2007年




『The Book jojo's adventure 4th another day』(乙一×荒木飛呂彦/集英社 2007.11)
ノミネート全96作
 JOJO"Stand Up"MORIOH TOWN MAP付。
 『ジョジョの奇妙な冒険』の「第4部 ダイヤモンドは砕けない」のノベライズにして同人誌。
 舞台は本編(1999年)終了後の2000年1−3月の杜王町。
 ちなみに、この本はこの小説の主人公・蓮見琢馬のスタンド【The BOOK】を外見から厚さから何から何まで模している(そのためこの本にはカバーがなく、バーコード等はわざわざ帯に印刷している)。
 そして【The BOOK】は正に蓮見琢馬の人生を体現したスタンドといえるが、この本も乙一の作家人生を体現した小説といえる、かもしれない。
 余談だが、【The BOOK】はスタンドなので蓮見琢馬が傷つけば【The BOOK】も傷つくことになるのだが、小説を読み終わった時ふと見たら買った時には絶対についてなかったはずの傷が、不自然な位置に不自然な傷が【The BOOK】を模したこの本についていた。
 それはまぁ、それだけの話なのだが、妙に印象に残った。
 それはそれとして、“乙一による『ジョジョの奇妙な冒険』の「第4部 ダイヤモンドは砕けない」のノベライズ”として2002年に冒頭部分だけ「テュルプ博士の解剖学講義」という小説があったのだが、2000日以上に渡る構想・執筆の結果今回の小説はこれとは全くの別物となってしまったようだ。
 「テュルプ博士の解剖学講義」は未読なので気になっているのだが、いつかこちらの完全版が出たりはしないのだろうか。
 2007年の漫画家も『ジョジョの奇妙な冒険の「第4部 ダイヤモンドは砕けない』「第5部 黄金の風」(集英社、廉価版)の10作で2年連続の荒木飛呂彦
 ちなみに、2007年の作家は『刀語』の12ヶ月連続刊行(&読破)を含めて15作で2年連続西尾維新


JUMP j-BOOKS   □□ JOJO×乙一 □□


参考資料甲斐高風のBOOK LIST(乙一)
参考資料漫画家作品年表(荒木飛呂彦)
参考資料甲斐高風のBOOK LIST(西尾維新)


TVドラマ『華麗なる一族』(TBS 2007.01.-2007.03.)
役者舘ひろし、新垣結衣(『パパとムスメの7日間』TBS 2007.07.-2007.08.)
ノミネート全54作
 


TVアニメ『おおきく振りかぶって』(TBS 2007.04.-2007.09.)
ノミネート全61作
 


邦画『博士の愛した数式』(2006年)
邦画・特別賞『決闘!高田馬場』(2006年:歌舞伎)
ノミネート全13作
 
 『決闘!高田馬場』はPARCO歌舞伎第一弾にして三谷幸喜初の歌舞伎書き下ろし作品(三谷幸喜=脚本・演出、市川染五郎、市川亀治郎、中村勘太郎他=出演)。
 中山安兵衛(堀部安兵衛)の「高田馬場の決闘」の物語。
 舞台がパルコ劇場なので下手側の客席通路を花道として使ったり、黒御簾がなくて中央に演奏者達が位置していたり、でもちゃんと廻り舞台やセリはあったりします。
 ちなみにDVD版を観たのですが、英語字幕だけではなく、歌詞字幕がついているのがありがたかったです。
 長唄、義太夫、竹本、鳴物、殺陣、一人複数役による早変わりといった歌舞伎の魅力を正面から描いてみたり、 男装する女形がいたり見得をきることをギャグにしてみたりといったように茶化してみたり、 他にも時流のギャグ(2006.03上演なのでトリノオリンピックネタとか)や人形劇が入っていたりと盛りだくさんの内容。
 特に廻り舞台やブレヒト幕がバーッと駆け抜けることによる場面転換は見事の一言。
 普通の三谷幸喜舞台劇ではありえない多さの場面転換、普通の歌舞伎ではありえない狭さの舞台を見事に処理し、 長屋のあちこちの様子を描いてみたり、高田馬場へひた走る疾走感を描いてみたりすることに成功しています。

 もう本当に笑ったのですが、終盤は泣いてしまった。
 泣いてしまったついでに、少し辛気臭いことを書く。
 観終わった後いくつか読んだ劇評によるとこの作品は「ニートやフリーターが自己確認する成長譚」なのだそうで、だからこそニートやフリーターが観るべき作品なのだそうだ。
 三谷幸喜らしいといえば三谷幸喜らしく、『決闘!高田馬場』はそのタイトルからするといささか意外なところで定式幕が一瞬でバッと左右からひかれて鮮やかに終わる(ちなみに定式幕は普通の歌舞伎では一瞬でひかれることも左右からひかれることもないはずだ)。
 回想シーンでこの時代になさねばならないことをいずれ見つけると言ってあの夕日に向かって青春ドラマのように走っていった少年が、大人になってその夕日を背負って「高田馬場の決闘」に走ってやってくる。
 その間に、確かに彼は武士として、人としてこの時代になさねばならないことを見つけたのだろう。
 だが、その間に、彼が一体どれだけのものを失い、どれだけのものを背負わねばならなかったのかを考えると、ぞっとする。
 1670年生まれの堀部安兵衛がこの「高田馬場の決闘」が1694年の出来事なので約24歳、その後赤穂浪士として吉良上野介邸に討ち入り、そして切腹したのが1703年なので約33歳。
 『決闘!高田馬場』のラストの時点で人生がもう1/4しか残っていなかった彼が、その残りの人生の間に更にどれだけのものを失い、どれだけのものを背負わねばならなかったのかを考えると、ますますぞっとする。
 それは自己「確認」なんて生易しい言葉で表現していいもののようには、自分にはとても思えない。
 ニートやフリーターがこれを見て、人生に前向きになれるとは、とても思えない。

 ……あれ、だとしたらこの作品を観てこんな感想を抱いている甲斐高風はニートかフリーターってこと?


「PA PA PA PA PA PA PA PA PA PA PA PA パルコ歌舞伎見参!」


洋画『ドクター・ドリトル2(Dr.Dolittle2)』(2001年:アメリカ)
ノミネート全4作
 


アニメーション映画『時をかける少女』(2006年)
ノミネート全5作
・ 細田守監督作品。筒井康隆原作で原田知世主演の1983年の実写映画版の続編ともいえる作品。挿入歌「変わらないもの」主題歌「ガーネット」(奥華子)。

・ タイムリープ能力を持ってしまった高校2年生の少女・紺野真琴(原作の主人公・芳山和子の姪)の物語。であり、紺野真琴と間宮千昭と津田功介の三人の物語。

・ 主人公が過去を変えるとかではなく、重要な問題を先送りにする現状維持の為だけにタイムリープ能力を多用するのが珍しい。 無駄遣いだなぁと初見の時は思っていたのだけど、結果的に彼女が現状維持したかったのは二度と得難い「一番輝いていた青春時代」だったわけで、これを守りたかったというのはわからなくもないなぁと思うようになった。

・ この映画を観て、青春時代に戻りたいけどそもそも自分はこんな青春時代など過ごしてなかったといったような主人公達のリア充ぶりをやっかむ感想が少なからず出てくるのが割と本気で不思議でならない。

・ 主人公は、その輝いていた青春時代が終わってしまったことを知っている。そして未来は現在ほど輝いていないことも知っている。でも、そこに全力でかけていくことを決めたのだ。本作において『時をかける少女』とはそういう意味であり、だからこそタイトルが最後の最後で出てくる。 この映画を観たのなら、主人公の過去をやっかむよりは、未来へのその姿勢を見習うべきであろう。

・ 上で青春時代は終わってしまったと書いたけど、ラストのいつもの面子ではなくなった野球のシーンが実はこの映画で一番好き。


参考資料甲斐高風 GRAND PRIX 第二部  2020年のSpotify My Top Song「ガーネット」(奥華子)


ゲーム『アイドル雀士スーチーパイIV』(CEROレーティングC:15才以上対象、ジャレコ/プレイステーション2 2007.10.11.)
ノミネート全20作
 


キャラクターララ・サタリン・デビルーク(『To Loveる』漫画・矢吹健太朗 脚本・長谷見沙貴/集英社)
 


参考資料漫画家作品年表(矢吹健太朗)


甲斐高風 ★GRAND PRIX★へ
TOPへ