2011年




『[ショート★ストーリーズ] 3分間のボーイ・ミーツ・ガール』(井上堅二ほか/エンターブレイン 2011.08)
 収録作品
  「3min.30cm」(田口仙年堂)
  「詰め込み教育の弊害と教室の片隅に彼女」(日日日)
  「ガチで人生が決まる面接に行ってくる」(庵田定夏)
  「ねこなぶり」(嬉野秋彦)
  「三分間の神様」(榊一郎)
  「七年前のマリッジリング」(本田誠)
  「お湯を注いで」(櫂末高彰)
  「こっちにおいで、子猫ちゃん。」(野村美月)
  「ネオンテトラのジレンマ」(綾里けいし)
  「5400万キロメートル彼方のツグミ」(庄司卓)
  「先輩にリモコンを向けてみた」(前書き)
  「トキとロボット」(羽根川牧人)
  「ロイヤルコーポあさひの真実」(竹岡葉月)
  「QとK」(築地俊彦)
  「3分間のABCD……」(はせがわみやび)
  「杉宮遥は男前っ!」(新木伸)
  「call」(佐々原史緒)
  「彼女に関する傾向と対策」(田尾典丈)
  「三分間のボーイ・ミーツ・ガール」(井上堅二)
ノミネート全76作
 「3分間」をキーワードに様々なボーイ・ミーツ・ガールを描いた19人の作家による19篇のショートストーリー集。
 読者層的に正しいとは思うけど男性視点ではない作品が「トキとロボット」(羽根川牧人)と「三分間のボーイ・ミーツ・ガール」(井上堅二)だけなのでもう少しそういった作品も読みたかったかも。
 この手のショートストーリー集は新しい作家との出会いのきっかけになると思うんだけど今回の執筆陣は割と本気でファミ通文庫オールキャストなのでここで出会った作家の他の作品を読もうと思うとファミ通文庫にたどりつくという読者も作家もファミ通文庫も得する本だと思う。
 あ、あと「杉宮遥は男前っ!」(新木伸)は作者本人が認めているようにショートストーリーではなくて長編小説の冒頭一章分なので早く続きを書いてファミ通文庫から新シリーズとして出して下さい。

 よっつばかりオススメを挙げると以下の通り。

「3min.30cm」(田口仙年堂)
 同じクラスだけどほとんど接点などなかったのにちょっとしたきっかけで3分間という短い曲を片方ずつのイヤホンという30cmの距離で聴くことになった男女の物語。
 収録1作目からの青春ストレートど真中。
 しかも作中経過時間がほぼ3分間。
 その所為で「3分間」というのはあくまでもキーワードで別に3分間でボーイ・ミーツ・ガールしなくちゃいけないわけではないということに気づくのは次の作品↓を読んでる途中だったりする。

「詰め込み教育の弊害と教室の片隅に彼女」(日日日)
 ここはどこで僕は誰だか何も思い出せない状況の中、どうやらここは教室で、今は≪二学年一学期末考査――世界史≫のマークシート形式のテスト中で、問題用紙の余白に書かれた殴り書きによると≪『僕』の記憶は三分間でリセットされる≫≪それは今回のテストで高得点をとるために、猛勉強をしたせいである≫ということらしくて、そこに左隣の『彼女』がこつんっ、こつんっ、こつんっと頭に消しゴムのかけらをぶつけてきて……という物語。
 というわけで収録2作目。
 作中経過時間は15分間ちょい。
 他の人の感想を読むとあまり評判がよくないみたいだけど、「その賭け」に勝つために記憶を失ってしまうぐらいに猛勉強をした主人公とそれが嬉しそうな彼女の関係性が好き。
 あと肝心の「その賭け」の内容が最後まで明言されてないところも好き。
 ちなみに次の「ガチで人生が決まる面接に行ってくる」(庵田定夏)までの冒頭3作のヒロインは全員制服姿で黒髪ストレートロングだったりする。

「ロイヤルコーポあさひの真実」(竹岡葉月)
 教習所と小学校のグラウンドを挟んで、大学まで徒歩3分という近距離での一人暮らしの所為で周辺の学生の共有財産と化したロイヤルコーポあさひ203号室に住む主人公だったが、ある日コタツの中に女の子が丸くなって寝ていて……という物語。
 しまった、よく考えたらこの作品読んで思いつくことはネタバレにしかならないので何も書けないじゃないか!
 「恋はするものではなく落ちるものだ」とはけだし名言だね。
 読み返したら彼女が素足の爪をほんのり薄オレンジ色に塗っていたことに驚いてみたりみなかったり。

「彼女に関する傾向と対策」(田尾典丈)
 3年ぶりに高校で再会+帰りのバス停でふたりきりという千載一遇のチャンスに主人公は彼女に告白する、が、彼女の返事は「付き合うかどうか、面接で決めさせてほしい」。制限時間は彼女が乗るバスが来るまでの3分間。という物語。
 収録最終作。あ、ちなみに「三分間のボーイ・ミーツ・ガール」(井上堅二)は「後日談というか、今回のオチ。」なので(オイ)。
 1作目同様これも作中経過時間がほぼ3分間。
 1・2作目同様これもヒロインは制服姿で黒髪ストレートロング。
 この作品といい「ガチで人生が決まる面接に行ってくる」といい一応ネタバレになっちゃうから名前は伏せるけどもう1作といい「3分間」といえば面接なのかもしれない。

 オリジナル巻頭カラーイラストとして「放課後、永遠の3分間」(庭)「彼女は俺が皆既日食を見逃したことをまだ知らない」(Tiv)「コンビニ・レジ ファースト・ラブ」(CUTEG)。
 ここからもひとつオススメを挙げると「彼女は俺が皆既日食を見逃したことをまだ知らない」。
 いや、そこはスカートの中じゃなくて表情に見惚れようぜ。


徒然雑記   ショートストーリーズ 3分間のボーイ・ミーツ・ガール

いつも月夜に本と酒    「片方だけでいいから」 「ショートストーリーズ 3分間のボーイ・ミーツ・ガール」井上堅二、田口仙年堂他(ファミ通文庫)


 ちなみに、2011年の作家は2000年、2008年に続き、作家生活25周年特別刊行3作や再読含めて7作の東野圭吾


 そして、2011年の漫画家は5作の甘詰留太大見武士の両名。


参考資料甲斐高風のBOOK LIST(井上堅二ほか)
参考資料東野圭吾作品年表
参考資料漫画家作品年表(甘詰留太)
参考資料漫画家作品年表(大見武士)


TVドラマ『鈴木先生』(テレビ東京 2011.04.-2011.06.)
役者山田孝之、宅間伸、木南晴夏、ムロツヨシ(『勇者ヨシヒコと魔王の城』テレビ東京 2011.07.-2011.09.)
ノミネート全48作
 


TVアニメ『STAR DRIVER 輝きのタクト』(TBS 2010.10.-2011.04.)
TVアニメ・特別賞『日常』(テレ玉 2011.04.-2011.09.)
ノミネート全64作
 トンデモ最終回を初見で心と頭が受け入れた度合いを思いつくままにメモ(作品全体の評価とは一致しません)。

『創聖のアクエリオン』(2005.04.-2005.09.)
『劇場版 機動戦士ガンダムOO -A wakening of the Trailblazer-』(2007.10.-2008.03./2008.10.-2009.03.→2010.09)
『STAR DRIVER 輝きのタクト』(2010.10.-2011.04.)
『天元突破グレンラガン』(2007.04.-2007.09.)
『世紀末オカルト学院』(2010.07.-2010.09.)
『交響詩篇エウレカセブン』(2005.04.-2006.04.)
『魔法少女まどか☆マギカ』(2011.01.-2011.04.)
『新世紀エヴァンゲリオン』(1995.10.-1996.03.)
『舞−HiME』(2004.10.-2005.03.)

 


邦画『仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE』(2010年)
ノミネート全11作
 


洋画『アイアンマン(Iron Man)』(2008年:アメリカ)
ノミネート全11作
・ ロバート・ダウニー・Jr主演。

・ ハルクやソーやキャプテン・アメリカ達と共に2012年の『アベンジャーズ』へ、そしてその先へと連綿と続くアメコミ映画の一大叙事詩MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)シリーズの第1作。

・ 兵器産業の天才社長、トニー・スタークが自ら開発したパワードスーツを身にまといスーパーヒーロー、アイアンマンとなるオリジン(誕生物語)。

・ 映画としてはやっぱり空を飛ぶ!レーザーを撃つ!美人秘書がいる!という痛快さはいいなぁで話は終わるのですが、 そんな痛快さよりも、アイアンマンの動力源のアーク・リアクターはトニー・スタークが映画序盤で食らった爆弾の破片が心臓に達しないように引っ張っている電磁石の動力源=生命維持装置として彼の胸についているんだけど本人や美人秘書や敵がこれをいじろうと胸に手を入れたりするシーンがやたら痛々しかったのが実は一番印象に残っていたりします。


「I am Iron Man.」(Tony Stark)


アニメーション映画『塔の上のラプンツェル(Tangled)』(2010年:アメリカ)
ノミネート全11作
 ディズニー長編アニメーション第50作記念作品で所謂プリンセスストーリー初の3D作品。
 グリム童話の「ラプンツェル」原作。
 原題は「絡めとられて」。
 いいタイトルをつけるなぁ。
 
 ラプンツェル。
 18年間塔の上に閉じ込められていた髪長姫。
 ディズニー映画史上もっとも魅力的かもしれないヒロイン。
 裸足だし(重要なのそこか?)。
 装備はフライパン。
 料理は得意みたいだけど恋人に披露する機会はあったのかしら。
 「彼はきっと私が好きなの」という台詞にはびっくりした。
 私はきっと彼が好きな時にそういうことを言うんだ。

 フリン・ライダー。
 王国からティアラを盗み出した大泥棒。
 ディズニー映画史上もっとも共感できるかもしれない男。
 前半周囲のノリについていけなくて所在なく佇んでいるところから後半ノっていくところまで観客とのシンクロ率が絶品。
 ちなみに原作に近いストーリーに見せかけようとしている初期のトレーラーにまんまと釣られてフリン・ライダーを王子だと思い込んでいたので冒頭で否定されて物凄く驚いた。

 恋に魔法に冒険に笑いに涙にミュージカルに森に水に街に人に灯りにと隅から隅まで王道の力、映像の力の素晴らしさを堪能できる作品。
 上で裸足のことを書いたけど生まれて初めて草原を裸足で踏みしめる心地よさをちゃんと描いている作品なんだよね。

 ただし『魔法にかけられて』の所為でディズニーの王道の力を見せつけられると感動的なシーンでも時々何とも言えない微妙な気持ちになってしまうのは内緒だ。

 『ラプンツェルのウェディング(Tangled Ever After)』(2012年)という短編後日談あり。


ゲーム『ToHeart2 ダンジョントラベラーズ』(CEROレーティングD:17才以上対象、AQUAPLUS/プレイステーション・ポータブル 2011.06.30.)
ノミネート全18作
 


キャラクター苑田遥斗、明井千紘、明井克也、苑田遥巳、明井瑞穂(『このこここのこ』藤こよみ/一迅社)
 苑田誠一郎と明井鞠の再婚(明井鞠は2回離婚して3回目の結婚、3人の子供は3人とも父親が異なる)&海外転勤で家族になった途端5人での生活を強いられるようになった社会人2年目の明井克也、女子大生の苑田遥巳、高校2年生の明井千紘&苑田遥斗、小学2年生の明井瑞穂達の家族の物語。
 「居場所探し」「ひょんなことから偽物が本物になろうとする物語」という点は藤こよみの次作である『ヤシコー初代生徒会』(双葉社)と通じるものがある。
 もっとこの「家族」を長く見ていたかったのだけど、「月刊COMIC REX」(一迅社)のリニューアルのあおりを食らうかのように終わってしまったのが残念。

 尚、一応2011年のキャラクター・次点を挙げておくと、藤木悟郎、三浦紗那、原由加利(『一緒に暮らすための約束をいくつか』陸乃家鴨/芳文社)になります。
 一つ屋根の下で暮らしている35歳のフリー映像クリエーター&彼の亡くなった親友夫婦の娘である14歳の女子中学生と、 彼の大学時代の後輩→依頼主(大手広告代理店ディレクター→独立して社長)をやっていて二人の同居関係の際のロリコン疑惑以降恋人役をやっていた才媛の3人です。

 『このこここのこ』と『一緒に暮らすための約束をいくつか』が並ぶあたりきょうだいかおやこかの違いはあれど家族というものに何か思うところがあるのかなぁ。
 単なる性癖なのかなぁ。


参考資料漫画家作品年表(藤こよみ)
参考資料漫画家作品年表(陸乃家鴨)


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