャンボ」を読み直したら「見舞いに来て帰ろうとする彼を無言で引き止めてキスをおねだりするあきら先生」に見惚れて 時間切れになったというのはここだけの話ということで。

バジリスク 〜甲賀忍法帖〜 第十六殺「五対六」
・ 多分4回目の表紙(甲賀弦之介&まさかの蛍火)&5回目の巻頭カラー。冒頭のおまけ「甲賀日報」が面白すぎて、今回何を書いても勝てる気がしません。

・ まずは前回、原作版の展開を先走って書いてしまったことを謹んでお詫びいたします。まさか前回の引きから蛍火が蝶&自分の血の付いた服の一部を持たせたカナブンを逆に飛ばして囮にして あの原作版より頭の回転が3倍になっている漫画版の如月左衛門&陽炎を振り切って原作版同様の展開にしつつ、太股露出というサービスシーンまで加えてくるという離れ業が見られるとは思いませんでした。 しかし、蛍火が怪我と雨と橋の落下で足止めされているうちに、一旦引き返した如月左衛門が甲賀弦之介の鋭い洞察と蓑念鬼の死体により、偽蓑念鬼として追いついてしまいます。 如月左衛門の変形を見破ってくれたヘビ1号は「ばかっ!」の一言でクビにしてしまいましたし、ヘビ2号も既に甲賀弦之介の瞳と引き換えに撃破されてしまいましたし、 蛍火、2回連続で絶体絶命の引きです。

・ 一方、伊賀組。人別帖を運んできたお幻の鷹も同行しています。 そして朧がこのような展開になってしまった以上、「甲賀弦之介の誤解を解き、お詫びのしるしに彼に斬られてあの世で彼を待つ」ことを夢見て微笑んだりしています。 ちなみにこの場面、「朧の脳内の朧」には七夜盲の秘薬が塗られていないという芸の細かいところも見せています。 また、原作版では薬師寺天膳の発案だった「七夜盲の秘薬で甲賀弦之介の目を封じよう作戦」は、漫画版では蓑念鬼の独断であったことが判明しています。 この作戦、よく七夜盲の秘薬が塗れるくらいなら毒殺すればいいのにという批判を目にしますが、 原作版の薬師寺天膳も漫画版の蓑念鬼も、「甲賀弦之介は自分の手で撃破したいが瞳術は怖いので封じたい」という心情なのだと思います。 その「目的の為に微妙に手段を選ぶ」心情は忍者としてどうなのかと思う上に、蓑念鬼の場合は結局(室賀豹馬の)瞳術で撃破されているわけですが。

・ 今まで作中女性陣の恋模様といえば、お幻&甲賀弾正(50年前はお互いに慕っていたが甲賀伊賀の宿怨によって結ばれず、今回の忍法勝負開始直後に相討ち)、 朧&甲賀弦之介(甲賀伊賀の宿怨を超えた恋人同士だったが、結局今回の忍法勝負により敵同士に)、 蛍火&夜叉丸(伊賀者同士の上ラブラブで何の問題もないカップルだったが、作中で一度も会わないまま夜叉丸が撃破)、 お胡夷(色恋沙汰の話題が出ないうちに撃破)、 陽炎&甲賀弦之介(陽炎の一方的な横恋慕であることも問題だが、結ばれる時がどちらかが撃破される時であるというのが大問題)、 と、どうも皆様あまり幸せではない様子だったのですが、ここに来て最後の女性・朱絹に新たな恋の予感です。 お相手は顔を覆う包帯がとってもアメコミチックな筑摩小四郎です。 伊賀者同士ですし、筑摩小四郎は若くて真面目な性格で顔も元・男前ですし、 何よりかいがいしく看護している相手に惚れてしまうというシチュエーションが素敵ですし、これは期待できます。 ちなみにこの場面、筑摩小四郎は盲目にはなったものの、吸息の旋風かまいたちは健在であるところが見過ごせません。 余談ですが、原作版を読んだ時、筑摩小四郎&朱絹のカップルなら、朱絹の血の霧で相手の視界を封じてから筑摩小四郎の吸息の旋風かまいたちで攻撃したら 無敵ではなかろうかと一瞬思ったのですが、よく考えたら筑摩小四郎が血の霧を思いっきり吸い込んでしまって大変なことになってしまうんですよね。

・ ちなみに本日は『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜 2』(原作・山田風太郎 漫画・せがわまさき /講談社)に加え『鬼斬り十蔵 1』『鬼斬り十蔵 2』(新装版/せがわまさき/講談社)の発売日です。 後者は以前ちょっとだけ読んだ時のごちゃごちゃしていてわかりにくかったという印象が強いです。 現在の『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』はかなりわかりやすい作品になっていると思うのですが、作者が進歩したからなのか、原作があるからなのかは不明です。


参考資料甲賀忍法帖生き残り対策マニュアル

『蹴りたい背中』(綿矢りさ/河出書房新社)
 下手な中堅作家よりも有名だったりするかもしれない新人作家・綿矢りさの第2作。 綿矢りさをご存知ない人のために一応説明しておくと、若い女性作家というだけなら珍しくもありませんが、 それが美少女で女子高生(当時、現在は早稲田大学教育学部生)で巨乳で、 おまけ(?)に『1980 アイコ十六歳』(堀田あけみ/河出書房新社)以来の文藝賞最年少受賞者という実力も伴った作家であるということで、非常に珍しがられているのです。
 もっとも、受賞作『インストール』(河出書房新社)を読んだ素直な感想としては、良くも悪くもあまり女子高生作家らしさが出ていない作品という感じでした。 つまり、文章が稚拙ということもない代わりに、他の誰でもない今の綿矢りさでなくては書けないということもない作品でした。 強いて挙げればカバー裏の著者近影を見ながらこんな娘が風俗チャットの話を書いているのだぁっ!と盛り上がれる点に独自性があるのかもしれませんが、 その著者近影も白黒ですし、そもそも中編程度の分量ですし、高い買い物かなぁという感じでした。
 さて、『蹴りたい背中』ですが、へっぽこ読書家の私にわかるくらい、明らかに作品として成長しています。 タイトルだけ見ても、前作より成長しているのがわかります。 いいタイトルというのは読む前に興味を覚えさせることと読んだ後に他のタイトルが思いつかないくらいの説得力を持っていることが大事だと思うのですが、 『インストール』に比べると『蹴りたい背中』というのはかなり理想的なタイトルに近づいています。 長々と余計な説明をしなくても、これは長谷川初実というクラスの余り者になってしまった女子高生と、同じくクラスの余り者のにな川の物語で、 (長谷川初実の一人称で書かれているため彼女側から見た)二人の関係は「蹴りたい背中」という単語に集約することができます、 と紹介するだけで、読みたくなってくるではありませんか。 相変わらず中編程度の分量ですが、カバー裏のカラーになった著者近影を見ながらこんな娘に背中を蹴られたいのだぁっ!と無理に盛り上がらなくても、いい買い物でした。


私の表情は私の知らないうちに、私の知らない気持ちを映し出しているのかもしれない。(長谷川初実)

『転生』(貫井徳郎/幻冬舎)
 貫井徳郎は、きっと真面目な人なんだと思う。 真面目に作品を書くから、デビュー作『慟哭』(東京創元社)の仕掛けも『転生』の仕掛けも、ある程度ミステリに詳しい人になら、いや、甲斐高風にすら見抜けてしまうような代物だった。
 貫井徳郎は、きっと凄く真面目な人なんだと思う。 凄く真面目に作品を書くから、『慟哭』の仕掛けを見抜いたなら当然気づくはずのラスト一文を、『転生』の仕掛けを見抜いたなら気づくはずのあのことを、 少なくとも甲斐高風には全く気づかせずに眼前に突きつけてみせた。

 『転生』は要するに「臓器(今回の話では心臓)の移植手術を受けた人物が移植手術を受けたことによって趣味や嗜好が変化していく。この変化は臓器が持っていたドナーの記憶によるものなのではないかと思いドナーを捜し始める」 という話で、この作品以外にもいくつか読んだことのあるパターンです。 『転生』のオリジナルだと言える部分としては、移植手術後から見るようになった夢に登場する女性に主人公が惚れてしまい、主人公は彼女がドナーであると確信する、という点が挙げられます。 これだけで、ちょっと切ないラブストーリーの予感がします。だって彼女がドナーならば、彼女はもうこの世を去ってしまったはずですから。 でも、私は『転生』の仕掛けを見抜いたから、これはハッピーエンドに違いないと安易な確信を持っていました。
 ところが、『転生』の仕掛けを見抜けて、「移植手術後主人公の趣味や嗜好が変化している」ということを知っていれば、 当然気づかなくてはいけないことがひとつあるのですが、私は全くそのことに気づきませんでした。 そして、そのことに気づかされるということは、『転生』がちょっとどころではなく切ないラブストーリーであることに気づかされるということでした。

 
2003年9月19日
 女性に「可哀想」と言われることほど男性にとって可哀想なことはないと思う今日この頃、いかがお過ごしでしょうか(意地でも『今日の5の2』ネタで挨拶)。

 「別冊ヤングマガジン」第48号(講談社)発売。
 まずは『今日の5の2』(桜場コハル)ですが、単行本発売についての続報が入らないまま、次回で最終回です。 しかし大丈夫、心配には及びません。これはきっと『今日の6の2』という新連載の為の布石なのです!
 と、現実逃避している場合ではないので、落ち着くために「ミズカケ」の時のユウキがお題の「ヤンマガ爆笑劇場」を読んでみました。 掲載されていた投稿は7個ですが、投稿者の年齢が21歳一人を除けば32〜39歳で、ネタは全てエロい妄想でした。
 落ち着いたというよりもやるせない気分になりましたが、いい加減に本題に入ります。 今回は「名もなき女子A、まさかの再登場&遂に主人公・佐藤リョータに話し掛ける」というのが個人的なポイントなのですが、 本当に個人的なポイントなのでそれは置いておくとして、 「ショートコミックがラスト2回で前後編」「おさななじみとの忘れていた約束」と最終回に相応しいお約束が満載です。 ちなみに私にも幼稚園の時に「大きくなったら結婚する」と約束したおさななじみがいたのですが、 小学5年生になる以前に私が引っ越してしまい破談になったことを思い出しました。
 ますますやるせない気分になりましたが、それはそれとして話を続けます。 今回を見てもわかるようにこの漫画の真のヒロインは初登場が第5話と女性陣5人の中で最後に登場しながら その機転と行動力に加えて「おさななじみ」という切り札を持つ最強の小泉チカなわけですが、 そんな彼女を差し置いて、私が一番好きな女子は相原カズミだったりします。 その機転と行動力と「おさななじみ」というポジションから小泉チカの言動は最初から佐藤リョータ達を翻弄する目的だったりすることが多いのですが、 相原カズミは異なります。 相原カズミの言動は「佐藤リョータの指を噛む」「佐藤リョータにものすごい破壊力のにらめっこで勝利する」「寝ている佐藤リョータの耳を(嬉しそうに)噛む」 「『お姫さまのキス』の話題の後で佐藤リョータの顔に思いっきり顔を近づける」「寝言で『佐藤くん‥‥‥‥す‥‥スキ』と発言する」 といったように、佐藤リョータ達を翻弄することが目的ではないにも関わらず結果的に翻弄しており、 特に後半ふたつは佐藤リョータよりも横にいた小泉チカを翻弄していたりします。 この最強にして真のヒロインをも翻弄することができ(「小泉チカにくすぐり対決で勝利する」というのもありました)、 しかも本人は基本的に平然としているところが相原カズミの魅力なわけです。 彼女が第1話から登場しており、今のところ唯一カラーイラストが存在することもあって、 私の中ではこの漫画のヒロインは「動」の小泉チカ&「静」の相原カズミというダブルヒロインになっております。 まぁ、メインヒロインを翻弄させているところを評価している時点でサブヒロイン街道まっしぐらであり、 結局「メインヒロインよりもサブヒロインがお気に入り」というのは甲斐高風のいつものパターンなのではないかという気もしますが、 とにかく今回もまっしぐらのまま、相原カズミは思いっきり佐藤リョータと小泉チカを翻弄しております(この展開もお約束のひとつですので結末は予想できますけど)。 ちなみに、桜場コハル作品歴代最強のヒロインは 小泉チカと相原カズミを足して2で割らない(!)デビュー作「にんじんなんて大嫌い」の大森だと思います。
 そして『学園恋獄ゾンビメイト』(森繁拓真)も次回で最終回なのですが、予想通り原口真紀が再登場することはしたものの、 どうすれば話がまとまるのかさっぱりわからないまま、クライマックスに突入です。


参考資料桜場コハル非公式ファンクラブ(代理)
参考資料森繁拓真非公式ファンクラブ(代理)

 
2003年9月23日
 この駄文を書き始めて1ヶ月経過したので振り返ってみたら今回まで含めた全8回の内訳は、 漫画についての駄文が5回、小説についての駄文が2回、死の恐怖に襲われる駄文が1回で、 あぁ、私には「私生活」というものがないのだなぁと思った今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

 とりあえず、単行本『今日の5の2』(桜場コハル/講談社)は11月6日発売という確定情報が「講談社BOOK倶楽部」で出ました。 全1巻のようです。最終回も今までと同じページ数と仮定すると本編が224P、その他の読切作品32Pを加えると256Pになりますが、 価格が青年誌コミックスとして他と同じ514円であるところから考えると、どう考えても読切作品は収録されるとは思えません。 読切作品は連載版『今日の5の2』と比較しても全く遜色ない作品の完成度を見せていましたし (と、いうかパターンまで連載版『今日の5の2』と全く同じだったことが逆に今後の新連載への不安要素だったりするのですが)、 「にんじんなんて大嫌い」と「今日の5の2 放課後の天使たち」は読んだことはあるのですが手元に残っていないので、 是非単行本に収録して欲しかったのですが、逆にこの値段でそこまで収録されると本当に2度とお目にかかれないような不安に襲われるので、それはそれでよしとしておきます。 でも、順調に新連載が始まって単行本になったとしても、今のペースだと次は2年後になってしまうのですが。


参考資料桜場コハル非公式ファンクラブ(代理)

 
2003年9月30日
 面白いことが何も思いつかないものの、よく考えたらそれは今に始まったことではないことに気づいた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

 近況その1。2003年9月26日、定期券を落としました。ざっと85,000円の損です。

 近況その2。2003年9月27日、『機動戦士ガンダムSEED』が全50回の放映を終えました。 当初の予想を思いっきり裏切って、あのイザーク・ジュールが生き残ったことになんとなく勇気付けられました。 ミゲル・アイアン、トール・ケーニヒ、ニコル・アマルフィ、アイシャに加えて、 アサギ・コードウェル&ジュリ・ウー・ニェン&マユラ・ラバッツのオーブ3人娘、 ムウ・ラ・フラガ、ムルタ・アズラエル、ナタル・バジルール、オルガ・サブナック&クロト・ブエル&シャニ・アンドラスのお笑いトリオ、 フレイ・アルスター、パトリック・ザラ、ラウ・ル・クルーゼと主要メンバーが軒並み撃墜しているにも関わらず生き残ってしまいました。 それも単にドサクサに紛れて生き残ったのではなく、 序盤から乗り続けたデュエルガンダムを最後まで大破させることもなく(ガンダム11+1機の中で8機は完全に大破、残った4機の中でも一番無事な様に見えます)、 ザフトを裏切ったディアッカ・エルスマンをかばい、同じくザフトを裏切ったアスラン・ザラの恋人カガリ・ユラ・アズハをかばいつつ、 そのアスランとキラ・ヤマトの主人公2人でも何故か撃墜できなかったお笑いトリオのレイダーガンダムとカラミティガンダムの2機を撃墜するという快挙のおまけつきでした。 キラはフレイ・アルスターを守れる能力と好機がありながら結局守りそこないましたし、 アスランは父上を失った上にイージスガンダム、ジャスティスガンダムと困った時にはすぐ愛機を自爆させていましたから、 母上(ザフトのプラント最高評議会議員エザリア・ジュール)だって死ななかったしまともだったイザークは、 確かにもてませんしカマセ犬ですしSEEDを持つ者でもありませんでしたが、 へっぽこ感が漂っていた序盤から比べたら、主人公達以上に手の届く範囲でできることを精一杯やった人物に成長したと言えるでしょう。
 まぁ、せっかく生き残っても、母上は責任を問われて失権するでしょうし、恋人だっていないわけですし、 終わらない明日への希望なんてせいぜいカガリをかばったのだからアスランやディアッカのついでにオーブ首長国に匿ってもらえるかもしれないくらいだったりするのですが。

 近況その3。2003年9月28日、定期券が見つかりました、という夢を見ました。

 近況その4。「甲賀忍法帖生き残りマニュアル」をとりあえず完成させました。 ここで完成させないと次回以降私のモチベーションは極端に低下してしまいますので。


参考資料甲賀忍法帖生き残り対策マニュアル

2002年の邦画『ウォーターボーイズ』(2001年)
2002年の役者窪塚洋介、ARATA、サム・リー、中村獅童、大倉孝二(『ピンポン』 2002年)
ノミネート全8作
 ご存知、男子高校生によるシンクロナイズドスイミング物語。妻夫木聡、平山綾主演。 製作者本人達が語っていたように「普通のストーリーで前振りする80分間」+「28人によるシンクロナイズドスイミング10分間」という構成で、 特にラスト10分間は「この作品でしか見られそうにないシンクロナイズドスイミング」を見ているだけでも楽しいのにちゃんとその前の80分間の前振りを消化したり、 カーテンコールがあったりと、もはや現代日本を舞台にしては不可能だと思っていたミュージカル映画していました。
 また、松本大洋原作、宮藤官九郎脚本作品『ピンポン』の主演5名、 窪塚洋介(ペコ:星野裕)、ARATA(スマイル:月本誠)、サム・リー(チャイナ:孔文革)、中村獅童(ドラゴン:風間竜一)、大倉孝二(アクマ、佐久間学)を2002年の役者に選出いたしました。 この作品を観た時点では窪塚洋介以外はほとんど知らなかったのですが、皆様違和感なくキャラクターになりきれていました。 ただしキャラクターが完璧だっただけに作品自体はところどころに漫画的表現を上手く映画にできていないように思え、 本当ならもっと面白い作品になれるところを逃してしまっているように見えたのが残念でしたが。


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