キャプテン・ラヴ

「愛のミレニアム・ファイヤー!」

 

PC詳細設定・裏設定

 

 【裏設定】

 以下の各PCの設定にも情報が分散して書いてありますが、沙織、PC3、PC2の間には次のような過去があります。

 沙織は大変なお兄ちゃん子で、兄であるPC3のことを慕っていました。高校2年生のときに、沙織は地元の「鞍馬の火祭り」に参加することになります。PC3も数年前にやったことのある神事でもあり、友人にでも誘われたのでしょう。火祭りの終幕近くに松明を持って走る勇壮な部分もあり、不安になった沙織は、兄に「絶対見守っててね」と約束します。妹を可愛く思っている兄(PC3)も、深い考えなしにこれを受け入れます。

 当時、PC3はすでに大学生で、京都市内(鞍馬は京都郊外です)の高校に通っていたPC2の家庭教師をアルバイトでしていました。家庭教師を続けるうちにPC2とPC3は親しくなり、火祭りの頃には交際関係にまでありました。そして、PC2は火祭りと同じ日にデートをしようとPC3に持ちかけたのです。

 遅くなるまでには帰れるだろうと考えたのか、PC3は妹との約束よりも恋人の方を選んでしまいます。PC3は結局、火祭りを、沙織を見に行ってやることは出来ませんでした。その火祭りで事故があって、沙織は松明の火で左肩から上腕部にかけての大火傷を負ってしまいます。幸い、命に別状がなかったものの、兄が恋人を優先して自分との約束を破ったことに、沙織は火傷よりも重い心の傷を負います。

 沙織の様子を見て、PC3は自らの行為の罪深さを悟って、PC2に別れを告げます。PC2にとっては、一方的で意味の通じない、唐突な別れの宣告でした。PC2はこの時の経緯に対して、いまだに釈然としないものを持っています。PC2と分かれたPC3は、沙織と共にラブラブ党に入党。誰かを犠牲にする、排他的な恋愛感情を否定し、愛の共産化を目指すようになるのです。

 沙織とPC2は、3年前のこの事件の時点では面識はありません。沙織とPC2が親しくなって、ある時「沙織の兄」、「沙織の親友」としてPC3がPC2と再会したのは、運命の皮肉でしょう。

 

 

 PC1(主人公、党員、男)

 あなたはラブラブ党京都支部の党員で、大学の2回生です。ラブラブ党ではあなたの実力は認められ、幹部候補生とされています。ラブラブ党ではPC3の指揮する部隊に現在は属しています。

 PC2や、PC3の妹である沙織とは大学サークルを通じて知り合った友人です。彼女たちにはあなたがラブラブ党員であることは知らせていません。基本的に、党員以外には自分が党員であることは明かしていないと考えて下さい。

 論撃時のコスチュームと名前を決めて下さい。また、あなたとPC3の所属する部隊名を2人で話し合って下さい。

あなたは、何らかの理由で個人的恋愛感情を否定し、愛の共産化を目指しています。そこには、過去の何らかの想い出があるのでしょうか。

 PC3の妹であり、親しい友人でもある沙織に対して、あなたはただの「友人」以上の好意を抱いています。それが、否定したはずの個人的恋愛感情というつまらないものであるのか、そこのところはまだ判然としません。

 

  PC2(友人、非党員、女性)

 あなたは大学の2回生で、PC1やPC3の妹である沙織とはサークル活動で知り合った友人です。

 特に沙織との仲は親友といってもよいでしょう。彼女のために一肌脱げることがあれば、喜んで骨を折るくらいの関係です。

 あなたは3年前、家庭教師をしてくれていたPC3と交際していました。当時あなたは、まだ沙織とは知り合っていません。なかなかフィーリングもよく、お互い愛し合っていて何の問題もなかったはずなのですが、ある日、PC3の方から不可解な理由で別れを切り出されました。

 大学進学後、沙織と友人になったあなたは、「沙織の兄」としてPC3と再会しました。ただし、気になる別れ方をしていることもあり、ぎこちない関係です。もっとも、今のPC3はあくまで「友達のお兄さん」なので、頻繁に顔をあわせるわけではないのですが。なお、沙織とは「親友」に近い関係と考えて下さい。

 あなたは今でも心のどこかでPC3のことを想っているのでしょうか。それとも、既にそれは過去の想い出として清算してしまっているのでしょうか。沙織にはお兄さん(PC3)と昔付き合っていたことは言ってません。

 彼から突然別れを切り出されたため、三年経った今でもまだあなたの中では整理がついていません。表面では他の男性と付き合っていたとしても(どちらでも結構です)、少なくとも彼が何故離れていったのか、その一点には疑問があり、真実を知りたいとの思いがあります。

★キー・アイテム:問題集

 PC3が家庭教師をしてくれていたときに、主に使っていた教材です。PC3の入れた朱が所々に残っています。問題集は三分の二ほどしか進んでおらず、唐突に止まっています。彼から別れを告げられた、あの日の日付を最後に。

 

  PC3(沙織の兄、党員、男性)

 あなたは大学院生(修士1回)です。大森光二・社会環境学教授の研究室に所属しています。また、ラブラブ党京都支部の党員であり、裏部隊の一つを任される幹部でもあります。PC1はあなたの部隊に所属する後輩党員です。ラブラブ党員であることは基本的には非党員には明かさないで下さい。論撃時のコスチュームと名前を決めて下さい。また、あなたとPC1の所属する部隊名を2人で話し合って下さい。

 あなたには妹がいます。彼女の名前は沙織といい、同じ大学の2年生です。次のことは決して他言しないで下さい。彼女も実はラブラブ党員ですが、党の中でも特に機密性の高い部署に所属しているため、党員でもあなたのような幹部級の人間以外は、彼女が党員であることを知りません。

 あなた方兄妹がラブラブ党に入党した経緯について説明しましょう。

 沙織は極度の「お兄ちゃん子」でした。何かする度にお兄ちゃんを頼り、何事もお兄ちゃんに相談する。あなたもそんな「妹」を、可愛く想っていたことでしょう。

 悲劇は3年前、彼女が高校2年生の時に起きました。

 あなた方兄妹は鞍馬に住んでいるのですが、「鞍馬の火祭り」で沙織が数人の仲間と一緒に神事に参加することになったのです。あなたも数年前に務めた、ごく簡単な神事ではあります。沙織は緊張して、当日は絶対に見守っててくれるようにあなたに頼みました。あなたも軽く、もちろん見に行くと答えたのです。

 当時、あなたは既に大学生で、家庭教師のバイトを通じて知り合ったPC2と交際していました。お互いに愛し合う、いいカップルでした。その彼女とのデートの約束の予定が変わって、火祭りと同じ日になってしまったのです。しばらくあなたは悩みましたが、結局彼女の方を選び、火祭りはキャンセルしました。

 あなたが見に行かなかった火祭りで沙織は初歩的なミスを犯し、大火傷を負ってしまいました。左肩から上腕部にかけて、今でも後の残るひどい火傷。目撃者の証言によると、「お兄ちゃん、熱いよ」と沙織は泣いていたそうです。

 命に別状はなかったのですが、それからというもの、沙織はまた心を深く閉ざすようになってしまいました。神事を見に行くと「約束」していながら、あなたはその約束を守れませんでした。沙織はそのことを直接になじりはしませんが、大きな心の傷になっていることは疑いありません。そのうち、彼女が「ラブラブ党」の存在をどこかから聞きつけてそれに興味を抱いていることを知り、あなたは沙織に対する罪悪感からか、PC2と別れ、沙織と共にラブラブ党に入党したのです。

 PC2への別れの言葉はあまりにも唐突で、彼女はその理由を取りかねていたようです。PC2と沙織が大学のサークルで親友として付き合っているのは、あなたには皮肉以外の何物でもありません。沙織はPC2が、あなたのかつての恋人だとは思いもしないようです。ともあれ、彼女を愛していたのは事実です。彼女と別れたのも、彼女への愛が冷めた、というのとは少し違います。その意味で、再会後には僅かばかり未練を感じないではないのです。

 ラブラブ党の活動に専念する中で、沙織は次第にかつての元気を取り戻してきました。排他的、独善的な個人的恋愛にだけは敵対心を持っていますが、博愛精神を持った理想的ラブラブ党員といってよいでしょう。

 では、あなたはどうでしょうか。活動歴もあり、あなたも今では幹部となってはいます。しかしあなたがラブラブ党に在籍しているのは、どういう理由でしょう。火祭りの事件がきっかけではありますが、ではあなたはどういう心情からラブラブ党に籍をおいているのですか? 個人的恋愛の限界をあなたも痛感したのでしょうか。それとも沙織への「付き合い」にすぎないのでしょうか。

 

  PC4(恋敵、非党員、男性)

*PC4は追加的なPCであり、そのため、他のPCの設定表記の中にPC4のことが書かれていません。PC1、PC2、沙織、PC4の4人は同じサークルの友人です。

 あなたは大学の2回生で、PC1、2やPC3の妹である沙織とはサークル活動で知り合った友人です。

 あなたは1回生の頃、ある女性と交際していました。クリスマス・イヴに彼女とデートしていたあなたは、怪しい恰好をした男たちに因縁を付けられました。彼らは、あなたには理解の出来ない、独特の論理であなた方の愛を否定し、あなた方が「付き合っている」ことを悪だと断じてきました。あなたはうろたえましたが、反論しました。あなたの彼女への愛は決して間違ってはいないことを、必死で主張しました。しかし、彼女の方が耐えられなかったのです。彼女はその場から走り去り、翌日、別れを告げる電話がかかってきました。

 あなたはその日から、復讐を心に誓いました。しばらく調べているうちに、あなたたちに「論撃」を仕掛けてきたのは「ラブラブ党」という組織であることが判明してきました。あなたは「論撃」の腕を磨き、「もしもの事態」に備えました(場合によっては、ラブラブ党に絡まれているカップルを助ける活動をしていても構いません。その場合、論撃名と論撃コスチュームを設定していただいても結構です。無論、素顔で論撃していても構いませんが)。

 今あなたは、同じサークルの沙織という女性に心を惹かれています。明るくて誰にでも優しい博愛的なところのある沙織は、どこか前の彼女に似ていなくもありません。

 ちなみに、前の彼女は現在はボランティア活動に参加しています。そこでの彼女は生き生きとしていて、彼女にとっての幸せの一つであるかもしれないと思わなくもありません。

 なお、論撃コスチュームを着ないと分かりませんが、あなたと彼女の仲を裂いたラブラブ党の論撃使いはPC3です。

 

  沙織(ヒロイン、党員、女性)

*あるプレイヤーから、沙織をPCとしても面白いのではないかと教示を受けましたので、PCと同じ形で設定を解説しておきます。ただし、沙織をPCにした場合、GM側からセッション展開を制御するのが極めて困難になりますので、ご注意下さい。

 あなたは大学の2回生で、PC1、PC2、PC4とはサークル活動で知り合った友人です。また、ラブラブ党京都支部の党員であり、ラブラブ党の特務部隊、ラブ・アサシンズのナンバー1です。

 あなたはPC3の妹で、もともと「お兄ちゃん子」な部分がありました。兄も妹のあなたに対して優しくしてくれました。あの日を除いて。

 あなたが高校2年生の時、友人に誘われてあなたは、地元鞍馬の火祭りに参加しました。神事そのものは簡単なものでしたが、火を使うために数年に一回は事故も起きていることから、不安になってPC3に「絶対見守っててね」と約束しました。

 しかし、当日、兄の姿はどこにも見えませんでした。どうして来てくれないんだろう、とぼんやりと考え、不安にとりつかれていたあなたは、そのちょっとした気の緩みから他の人とぶつかってしまい、松明を取り落としました。炎は容赦なく、あなたを襲います。幸い、命に別状はなかったものの、左肩から上腕部にかけての大火傷を負いました。あなたは炎に巻かれている間、兄のことを呼び続けていました。

 兄(PC3)が来なかったのが、恋人とのデートを優先したためだと知ったのは、入院中のことでした。あなたは、その未知の「兄の恋人」に憎しみを抱きました。そしてそんなとき、あなたはラブラブ党の党議に出会ったのです。全ての人々に分け隔てなく愛の与えられる愛の共産化社会。その理想は、兄を独占された、「愛の被害者」であったあなたの心の襞に深く入り込みました。

 そしてあなたは、ラブラブ党に入党しました。PC3もそんなあなたを見て、恋人と別れ、ラブラブ党に入りました。今では、兄妹の信頼関係はすっかり回復しています。

 いまあなたは、ラブラブ党京都支部の指導者、大森支部長からの指令である党員をマークすることになっています。ラブラブ党では党員の一部に、愛の共産化の使命を忘れ、個人的恋愛感情に溺れるようになる「転向者」が現れます。しかし党幹部に転向者を出させるわけにはいきません。そのため、あなた方「ラブ・アサシンズ」は幹部候補生に接近し、彼らの中に伏在しているかも知れない個人的恋愛感情を刺激して、その思想の堅固さを試すのです。あなたの「誘惑」に屈した元幹部候補も幾人かいますし、逆にそれをはねつけた幹部も幾人もいます。

 今回のあなたのターゲットは、PC1です。あなたにとって、いつもと同じ任務。しかし今回は少しだけ様子が違いました。何故ならあなたは少しだけ、彼に興味を持っていたからです。その興味の正体がなんなのか、否定したはずの個人的恋愛感情なのかどうか。あなたは戸惑いを必死に押し隠しています。

 

 NPCとして扱う場合、沙織は「気のあるそぶり」を演じ続けるうちに、本当にPC1のことが好きになってしまいます。とはいえ、そこはラブラブ党員。彼女自身はその感情に戸惑いつつも、必死で押さえ続けます。彼女の心を解放するためには、彼女自身と論撃し、心の殻を破ってやる必要があるのです。

 

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