甲斐高風の“ボクと『ボクと魔王』”
『ボクと魔王』(ソニー・コンピュータエンタテインメント/プレイステーション2)
me and Satan king
「世界を革命する力を!」(『少女革命ウテナ』(ビーパパス)天上ウテナの台詞より)
第1章 ボクと『ボクと魔王』が総論で
CHAPTER1: GAME REVIEW
いきなりだが、RPGの魅力とは、なんだろうか。
私は、冒険のダイゴミを楽しめるところにあると思う。
ゲームの中でなら、現実では不可能であろう冒険のダイゴミを思う存分に味わうことが出来る。
では、冒険のダイゴミとは、なんだろうか。
“boy meets Satan king”
魔王を倒せば、勇者になれば、冒険なのか。
“boy meets girl”
ヒロインと艱難辛苦を乗り越えて結ばれれば、冒険なのか。
私は、違うと思う。
“boy meets world”
世界を知ることこそ、冒険であると思う(あ、ちなみに、boyである必然性はないですけど)。
世界は広い。
私には球速160km/hのボールを見ることはできない。
私には2時間台で42.195kmを走る世界を体験できない。
私にはエベレストの山頂から眼下に雲海を見渡すことはできない。
私には幽霊を見ることはできない。
私には女性をとっかえひっかえする生活も縁がない。
自分が認識している「自分の壁の中の世界」なんて、客観的な世界や、他の皆々様が認識している世界に比べて、極めて矮小だ。
でも、普段はその「自分の壁の中の世界」で、どんなことでも対処してしまうのだ。
あるべきではないものを見てしまってもそんなものは見なかったふりをしたり、
逆にあるべきものが見つからなくてもちゃんと見えているふりをしたりして。
それでも、いろんな人や考え方に出会い、影響され、影響することで少しずつ少しずつ、「自分の壁」の位置をずらして「自分の世界」を広げていく。
それが、成長というやつである。
だから、もしも「世界を革命する力」があるとすれば、
それは世界レベルでの革命を実現するだけの武力や、「自分の壁の中の世界」を都合のいいように「分類」する力ではなく、
「自分の壁の中の世界」の「自分の壁」を、壊し、「自分の世界」を一気に広げる力に他ならない。
格闘ゲームをいくらプレイしても格闘家になれないように、「剣と魔法のRPG」をいくらプレイしても、剣も魔法も使えるようにはならない。
でも、優れた格闘ゲームで格闘のダイゴミ(瞬時の攻防の読み合い等)を楽しめるように、優れた「剣と魔法のRPG」で冒険のダイゴミを味わい、「世界を革命する力」を手に入れることは、充分に可能なのである。
(格闘家になれない者が格闘のダイゴミを楽しめるようになるということも、小さな「世界を革命する力」なのかもしれないが)
そして、『ボクと魔王』という「剣と魔法のRPG」(正確には「影とオバケのRPG」)は、要するにそういうゲームなのである。
「このボウズ見て、やる気を出してくれりゃオレはうれしいぜ」(ブロック)
第2章 ボクと『ボクと魔王』とZENER WORKS
CHAPTER2: AMUSEMENT SOFTWARE DEVELOPER
ZENER WORKS(有限会社ツェナーワークス)という会社をご存知でしょうか。
私がこの会社の名前を知ったのは、1992年のことでした。
当時、雑誌で『Little Master2 雷光の騎士』(以下『2』と表記)という面白そうなゲームを見つけました。
ほのぼのとしたシミュレーションRPGのようでした。
そして或る日、ゲームショップの店頭に『2』と一緒に『Little Master ライクバーンの伝説』(以下『1』と表記)が並んでいるのを見た私は、
とりあえずリーズナブルなお値段になっていた『1』だけを買って帰って来ました。
その時、この面白そうなゲームが、本当に面白いゲームであると知り、そのゲームを制作している会社がZENER WORKSであると知りました。
そして、いそいそと『2』を買いに行ったら、もう売っていませんでした。
『2』が見つからないまま3年間が過ぎました。
そんな或る日、雑誌で『Little Master 虹色の魔石』(以下『3』と表記)を見かけたのです。
なんでいつも雑誌で見かけるのかというと、その雑誌ではFFやDQに負けないくらい大々的に特集が組まれていたからでした。
なんでそんな特集が組まれていたのかというと、
それはFFやDQに負けないくらいの人気や知名度があったからです。と、信じています
(ちなみに、その雑誌が「ファミリーコンピュータMagazine」、いわゆるファミマガで、
ファミマガは徳間書店が発行していて、リトルマスターシリーズは徳間書店インターメディアが発売していたという事実があったりもします)。
とにかく、『3』はこれまた面白そうなゲームであり、本当に面白いゲームでした。
しかし、その後リトルマスターシリーズは発売されることはなく、
私のへっぽこな情報網ではZENER WORKSが他のゲームを制作したという話も聞かず、
それどころかZENER WORKSのHPは数年間更新されておらず、
『2』も相変わらず見つかりませんでした。
正直な話、ZENER WORKSはもうこの世からいなくなっていると思っていました。
『2』が見つかったのは、2000年1月18日のことでした。
結局8年間もかかってしまいました。
それはやっぱり、本当に面白いゲームであり、甲斐高風GRAND PRIX2000年家庭用ゲーム部門に選出してしまったくらい、とにかく夢中で楽しみました。
しかし、新しくリトルマスターシリーズは発売されることはなく、
私のへっぽこな情報網ではZENER WORKSが他のゲームを制作したという話も聞かず、
それどころかZENER WORKSのHPは数年間更新されていない、
という状態が変わったわけではありませんでした。
とある方法でZENER WORKSが未だに存在することは知りましたが、もう家庭用ゲームの制作には携わっていないのだろうと思っていました。
ところで2000年3月4日にはプレイステーション2が発売されました。
このハードを買おうかどうしようかということは、何回か私の頭を悩ませることになります。
例えば、2000年3月30日に美麗な3D格闘ゲーム『DEAD OR ALIVE2』(テクモ)が発売された時には悩みました。
この時は結局見送って、リーズナブルなお値段になっていた『DEAD OR ALIVE』(テクモ/プレイステーション)を買いました。
ちなみに2000年9月28日にはドリームキャストで『DEAD OR ALIVE2』が、
2000年12月14日にはプレイステーション2で『DOA2 HARD・CORE』が、
2002年8月1日にはプレイステーション2で『DOA2 HARD・CORE PlayStation 2 the Best』が発売されました。
それから、2001年3月15日に面白おかしい人形劇のようなRPG『ボクと魔王』が発売された時にも悩みました。
この時も結局見送って、2001年3月29日に再販された『キャプテン・ラヴ』(ハムスター、東芝EMI/プレイステーション)を買いました。
ちなみにこのゲームは、甲斐高風GRAND PRIX2001年家庭用ゲーム部門に選出しました。
そんな或る日、ZENER WORKSのHPがリニューアルされていたことを知りました。
そこには、作品として、リトルマスターシリーズと共に、『ボクと魔王』が掲げられていたのです。
この時、私はプレイステーション2の購入を決め、2001年6月26日には実際に購入しました。
ちなみに2001年7月1日にはプレイステーション2が値下げになりましたし、
この時決めていなくても2001年7月19日に『FINAL FANTASY X』(スクウェア)が発売された時に結局買っていたかもしれませんし、
諸般の事情から『ボクと魔王』を購入したのは2001年10月11日のことでしたが。
とにかく、『ボクと魔王』はこれまた面白そうなゲームであり、本当に面白いゲームでした。
さて、随分と時間はかかりましたが、
『2』も見つかり、
ZENER WORKSのHPも更新され、
ZENER WORKSは『ボクと魔王』を制作しました。
残るは新たなリトルマスターシリーズの発売のみです。
そして2002年10月19日現在、ZENER WORKSのHPには「FUTURE」という文字と共に、『Little Master』の文字が躍っているのです。
ZENER WORKS作品年表
1991.04.19.『Little Master ライクバーンの伝説』(徳間書店インターメディア/ゲームボーイ)★リトルマスター−1
1992.03.27.『Little Master2 雷光の騎士』(徳間書店インターメディア/ゲームボーイ)★リトルマスター−2、甲斐高風GRAND PRIX2000年家庭用ゲーム部門受賞作
1995.06.30.『Little Master 虹色の魔石』(徳間書店インターメディア/スーパーファミリーコンピュータ)★リトルマスター−3
2001.03.15.『ボクと魔王』(ソニー・コンピュータエンタテインメント/プレイステーション2)
2002.08.01.『ボクと魔王 PlayStation 2 the Best』(ソニー・コンピュータエンタテインメント/プレイステーション2)★『ボクと魔王』の廉価版
2002.12.13.『CROSSGATE POWER UP KIT −竜の砂時計−』(エニックス、dwango/Windows95/98/98SE/Me/2000/Xp)★オンラインネットワークRPG『CROSSGATE』の拡張キット、キャラクターデザイン担当
●第3章へ●(尚、第3章は「プレイレポート」という性質上ネタバレは不可避のものであることを御留意の上、お読み下さい)
●★2000年★へ●
●その他まとめて推進委員会へ●
●TOPへ●