★2009年★
本★『少年少女飛行倶楽部』(加納朋子/文藝春秋 2009.04)
ノミネート全76作
タイトルと冒頭とラストが素敵な小説である。
まずタイトル。
「少年少女」で「飛行」で「倶楽部」である。
これで浪漫あふれる青春物語じゃなかったら嘘である。
次に冒頭。
飛行クラブの活動内容。
空を飛ぶことを目的とする。
以下、「空を飛ぶこと」に関する条件。
1 あくまでも「自分自身が」飛行することを旨とする。(中略)
2 当然ながら、「落下」は「飛行」ではない。(中略)
3 航空機やヘリコプターなどの飛行は除外される。(中略)
4 究極的には、理想を言えばピーター・パンの飛行がベストである。(中略)
5 現段階に於いて、諸処の条件を満たした「商業的飛行」はいくつか存在している。だが、利用条件はどれも非常に高額であり、また実施場所も遠方であり、中学生の部活動という意味ではあまり現実的とは言えない。(中略)
以上を踏まえ、当飛行クラブでは、当クラブが規定する飛行を目指し、実現するべく鋭意模索中である。
この冒頭で「飛行クラブ」が中学生の部活動であることがわかり、
また、中学生の部活動としての「飛行クラブ」の落とし所になりそうなペットボトルロケット、パラシュート、グライダー、人力飛行機といったものがバッサバッサと否定されているのがわかる。
これで少年少女達はどうやって飛行するのか、できるのか、についてわくわくしなかったら嘘である。
そしてラスト。
流石にそれをここで紹介するわけにはいかないが、青春はいつか終わるものかもしれないけど、青春物語、それも
「底抜けに明るい、青春物語」(あとがきより)には「終わり」より「続く」が相応しいと思わせてくれる。
そしてタイトルと冒頭とラストが素敵な小説は、もちろん素敵な小説なのである。
「空飛ぶ夢を一度も見たことのない人間なんて、一人だっているわけはないんだ」
「夢って、起きて見る方ですか、それとも寝て見る方?」
恐る恐る尋ねると、先輩はあっさりと言った。
「どっちにしたって、大して変わらないでしょ」
(カミサマ部長・斎藤神&佐田海月)
ちなみに、2009年の作家は再読含めて6作の
穂村弘。
そして、2009年の漫画家は11作の
倉上淳士。
参考資料
●甲斐高風のBOOK LIST(加納朋子)●
参考資料
●甲斐高風のBOOK LIST(穂村弘)●
参考資料
●漫画家作品年表(倉上淳士)●
TVドラマ★『JIN −仁−』(TBS 2009.10.-2009.12.)
ノミネート全54作
TVアニメ★『初恋限定。』(Gyao 2009.04.-2009.06.)
役者★山田ルイ53世(髭男爵)(『天体戦士サンレッド』ニコニコアニメチャンネル 2008.10.-2009.03./2009.10-)
ノミネート全52作
2009年の役者は2009年に観た作品の中で「作品自体が面白い」「これ以上の適役が思いつかない」「作品を観ている間は完全に演技が作品に溶け込んでいてその役者のことが気にならない」という役者の鑑(?)としてヴァンプ将軍を演じた髭男爵の髭で男爵の方を。
あと余談だけど2009年の役者について考えている時に『名探偵の掟』の香椎由宇、『任侠ヘルパー』の黒木メイサ、『浪花の華 〜緒方洪庵事件帳〜』の栗山千明が実は自分の中ではあんまり区別がついていないことに気がついた。
邦画★『ヤッターマン』(2009年)
ノミネート全17作
色々あって公開初日の初回を共同管理人と観に行ってきました。
観終わった後、2人揃ってスタンディングオベーションをしました。
いや実際にはしませんでしたが心の中ではしてました。
そのくらい素晴らしい映画でした。
その後お昼ご飯を食べながら熱く語り合おうとしたらお昼御飯を食べた後『ヤッターマン』を観に行こうとしている家族が隣の席にいたりして困ったりしたのもいい思い出ですよ。
あのヤッターマンが実写映画化すると聞いて、主演がジャニーズの嵐の櫻井翔だと聞いて、あのサイバーパンクなヤッターワンやオモッチャマを見て、皆様同様自分も正直なところ期待よりも所謂オサレ映画になってしまうのではないかという不安の方が大きかったのです
(自分は気づいてなかったのですが脚本家があの『少林少女』の十川誠志だったことに不安を抱いていた人も多かったようです)。
しかし、いざ蓋を開けてみたら2時間でスペシャルエピソードをやるのではなくきっちりと3話(正確には2.5話)をやりその中に見たかったヤッターマン
(「ポチッとな」「ドクロ雲」「おしおきだべぇ」「全国の女子高生のみなさん」「インチキ商売」「天才ドロンボー 実写版」ドクロキセルで煙を感情の形にして吹きかけるやりとり、山本正之の歌う「ヤッターマンの歌 2009」「ビックリドッキリメカ」「勝利のポーズ」「コックピットメカ(おだてブタ)」等々)が全て入っていました。
全て入っている上に、白兵戦もメカ戦もアニメ以上にテンポとアイデアに満ちたバトルが繰り広げられていました。
あまりに頑張りすぎた所為でせっかくの3話構成なのに実は「偉大なるマンネリズム」と呼ばれたフォーマット通りの展開がなかったりするところはご愛敬ということで。
出演者は全員頑張っていましたが、特にヒロイン3人(ヤッターマン2号/上成愛:福田沙紀、ドロンジョ:深田恭子、海江田翔子:岡田杏理)の頑張りが凄かったです。
というか三池崇史監督はヤッターマンを好きすぎ、あと変態すぎ。
というわけでヤッターマンとしてこだわってほしいところにこだわってくれたスタッフ・キャストと三池崇史監督がエロ・グロ・ナンセンスにはっちゃけてもそれを受け入れられるヤッターマンという作品の懐の深さがあって成立した素晴らしい作品でした。
あとパンフレットも作りこんであってオススメ。
あ、そうそう、これから観に行く人はエンドロールが終わるまで席を立たないように。
ヤッターマンの全てが入っているということは、もちろんアレもあるのだから(あそこまでこだわっておきながらドロンボー側のメカが使い回しなのが残念でしたが)。
映画を観て気になった個人的メモ。
・ 最初のインチキ商売は何がインチキなのかわからない(一説によるとカットされたシーンがあるらしい?)。
・ アイちゃんのキスに関する話は実体験ではなくて強がり?
・ 八奈見乗児(ボヤッキーの声)は基本的には顔出しをしない声優らしいです。残念。
・ そういえば自分がツナギ娘が好きなのはヤッターマンの影響だったような気がします。
(以下2009年10月3日追記) 『ヤッターマン“てんこ盛りブルーレイ”』(本編BD+ビジュアル・コメンタリーDVD+お楽しみDVDの3枚組)を観て気になった個人的メモ。
・ 発売日に買ったらメカの素チャームがもらえました。しかもその買いに行ったお店はたまたまヤッターマン1号・2号変身後衣装、ケンダマジック、シビレステッキ、ドロンジョソファー、ドクロクッション、ドクロキセル、おしおき自転車、おだてブタといった劇中衣装・小道具を展示してかなり間近で見れました。わーい。
・ 「メイキングダイアリー ドロンボー編」で出ましょうと言っていた『新堂本兄弟』にはちゃんと2009年3月1日放映回でドロンジョ:深田恭子とトンズラー:ケンドーコバヤシが出演してあの衣装で「天才ドロンボー 実写版」を歌っていました。残念ながらボヤッキーのパートはブラザー・トムが代役でもちろんあの衣装ではありませんでしたが。
・ 「未公開シーン やっぱりあった!?インチキ商売のオチ」で上で触れていた最初のインチキ商売のオチが。女性の下着姿が映画倫理規定で一般(G)公開にひっかかるとかひっかからないとか。
・ そういえば書き忘れていたけど主題歌は「Believe」(嵐)。
・ そういえば書き忘れていたけど共同管理人と映画を観た後東京タワーの「ヤッターマン THE 3D」×「タツノコプロ ヒストリカル コレクション」も観てきました。
そのおかげで長年タイトルが思い出せなかった「『ジャングルの王者ターちゃん♡』っぽいSF作品」が『OKAWARI−BOY スターザンS』だったことがようやくわかりました。
共同管理人は前日に渋谷ハチ公前でヤッターワンも見たそうで。
・ 2009年3月7日に公開された実写版映画も2009年8月22日に公開された『劇場版ヤッターマン 新ヤッターメカ大集合!オモチャの国で大決戦だコロン!』(これも公開初日の初回を観てきて入場者プレゼントのガンバイザー&アイバイザー(リバーシブル)もらってきました)も2008年1月14日〜2009年9月27日まで放映されていたTVアニメ版『ヤッターマン』もなんだかんだで全部よかった。2009年は本当に素晴らしいヤッターマンイヤーでした。
洋画★『X−MEN:ファイナルディシジョン(X−Men : The Last Stand)』(2006年:アメリカ)
ノミネート全9作
アニメーション映画★『Disney’s クリスマス・キャロル(Disney’s A CHRISTMAS CAROL)』(2009年:アメリカ)
ノミネート全6作
守銭奴スクルージの元へクリスマスイブに7年前に亡くなった共同管理人ジェイコブ・マーレイの亡霊、そして過去・現在・未来のクリスマスの精霊が訪れるというチャールズ・ディケンズの有名な原作をロバート・ゼメキス監督、ジム・キャリー主演のパフォーマンス・キャプチャーによりCG映画した作品。
「演技」でちゃんとジム・キャリーだとわかるのが素晴らしい。
子供の頃原作を児童文学で読んだ時に見た未来の精霊の容姿や言動が好きだったのでこの映画ではどうなるかと思っていたら
登場の仕方とか指の差し方とかが期待通りで大満足。
そしてその後のはっちゃけっぷりに大笑い。
映画館に観に行った時に字幕2D版と吹替3D版がやっていたので字幕2D版を観たのですが
吹替の配役はジム・キャリー=山寺宏一、ゲイリー・オールドマン=安原義人と全く問題ない面子だったみたいなので、改めて映画館で3D版も観ておけばよかったなぁ。
ゲーム★『428 封鎖された渋谷で』(CEROレーティングC:15才以上対象、スパイク/プレイステーション3 2009.09.03.)
ゲーム・特別賞★『白騎士物語 −古の鼓動−』(CEROレーティングB:12才以上対象、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン/プレイステーション3 2008.12.25.)
ノミネート全31作
セガ×チュンプロジェクト作品でセガからWii版(2008.12.04.)、スパイクからプレイステーション・ポータブル版(2009.09.17.)も発売。
主題歌は「それでも世界は変わりはしない」(上木彩矢)。
大沢マリア誘拐事件を中心に2009年4月28日の渋谷の10:00−20:00を描いた実写サウンドノベル。
1時間刻みで区切られた渋谷署の若手刑事・加納慎也(天野浩成)、誰よりも渋谷を愛する男・遠藤亜智(中村悠斗)、謎の着ぐるみ・タマ、熱血フリーライター・御法川実(北上史欧)、ウイルスのエキスパート・大沢賢治(小山卓治)といった複数主人公の物語をザッピングして主人公の行動を変えながら本人や他人の運命を変えることにより全員のBADENDを回避しながら読み進めていく形式。
1時間刻みでちゃんと予告編もあったりします。
ほぼ静止画+テキスト(ボイスなし)+音楽・効果音というサウンドノベルの基本形式も、5分刻みで管理されたタイムチャートやテキストログの読み戻し/読み飛ばしといったシステムも、いずれも快適でテンポよく物語を読み進めていくことができました。
これらに実写によるリアリティが相俟って疾走して収束していく物語にのめりこむことができました。
役者陣は全員実にいい味を出していて不勉強ながらこんな役者知らなかったなぁと思っていたら役者が本業ではない方もいるみたいで、これも静止画+ボイスなしの恩恵と言えるでしょう。
ところでトロフィーコンプリートしたんですけどまだピンクの栞が出てないんですよ。
ヒロインである意志を秘めた少女・大沢ひとみを演じた近野成美は『Pinkの遺伝子』のヒロインも演じていたんだからピンクの栞がないはずはないのに(ありません)。
ちなみに脚本・北島行徳による本編に劇団・迷天使編を加えた小説版全4巻あり。
小説版の遠藤亜智が帽子をかぶっていた理由がわかるエピローグの挿絵と後日談であるアンコール編はゲームをプレイした方必見。
というか、「遠藤亜智が正装している」「大沢賢治が状況的に断れない」という貴重な機会を逃さずに遠藤亜智を大沢賢治に滞りなく紹介しようとしている大沢ひとみができるこすぎる。
自力で解けなかった部分の備忘録
・ BADEND15=BADEND9+BADEND13。
・ BADEND38=BADEND41。
・ BADEND53=BADEND56=BADEND57 御法川16:05 A「思い出せ!忘れかけた情熱を!」→B「わかったわかった。悪かったよ」→ビルの屋上へ。
・ スペシャルエピソード 安田大成編=御法川12:00 「俺の言動に腹が立ったかもな」
・ スペシャルエピソード 頭山花編=BADEND18。
・ スペシャルエピソード 頭山照雄編=BADEND36 亜智14:35 「二人がかりで弱いものいじめかよ」
・ NEVER ENDS=18:00−20:00で19:00以降、各々の主人公で無闇に仇を討とうとしない類の選択肢を選ぶ。
・ エコ吉編=亜智15:30→16:00マリア→加納16:40→大沢16:40のTIPからJUMP。
・ 陰謀編=御法川17:35 B「中村」→放置→コントローラーは割と必死に左右に振る。
・ 真の陰謀編=スペシャルエピソード 片山光一郎編「3……も……じめ……た……て……」→エコ吉編ラストのヘチマールの言葉。
キャラクター★山口如月、野田ミキ、友兼、大道雅、野崎奈三子(『GA 芸術科アートデザインクラス』 テレ玉 2009.07.-2009.09.)
きゆづきさとこ原作の4コマ漫画をアニメ化した作品。
彩井学園工業大学附属彩井高等学校芸術科Aクラスを舞台にしたハートフルコメディ。
あんまり期待しないで見始めたら小気味いいテンポで繰り広げられる美術ネタ満載のコメディ(例:素描→素猫)が面白くて面白くて。
と、いうわけで2009年のキャラクターはメガネ&ポニーテールの天然系・キサラギ、トラブルメーカーでムードメーカーなおしゃれ姫・ノダミキ、熱血パワフルオレ女・トモカネ、フシギ優等生・キョージュ、ナイスバディな姉御肌・ナミコ(母)さんのGA1年生5人組を。
ちなみにGAとは芸術科Aクラスのことで芸術科アートデザインクラスのことではないそうな。
尚、一応2009年の男性キャラクターも一人挙げておくと、不死身の→幸せの
パトリック・コーラサワー(『機動戦士ガンダム00』TBS 2007.10-2008.03./2008.10-2009.03.)になります。
「『自分は守る』『大切な人も守る』『両方』やらなくっちゃあならないってのが『主人公』のつらいところだな」というのをガンダムの登場人物達の大半がそれができなくて苦労しているというのにあんまりつらそうに見えずにそれをやっちゃうところが凄いよね。
●13月の迷宮●
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