甲斐高風の“ボクと『ボクと魔王』”
『ボクと魔王』(ソニー・コンピュータエンタテインメント/プレイステーション2)
me and Satan king
(尚、第3章は「プレイレポート」という性質上ネタバレは不可避のものであることを御留意の上、お読み下さい)
第3章 ボクと『ボクと魔王』が各論で
CHAPTER3: GAME REPORT
第1章 ボクと魔王が地下室で
chapter1: boy meets the king
主人公:ルカ(16)ただの少年
……っていうかすごく影の薄い少年。
待ち受ける災難に対して、無口で無力でボーゼンと立ちつくすことしかできない。
父親は村役場の課長。何の課なのかは不明。ちなみにムコ養子。
母親は専業主婦。実は元冒険者で、勇者の家系だったりする。だからといって勇者の血に覚醒したりしないところが、ルカのただの少年たるゆえんである。
武器は「拾った枝」(笑)。母方が勇者の家系なんだから旅立つ時にはもう少し武器っぽい武器を持たせてあげればいいのに。
後で見るに見かねたロザリーが「余り物の剣」をくれますけど。
しかし、ルカが戦闘不能→即GAMEOVERであるにも関わらず、デフォルトの特技が「陽動作戦(敵の攻撃をルカが引きつける)」と「オーバードライブ(仲間1人の攻撃力を上昇させる。ルカのHPを15%消費)」であるこのゲームって一体……。
今回の魔王:魔王スタン
……っていうかハクション大魔王(勇者ホプキンスに敗れポラックのツボに封印されていた)。本名スタンリーハイハットトリニダード14世。
ルカの妹アニーがサーカスを見に行った帰りにオバケによってパピリオンの呪い(話す言葉の一音一音の間にパ行の言葉が混じってしまう呪い、例:おはよう→おぱはぱよぽうぷ)にかかってしまった!
このままではおしゃまな美少女になるはずがお笑い系少女になってしまう!
かく成る上は魔王と契約してでも妹を救ってもらうのだ!と決意する家族達。
と、いうことでルカの影を乗っ取って復活を果たしたはいいが、別に何もできなかったりする。
パピリオンの呪い自体は解いたが、反作用(?)でアニーの影が蛍光ピンクになってしまいますし(結果的にアニーはこのおかげでモテモテになりましたが)。
よって、300年前に世界の半分を滅ぼした大魔王の転生だかなんだか知らないが、現状ではただの少年に頼らないと存在できない時点で魔王失格。
今回の仲間:魔王スタン
……っていうか影なので戦うのはルカなのだが。
それではここでスタンの数々の能力の一部を紹介しよう。
バーニング魔王:反撃。これが発動しなかったら最初の戦闘でいきなりGAMEOVERになっていた。
スマッシュ魔王:反撃。どう見ても頭突き。でも、スマッシュ=打ち下ろしなんだからこれでいいのか。
フライング魔王:先制攻撃。戦闘前に気まぐれに出してくるクイズに正解することでスタンの機嫌をとらないと使ってくれない。
友情サンダー:サンダーだけど無属性攻撃。ルカのHPを20%消費する。第5章で多用しすぎて雑魚相手にルカが戦闘不能→GAMEOVERになってしまったこともあったなぁ。
友情ブリザード:ブリザードだけど無属性攻撃。ルカのHPを40%消費する。
友情インフェルノ:ルカのHPを60%消費する。くどいようだがこのゲームはルカが戦闘不能→即GAMEOVERである。どこで使えっちゅうんだ、こんな技。
ジェームス(スタンの能力か?):悪の執事。タキシードのオバケ。多彩な登場&退場方法と、人妻から少女までの抜群の守備範囲(?)を誇る。
……ルカが苦労しないとスタンの能力が使えないというのは、ルカが子分だからというよりは、スタンが寄生虫だから、という気がしてしまうのですが。
ちなみにこの章の戦闘は1回だけ。
今回のヒロイン:ジュリア
村一番の清楚な美少女。ルカの幼なじみ。
マジメで正直で影が薄くて結婚したら尻に敷けそうでつめたいご飯を出してもだまって食べてくれそうであたしが服を衝動買いしてもなんにも言えないようなルカのことが好きだった(過去形)が、
影は魔王に乗っ取られるわ、冒険でたくましくなるわ、とどんどん好みから外れていく。
第2章 ボクと魔王とピンクの勇者
chapter2: pink hero appear
今回のヒロイン:ロザリー
勇者。「光速のレイピア使い」。あこがれのお姉さま。
いきなりほっぺたとはいえ16歳の少年・ルカにキス(笑)。
今回の仲間:ロザリー(22)勇者
……っていうかお笑い勇者。
ウエストが太すぎるうえ尻がたれている(スタン談)らしいが、そのおかげで3年前にスタンに影を乗っ取られなかったのだから世の中、何が幸いするかわからない。
しかし、スタンに影を乗っ取られかけた反作用(?)で勇者大学のアイドルだったのに影が蛍光ピンクのお笑い系になってしまい、それを隠す為に常に日傘をさしているが、その姿が既にお笑い系。
でも、特技や防御で日傘をきちんと活用していたりする。いきなりスタンを封印するためとはいえスタンの宿主・ルカを殺そうとする(笑)。
イメージボイスは三石琴乃(独断)。
武器はレイピア。レイピアなのに何故か回転しながら斬りつけていたりする。
防具はヨロイ。他の仲間が服、白衣、ズボン、ドレス、タキシードであるところと比べると流石は勇者。
あ、ちなみにこのゲーム、魔王もいっぱいいるんですけど、勇者もいっぱいいるんです(なんせ、勇者大学や勇者協同組合なんてのがあるくらいですから)。
今回の魔王:下水道魔王
……っていうかネズミ。子分もネズミ。ダンジョンの入口でいきなり待ち構えている時点で魔王失格。
第3章 ボクと魔王とワガママ娘
chapter3: a selfish girl
今回の仲間:キスリング(45)オバケ学者
……っていうか、自称・世界最高のオバケ学者だそうなんですけど、世界最高も何も他にオバケを研究している人はいるのでしょうか。本名グッデン・キスリング。
天才らしいので、天才にしか理解できない。
変人らしいので、変人にしか理解できない。
武器は本。貴重な本ほど攻撃力が上がるのはそれだけ分厚いってことなのかもしれないが、いいのかそれで。
ちなみに、主人公の剣や勇者のヨロイを差し置いて、何故か彼の本や白衣が最強の攻撃力や防御力を誇っていたりする。
今回の魔王:水泡魔王
……っていうかへんなおさかな。子分はカニ。せっかく王女を誘拐しておきながら有効利用できなかった時点で魔王失格。
今回のヒロイン:マルレイン
王女。どこの国の王女なのかは不明。天の声を聞くことができるらしい。
登場早々強烈なビンタで今回の魔王の特技並みのダメージ18をルカに与える。
スタンからルカの権利を7割奪うことにも成功し、ルカの立場は、王女の召使い7割、魔王の子分3割という状態に。
無言のプレッシャーでもってルカの選択肢も強引に決定してしまう。
第1章で魔王、第2章で勇者とくれば、第3章では王女が登場するわけですね。
魔王や勇者のようにいっぱいいなくてほっとしました。
「実は最強の呼び声」「でも自分では戦わない」「しかも誘拐される」というのはリトルマスターシリーズからの王女の伝統ですね。
第4章 ボクと魔王とあやしいヤツら
chapter4: strange people
今回の魔王:会長魔王
……っていうか脂ぎった男。子分はヨロイ。情報と経済で世界を征服する男というのは悪くないが、魔王というより単なるメディア王のような気もしなくもない。
いずれにせよ、追いつめられるとあっさりと会長を辞任して逃走、再起を狙うという時点で魔王失格。
今回の魔王:巨牛魔王
……っていうかまんま牛。子分も牛。世界征服なんぞを企まず、大魔王世界ベルト(?)をかけて強いヤツと闘いたいだけという時点で魔王失格。
そもそもゲームひとつにつき1人いれば十分な魔王が各章にいるだけでも多いのに、ひとつの章で2人目として出てくる時点で魔王失格。
今回の仲間:ビックブル(忘れた←年齢ね)魂の格闘家
……っていうか元・巨牛魔王。本名ビックブル・ザ・ブルーザー。
彼の理解によるとうちのパーティは「組長(王女)」「アニキ(魔王)」「姐さん(勇者)」「先生(オバケ学者)」「駆け出し(ただの少年・魂の格闘家)」らしいです。
武器は徒手空拳(「闘いの心得」なる巻物を装備している)。
今回のヒロイン:リンダ
アイドル歌手をめざす少女。アイドルとしての容姿や性格は備えているが、いかんせんオンチ。町の人々の評価は「リンダちゃんは歌さえ歌わなければいいコなのに」。ルカをコーチと慕う(?)。チャームポイントはツノ(?)。
今回の魔王:アイドル魔王
……っていうかリンダ。子分はクマ。「インチキ魔王にもほどがあるぞ」「あんな魔王がいてたまるか」というスタンの言葉にうなずかずにはいられない。
洗脳を武器にしているところはよかったが、ひとつの章で3人目(しかも下水道魔王、会長魔王に続きひとつの町でも3人目)、「アイドル魔王」という名前、
戦う理由が「コーチを超えてみせます!」であるところ等、何もかもが魔王失格。
「魔王の親衛隊」と聞いて、ピンクのハッピ&ハチマキで「リンダちゃん、萌えーっ!」「L・O・V・E、ラブリー・リンダ」なんて熱い声援をおくる連中だと、誰が思います?
今回の仲間:リンダ(ひ・み・つ←年齢ね)アイドル歌手
……っていうか元・アイドル魔王。洗脳が解けた為、どうやらアイドルとしては落ちぶれてしまったらしい(笑)。
アイドルだから特技で投げキッスも活用。
アイドルだからブリッコブリッコした歩き方。
アイドルだからパンツ(白)も惜しみなく披露。
アイドルだから武器はマイク(と美脚)。確かに歌ったりもしているけど、普段はマイクを敵に蹴りつけて戦っているように見えますが。
今回のサブヒロイン:マダラネコ団団長「生傷」マギー
美少女ギャング……っていうか単なるオテンバ。ポニーテール、ソバカス、年齢の割に聡い、母親は既に他界し父親は酔いどれ荒くれオヤジ等個人的なツボ目白押し。ライバル・ヒゲモグラ団団長ロバート・クリストフ3世(その実体は好きな女の子に意地悪していただけ)とお幸せに。
第5章 ボクと魔王が町から消えた
chapter5: disappearance
今回の魔王(?):サーカス魔王
……っていうかサーカス団団長ブロック。自分の魔力を丸ごと他人にあげちゃう時点で魔王失格(失格も何も既に元・魔王なのだが)。
それよりも影が薄いというのはサーカス団団長としても失格なのではないだろうか。
でも、ルカ達を差し置いてオープニングに出演していたりする。
今回のヒロイン:少女?
「わたしはここ‥‥本当はここにいるの‥‥」
ちなみに好感度のトップがロザリーで確定してしまい、「気高きレイピア」を入手。
ストーリー的にもアイテム的にも「再会の服」を入手する展開にしたかったんですけどね。
今回の魔王:幻影魔王
……っていうか本心が読めず神出鬼没でタキシード着用、と書くとジェームスと変わらないのだが(むしろ神出鬼没のバリエーションの豊富さで負けている)。子分は魔剣。
下水道、水泡、会長、巨牛、アイドル、サーカスに比べると、幻影というのは魔王っぽい。
その名前に相応しく、基本的に物理攻撃が効かないところも魔王っぽい。
饒舌にして思わせぶりな態度であるところも魔王っぽい。
しかしながら、敗北して魔王を辞めるために戦いを挑んでくる時点で魔王失格。
第6章 ボクと魔王と夜とカゲ
chapter6: night shadow
今回の仲間:エプロス(不明←年齢ね)謎の魔術師
……っていうか元・幻影魔王。
武器はカード(「ダイヤのJ」と「クラブのK」の攻撃力の差というのもよくわからないが)。
物を浮遊させたり自分が浮遊したり瞬間移動したりしているのは今まで幻影だから、或いは魔王だから出来たのかと思っていたら、
魔力0になった今でも普通にできていたりする(戦闘不能になっても浮遊しているくらい)。あれは全部手品なんだろうか。
それにしてもこのゲーム、
主人公ルカ(ボク)が魔王スタンに影を乗っ取られるから『ボクと魔王』というタイトルだと思っていたら、
他の仲間も魔王スタンに影を乗っ取りかけられた勇者と3人の元・魔王(と何故か学者)、
敵も次から次へと現れるボスがみんな魔王、
どこもかしこも『ボクと魔王』だったんですねぇ。
ちなみに、「何故か学者」と書きましたが、キスリングが仲間にいることは、ルカ達にとってもプレイヤーにとっても、実は非常に大きいです。
彼がいなくてもストーリーは成立するでしょうが、彼がいないとストーリーを理解できないといえるのです。
ってことは、ルカ達もプレイヤー(例えば甲斐高風)も天才か変人ってこと?
今回のヒロイン(なのか?):リンダ
「スタン様からあたしを奪う勇気があるならリンダと呼び捨てて強引にグリグリモグモグしてみて!」
今回の魔王:吸血魔王
……っていうかドラキュラ。子分もコウモリ。
礼節を知り、下手な小細工を弄さず、優雅にワイングラスを傾け、霧をまとい、邪悪にして最強たらんと吸血によって力を貯える新たな大魔王候補。
1回GAMEOVERになりました。
実際の出番が極めて短いのは魔王っぽいといえば魔王っぽいが、その中で運命に抗えず、存在感をアピールできなかった時点で惜しくも魔王失格。
ちなみにこの章の戦闘は吸血魔王との1回だけ。
第7章 ボクと魔王が図書館で
chapter7: last episode
今回の魔王:大魔王スタンリーハイハットトリニダード14世(スタン)
……っていうかごついおっさん。ファンサイトによると美少年だと期待していた方もいたようで、ご愁傷様です。
強大な魔力、圧倒的な威圧感、世界征服という野望、いずれも魔王たる要素は満たしているが……結論だけ書くと、とある理由で魔王失格。
今回のヒロイン:大勇者ロザリー
この世の正義を顕す者。正義の力、光の守護、格好良さ、いずれも勇者たる要素は満たしているが……結論だけ書くと、とある理由で勇者失格。
で、最後の戦闘の後、エンディング。
ロザリーもリンダも他の男を追いかけて行ってしまいます(ロザリーは好感度トップだったはずなのに)。
冒険のダイゴミといえば、なんといってもboy meets girl(←GAME REVIEWと話が違うじゃん)なのですが……?
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