2005年


『扉は閉ざされたまま』(石持浅海/祥伝社 2005.05.)
ノミネート全105作
 成城の高級ペンションで開かれた大学時代の軽音楽部員とその中の1人の妹の合計7名による同窓会、 そこで伏見亮輔は密室殺人を決行する……。

 倒叙式ミステリーです。そして、密室殺人なのに「鍵のかかった扉を斧でたたき壊さない」ミステリーです。
 倒叙式ミステリー(犯人役の一人称視点)なので石持浅海作品で御馴染のディスカッションシーンにいい感じで緊張感が加わった、傑作です。
 いつまで密室の扉は閉ざされたままなのかに注目しつつ、かつて犯人役・伏見亮輔が夢中になりながら、自分の方から逃げた「冷静で、冷たい」綺麗で聡明な女性である探偵役・碓氷優佳に追い詰められていく様をお楽しみ下さい。
 で、読み終わってから彼女が「探偵役を務めた動機」について考えてみると、それこそ事件発生前の二人が再会した時における彼女の反応あたりも深読みして考えてみると、女性の奥深さについて思い知らされてみたりみなかったり。
 ちなみに、2005年の作家は6作で桜庭一樹です。
 そして、2005年の漫画家は13作でいしいひさいちです。


参考資料甲斐高風のBOOK LIST(石持浅海)
参考資料甲斐高風のBOOK LIST(桜庭一樹)
参考資料漫画家作品年表(いしいひさいち)


TVドラマ『タイガー&ドラゴン』(TBS 2005.04.-2005.06.)
TVドラマ・特別賞『女王の教室』(日本テレビ 2005.07.-2005.09.)
ノミネート全46作
 『タイガー&ドラゴン』は宮藤官九郎脚本作品。1月のSP版「三枚起請」から連続ドラマへ。OPは「タイガー&ドラゴン」(クレイジーケンバンド)。EDは「UTAO−UTAO」(V6)。 古典落語家・林屋亭どん兵衛(西田敏行)に弟子入りした今まで笑いと縁がなかった新宿流星会の山崎虎児=林屋亭小虎(長瀬智也)と林屋亭どん兵衛の次男で落語の才能がありながら家を飛び出し裏原宿で(流行らない)服屋を営む谷中竜二(岡田准一)の物語。 落語監修は林家亭どん吉役で出演もしていた春風亭昇太。
 アバンタイトル、古典落語(「芝浜」「饅頭怖い」「茶の湯」「権助提灯」「厩家事」「明烏」「猫の皿」「出来心」「粗忽長屋」「品川心中」「子は鎹」)、 ストーリーを高座にかけて展開してしまうことで虚実(とコネタ)入り混じったスピードとテンションが尋常ではない話になっている。正にクドカンの真骨頂。
 余談ですが、『WATER BOYS 2005夏』(フジテレビ)で鰤谷ミチルを怪演した滝沢乃南が『コレみよっ!』(TBSのソフト宣伝ミニ番組)でやっていた「タイガータイガーじれっタイガ〜」はめちゃめちゃ可愛かった。
 『女王の教室』はドラマの冒頭で「この物語は 悪魔のような鬼教師に小学6年の子供たちが戦いを挑んだ一年間の記録」というから、 もっとどうしようもないトンデモ教師を想像していたら、割とステロタイプなアメとムチと社会学を振り回す鬼教師でした。
 それでも黒ずくめの衣装といいたたずまいといい天海祐希演じる鬼教師・阿久津真矢は絶品でした。
 常に神出鬼没、生徒相手だろうが教師相手だろうが生徒の家族相手だろうが情報戦を制して基本的には瞬殺し、中盤(夏休み)までほとんど戦況が変わっていなかったという、 そこらのドラマとは比べ物にならないほどの強敵でした。
 それは超人だったからではなく、凡人が無理をしていただけであり、 情報戦を教育委員会に対してやらなかった(媚びる事自体は生徒の家族に対してやっているから決してできないわけではない)あたりも含めて考えると、 教育熱心さが不器用な形でしか体現できなかったからだ、というところに収束していったわけですが。
 ところで、阿久津真矢はどうして廊下の右側ではなく常に中央線を歩いていたのでしょうか。

 ちなみに、「2005年のTVドラマ・特別賞」としての『女王の教室』には当然後日放映された『女王の教室 エピソード1 〜堕天使〜』『女王の教室 エピソード2 〜悪魔降臨〜』は含まれておりません。
 阿久津真矢というキャラクターは『女王の教室』に描かれた現在を観れば彼女の過去や未来を観る必要はないと思っていましたし、 実際にそれが描かれた『女王の教室 エピソード1 〜堕天使〜』『女王の教室 エピソード2 〜悪魔降臨〜』を観て、これは描くべきではなかったし、観るべきではなかったと個人的には思いました。


TVアニメ『まほらば Heartful days』(テレビ東京 2005.01.-2005.06.)
ノミネート全57作
 小島あきら原作。絵本作家志望のデザイン専門学校生・白鳥隆士が住むことになった鳴滝荘を舞台にしたアパートメントコメディ。
 すいません、主人公以外の鳴滝荘の面子が女子高生にして大家の蒼葉梢含めて女性5人+男性1人だった時点でてっきりハーレム作品なのかと思っていました。 まぁ蒼葉梢と彼女が「変身」する赤坂早紀・金沢魚子・緑川千百合・紺野棗の女性5人でハーレムじゃないかと言われると、そんな気もしますけど。
 このアニメ、基本的に月刊誌連載漫画の1話分でアニメの1話分を作っているっぽい所為か、時間の流れがゆっくりしている感じで、例えば誰かが誰かを見つめている描写等が丁寧に描かれていたのが好印象でした。 あと4コマ漫画風の展開や白鳥隆士の「絵本」、そしてOP「大事♥Da・I・Ji」(佐伯美愛と白石涼子)、ED「僕のスピードで」(米倉千尋)もよかったです。 特に最終回のフルコーラスEDを流しながらの今までの名場面プレイバックは定番だけどぐっときました。 ちなみに、白石涼子は白鳥隆士の声を担当していました。
 っていうか最終回は当初悶絶のあまり正視できませんでした(誉め言葉)。 そして、晴れた日に縁側で誰かに絵本を読んであげたり読んでもらった りするっていうのは、それだけで幸せなことなのだなぁと思いました。

 この作品で印象に残った台詞は、白鳥隆士が蒼葉梢に絵本を読む時に2回使った「ハッピーエンドだから、安心して聞いてね」だったりします。 考え様によっては思いっきりネタバレ発言をしているわけで、特にミステリーとかだと許されないのでしょうが、(白鳥隆士がかくような)絵本ではそれが許されるのでしょう。 そしてそれは、この作品にも言えるわけです。 なんせジャンルが「サプリメントアニメ」なんだそうで、多分「ぬくぬく」という健康補助食品(?)を投与して健康になれるアニメって意味なんだと思われます。 正に(白鳥隆士がかくような)「絵本」のような作品、なわけです。 だから、例えば蒼葉梢の「変身」について、例えば「何故病院で診てもらわないのか」といったことをゴチャゴチャ言うことは、この作品にとって野暮以外の何者でもないわけです。


邦画『摸倣犯』(2002年)
役者長澤まさみ(『ロボコン』 2003年)
ノミネート全3作
 2001年の本にも選出した『模倣犯』(宮部みゆき/小学館)を映画化した中居正広主演作品。
 あの大作を1本の映画にするなんて無理だろうと誰もが思っていたらやっぱり無理だった、という作品。
 とはいえ、話題になった「衝撃の結末」は事前に聞いていたおかげでそれほど衝撃ではなく(むしろエンディングのテーマソングの方が衝撃的)、むしろこれはこれでありなのではないだろうか、とかちょっとだけ思ったりもしました。

 で、『ロボコン』はロボットコンテストを舞台にした「理系の青春映画」(「理系の恋愛映画」ではない)で、 対戦相手のロボットも凝っていたりメイキングを観る限りロボットはちゃんと役者が自分で操縦していたりといった芸の細かい面もあって大変面白い作品でした。
 ただ、他の人がDVDで観ていたのを途中から横で一緒になって観たので、逆に言うとそれだけのめりこんだということなのですが、 序盤を見ていない為、残念ながら2005年の邦画としてはノミネート外。
 その代わり、第5回東宝シンデレラグランプリ(2000年)にしてこの作品で第27回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した長澤まさみを2005年の役者として選出しました。
 いつか機会を見てちゃんと見直したい作品です。


洋画『バットマン ビギンズ(Batman Begins)』(2005年:アメリカ)
ノミネート全9作
 『メメント』のクリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演作品。 「ダークヒーロー」なのに「普通(?)の人間」なことでお馴染みなバットマンのオリジン(誕生物語)。
 日本の報道が「ハリウッドスター」の渡辺謙演じるラーズ・アル・グールばかりピックアップしていたのにいい意味で騙されました。
 今までの映画のバットマンシリーズは限られた時間でヴィラン(悪役)を描かなくてはいけない所為でブルース・ウェイン=バットマンが案外描かれずにきたのですが、 オリジンである今作はそこが渋く、そして丁寧に描かれています。 その為ブルース・ウェインの方がバットマンより魅力的に見えてしまうくらいです。
 また、脇役が豪華なのは相変わらずで ブルース・ウェインの執事アルフレッド・ペニーワースにマイケル・ケイン、ジェームズ・ゴードン巡査部長にゲイリー・オールドマン、 ラーズ・アル・グールの腹心ヘンリ・デュカードにリーアム・ニーソン、ウェイン社応用科学部の「こんなこともあろうかと」的な発明家ルーシャス・フォックスにモーガン・フリーマン、 ヒロインのレイチェル・ドーズにトム・クルーズと婚約したケイティ・ホームズといった面々がそれぞれに好演しています。 個人的に一番よかったのはジョナサン・クレイン博士=スケアクロウを演じたキリアン・マーフィー。今まで名前を存じ上げなかったのですが、どことなく及川光博っぽい雰囲気を感じました。
 ストーリーといい、ラーズ・アル・グールの格好といい、『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』のクワイ=ガン・ジン(オビ=ワン・ケノービの師匠であるジェダイの騎士)を演じていたリーアム・ニーソンが登場していることといい、 これはダークサイドをメインにした『スター・ウォーズ』であり、『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』と公開時期が近かったことには意味があるのかもしれない、とか思ってみたりもしました。
 ところで、他所の感想でこれが『バットマン』(1989年:アメリカ)に繋がるって言っている方を見かけましたが、幼少のブルース・ウェインの両親を殺した強盗を見比べてみただけでもどう考えても繋がらないように見えるので、 新シリーズなのでしょう。リップサービスっぽいのですが、3部作になってジョーカーやトゥー・フェイスが登場するというコメントもありましたし。 この世界観の中に登場する地方検事ハーヴェイ・デント=トゥー・フェイスは本気で見てみたいです。
 あと、毎回思うのですが闇夜のゴッサム・シティで戦う黒いユニフォームのバットマンは動きがわかりにくくて困ります。


アニメーション映画『ティム・バートンのコープスブライド(TIM BURTON’S CORPSE BRIDE)』(2005年:イギリス)
ノミネート全4作
 『シザーハンズ』『エド・ウッド』『スリーピーホロウ』『チャーリーとチョコレート工場』で御馴染の名コンビ、ティム・バートン&ジョニー・デップが監督&主演のストップモーション・アニメ。
 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 』同様、ミュージカルというか、音楽が耳に残る作品で、 モノトーンな生者の世界と対照的なカラフルな死者の世界でのホネホネロック(違)あたりは映画館で立ち上がって一緒に歌って踊りたい衝動にかられたくらいでしたし、 主人公ビクターがピアノで2人のヒロインとそれぞれ心を通わしていくシーンもよくできていました。
 事前に仕入れた情報がポスターくらいだったので、魚の缶詰業成金の息子ビクターが政略結婚させられる没落貴族の娘ビクトリアを見て、 こんなにいいコなのにこのコが「死体の花嫁(CORPSE BRIDE)」になってしまうのかぁとか一人で勝手に誤解をしてドキドキしながら見ていたのはここだけの話ということで。
 で、その「死体の花嫁」エミリー(声優は、こちらもティム・バートンとは名コンビで御馴染のヘレナ・ボナム・カーター)は映画のタイトルになってるだけのことはあり、登場シーンの怖さといい中盤の愛らしさといい終盤の格好良さといい、 どれも迫力満点魅力満点でした。
 ラストシーンは、「その後」を描かなかったストーリー的にも絵的にも、本当に、本当に、美しかった。


家庭用ゲーム『Rumble Roses』(コナミ/プレイステーション2 2005.02.17.)
ノミネート全20作
 ウーマンズ格闘レスリングゲーム、或いはおバカなエロプロレス(18歳以上対象)。
 格闘ゲームではなくプロレスゲームであり、練り込みが甘いというか初心者向けというか、な仕様ですので対COM戦でも対人戦でもガチガチに戦っているとあまり面白くなかったりします。
 これは私のような「ともかく若いねえちゃんが組んずほぐれつ!!世の男はこういうのが大好きなんです!!」(五反田 『ネコネコパンチ! キャットファイターすすき&つくし』 大見武士/少年画報社)という 最近のプロレスのこともプロレスゲームのこともよくわかっていない、なにせ一番好きな技がジャーマン・スープレックスホールドだったりするくらい最近のことはわかっていない人が遊ぶのを考慮しているためだと思われます。
 しかし、自分で「流れ」が作れるようになり、コーナーポストやロープも使った「魅せる」試合運びができるようになるとなかなか面白くなってきます。
 やりこみがいはありませんが、逆に一度飽きてもしばらくするとたまにやりたくなるタイプのゲームだと思います。

 大雑把な流れとしては屈辱ゲージを相手に蓄積させて(往復ビンタや開脚バックドロップや鼻フックキャメルクラッチ等を相手にきめると相手のゲージが溜まっていく、技によっては自分にも溜まる)、 Humiliatin−MOVE(屈辱的な必殺技=恥ずかし固め)でトドメをさす、という感じです。
 このH−MOVEが全て関節技であり、関節技はロープブレイクなしで受け手がボタン連打で脱出するまでの間攻め手がカメラワークを操作できるという発想、 全員にテーマ曲つきの派手な演出の入場シーンがあり、そしてその入場シーンを対戦キャラクター同士で交換できるという発想、 VOW(誓約)システム、OHM(ONLY Humiliatin MATCH=H−MOVEでしか決着がつかないモード)、水着でのMMM(MAD MUD MATCH=泥レス)、 場外負けが存在しない、ナックル、バット、オール、ムチ、くすぐり棒(!)といった凶器あり、豪華声優陣のなまめかしい悲鳴、 どれもこれも完璧に成功したわけではないものの「魅せる」という一点に的を絞っていることがよくわかります。
 また、プロレスゲームとして一人のキャラクターにベビーフェイス/ヒールの二属性をつけたのもいい発想だったと思います。
 裏属性のストーリーモードがとってつけただけだったのは残念でしたが。
 ちなみに、好きな入場シーンはイーブル・ローズ、好きなH−MOVEはキャンディー・ケインの自分も恥ずかしい必殺技・ラフレシアです。


 今更ですけど一応裏技備忘録を置いておきます。

・ 入場シーン入れ替え:「EXHIBITION」で「PLAY」をL1+○で決定。

・ 「EXHIBITION」で暗転しているキャラクターを選択:そのキャラクターの両属性の「STORY」をクリアした状態で暗転しているキャラクターをR1+○で選択(「TITLE MATCH」は不可能)。

・ 上の二つの裏技を使えば同一キャラクター逆属性対戦の入場シーン入れ替えが可能です。

・ レディーX選択:全キャラクターの表属性の「STORY」(10人分)をクリアすれば「EXHIBITION」に登場。

・ レディーXサブスタンス選択:全キャラクターの裏属性の「STORY」(10人分)をクリアすれば「EXHIBITION」に登場。

・ 隠しキャラクター(セバスチャン)選択:ミストレス(スペンサー先生の裏属性)の「STORY」をクリアした状態で「EXHIBITION」の「NORMAL MATCH」でミストレスをL1+○で選択。

・ 隠しステージ(ビーチアリーナ)選択:最初のメニュー画面で↓→↓→↓→↓□SELECTと押すと「EXHIBITION」で選択できるように。

・ インタビュー:「GALLERY」の「PERSONAL」でキャラクターを選択後、何もしないで放置。


 しかし、『Rumble Roses XX』がXbox360で2006年3月30日発売予定とわかっていながら書くと妙なむなしさが漂いますね。
 どんなツープラトンが炸裂するのか楽しみなタッグマッチ、罰ゲームを賭けて戦うクイーンズマッチ、カスタマイズ、オンライン対戦、属性を強化したスーパースターモード……嗚呼羨ましい。


業務用ゲーム『サムライスピリッツ 天下一剣客伝』(SNKプレイモア)
ノミネート全11作
 


キャラクター小牧愛佳(『ToHeart2』AQUAPLUS/プレイステーション2 2004.12.28.)
 誕生日は5月1日、血液型はA型、身長は154cm、3サイズは83cm−58cm−84cm、声優は力丸 乃りこ。
 TH2の主人公・河野貴明のクラスの副委員長にして文芸部員。
 料理が得意で遠慮がちな性格のがんばり屋さん。
 と、いうか小柄で食いしん坊(授業中でもこそこそとつまみ食いするくらい)でちょこまかちょこまかと動き回る小動物系。
 こんなにあたふたとかてんてこまいとかいった言葉が似合うキャラクター、見たことありません。泣き虫だし。
 ちなみに、早口言葉が苦手。
 作中でもとろんとした垂れ目であることは言及されていますが、瞳よりも八の字眉毛というかハの字眉毛というか、とにかくあの素晴らしいラインの眉毛の方に目と心を奪われました。
 「固さ」や「厳しさ」や「完璧さ」といった委員長属性とは程遠い「委員ちょ」ではあるものの、 困っている人を放っておけない彼女とそんな彼女を放っておけない周囲の人々のおかげでなんとなくうまく行ってしまう「委員長マジック」によってクラスを薄ボンヤリとまとめている。

 彼女のシナリオは女のコが苦手な主人公と男のコが苦手な彼女による、青春という果実をグツグツ煮込んでジャムにしたみたいにトロトロの初々しいお話。
 自分にとってはビジュアルノベルの演出はまどろっこしく感じてしまうところがあって、それはTH2でも基本的には変わらないのですが、 彼女のストーリーの終盤→ED「ありがとう」(AKKO)→エピローグの流れと演出だけは例外でした。
 日常の積み重ねが最後に非日常的な「奇跡」を生み出した展開とそれを綺麗に描いた演出にはじん、ときました。
 実は彼女があそこまで思いつめなくても、ああいう解決方法をとらなくてもよかったのではないかという意見もあって、 それは全くもってその通りだと思うのですが、そのあたりもひっくるめて青春だなぁ、と。
 ところで、個人的には彼女に限らず全般的に立ち絵の方が一枚絵より魅力的に見えるのですけどどうなのでしょうか……ですか。

 尚、一応2005年の男性キャラクターも一人挙げておくと、炎凪(『舞−HiME』 テレビ東京 2004.10.-2005.03.)になります。声優は石田彰。
 一見銀髪の美少年風でにして愛読書が『蝿の王』(ウィリアム・ゴールディング←ノーベル賞作家)だったりする優秀な中学生であるにも関わらず、 その実体は敵である玖我なつきに対して「可愛いおしりが風邪でも引いちゃったー?」(←うろ覚え)とかセクハラ発言をして眉間に躊躇なく銃弾ぶっ放されたり、 上司である黒曜の君に対して性格が悪いとか人使いが荒いとか遠慮なく軽口を叩いて美袋命に大剣(ミロク)突きつけられたりしている懲りない中間管理職。 だからといって下克上等を企んでいるわけではなく、まめに段取りを組んで仕事はこなすし、 しんみりした台詞も吐ける。 そして敗北すると思いっきり悔しがるが、ただそれだけで潔く舞台から去っていく。 私もこういう大人になりたいです(オイオイ)。
 っていうかプレイヤーが炎凪になって段取りを組んでいく『舞−HiME』のゲーム、誰かつくってくれませんかね。絶対買うんですけどね。


甲斐高風 ★GRAND PRIX★へ
TOPへ