ラブラブ党に関する一考察 〜最強の刺客は誰だ?〜



 「GAME REVIEW」では、プレイヤーと『キャプテン・ラヴ』というゲームとの関係について考えてみた。 そこでここでは、『キャプテン・ラヴ』の世界そのものに身を投じてみたい。

 どうやら自然消滅してしまったらしいラブラブ党において最強の刺客は誰だったのだろうか?

 尚、今回の目的はあくまでも『キャプテン・ラヴ』の世界に浸る事なので、
「ラブラブ党とは恋愛における障害を具現化した装置であり組織そのものの整合性はゲーム内において求められてはいないのである」
「そもそも論撃とは主人公の心情をプレイヤーに理解させる装置であり論旨そのものの整合性はゲーム内において求められてはいないのである」
 とかそういうことをぐだぐだと語ってはいけない。
 また、あくまでもラブラブ党における最強の刺客なので、いくら苦しめられたとはいえ、永堀佳美&愛美の母娘等はここでは外すことにする。

 それにしてもラブラブ党、組織としてあまりにも脆弱だ。 まぁ、「愛を求めても得られなかった連中」が「愛にあふれるヒーローにして屈指の論撃使い」と論撃で対決したら負けるのは必至のような気もするが、 しかし、スカートめくりやモミモミやキスを論撃に取り入れるような邪道(笑)に負けてはいけない。

 とにかく全9話中党員が裏切ってないのは第3話と第7話のふたつだけ。 第1話で裏切るのは主人公(キャプテン・ラヴ)だからオマケするとしてもたったのみっつだ。

 と、いうわけで 第2話のラブ・ティーンズ(ラブ・ティーンズ ブルー)、第4話の幼稚園児部隊(CAT THE TEACHER)、第5話のウサ耳部隊(シングルバニーよりも鷹取が致命的)、第6話のサラリーマン部隊(マスク部長)、第8話の加賀屋忍女史、第9話の永堀義光書記長 は党議違反により早くも脱落である。書記長に至ってはラブラブ党のリーダーなのに!

 「泣く子と地頭には勝てない」の「泣く子」の方を体現しキャプテン・ラヴにも一時的には勝利した幼稚園児部隊がリーダー・CAT THE TEACHERが惚れた相手にモミモミされたぐらいで脱落してしまうのは心苦しいのだが、致し方ない。 あくまでもラブラブ党の刺客を謳うからには裏切者を出した部隊を挙げるわけにはいかないのだ。 そもそも主人公相手ではミイラ取りがミイラになる事を想定できなかったというのは戦略上の致命的なミスともいえる。
 ちなみに、「地頭」の方を体現したのはもちろん、誠意の味方ゴーージャス・ラブである。

 話は変わるがヤマガタ君、CAT THE TEACHERの離反にはあんなに悲しんだのに、ラブ・ティーンズ ブルーやシングルバニーの離反に対してはノーコメントというのはちょっと失礼ではないだろうか?

 閑話休題。
 では、残ったみっつを個別に見ていこう。

 第1話の敵はラブ・キャバリアーズ。
 裏部隊としてカップルを各個撃破しているらしいが、 キャプテン・ラヴに対してはあまりにも無策だった。 まぁ、キャプテン・ラヴの初登場なんだから仕方ないし、主人公一人で持っていた部隊の主人公が裏切ってキャプテン・ラヴになっちゃったんだから負けて当然という感じもする。
 ちなみに雑魚の印象が強いクラッシャー・アイアン関だが、彼もラブ・キャバリアーズNo.2を名乗るだけの強さがある。論撃に負けると「アイデンティティの崩壊」をもたらすらしいのに、全くそんな節は見せず、負けた翌日には完全に立ち直っている。 数少ない肉体派(ラブラブ党の活動が論撃という頭脳労働を中心に置いているので当然といえば当然のことで、明らかに肉体派だと思えるのはゲーム内ではわずか2名)であるため精神的ダメージしか通用しないはずなのにこのタフさ。 しかも論撃では勝てないと見るや肉弾戦に切り替える潔さ。 単純といってしまえばそれまでかもしれないが、それはそれで恐ろしい敵なのである。

 第7話の敵は水際部隊、ラブ・セイバーズ。
 主人公のイメージダウンという作戦はほぼ完璧だったのだが、せっかくキャプテン・ラヴ側が水に対して有効な対策を打てなかったのにわざわざ水から上がってしまったのはいただけない(終盤なので人手不足だったのかもしれないが)。 しかも、磯田はともかく局長・芹沢嘉門は(いかに主人公を永堀愛美の元に行かせないのが目的とはいえ)個別の愛を推奨しており、ラブラブ党の党議に反している。 確かに嘉藤美智先輩を薦めるというのは主人公にとっていろんな意味で有効な攻撃ではあるのだが。

 そして第3話の敵は軽音楽部・シェイクハンズ。
 表現手段として音楽を取り入れた事で、個別には相手の論撃を封じつつ、広く一般に強い洗脳力をもってメッセージを放つことに成功している。 これは第5話・ウサ耳部隊の作戦が論撃封じには成功したもののクシャミの所為で党側の論撃も聞いてもらえなかった事と対照的である(ちなみにこの際の「恋愛スパイス論」は個人的には必聴)。 しかも、今まで親バカ書記長の所為で人質として利用できなかった永堀愛美を、彼女の思惑を逆手にとって見事に人質として利用しつつ、広く一般の目を惹かせる道具としても利用している。 更にそこで歌われている論旨は珍しくラブラブ党として正統派の論旨で、個別の愛の脆弱さを説きつつ、愛の共産化のメリットを説いている。 他の党員みたいに自分の失恋話を延々としたりはしていない。
 まともだ、まともだぞ、好青年・槙田彦麿(マッキー)!
 しかも彼は、恐らく主人公離反後の党員の中ではかなり二枚目の部類に入るはずだ(ヴィジュアル的にもシェイクハンズの求心力は脆弱ではない)。 それなのにどこかの党員みたいに他の女性にヨシヨシされたりすることなく、愛の共産化運動に邁進している。 彼よりも論撃的才能に優れるキャプテン・ラヴと彼よりも音楽的才能に優れるメロディ・ラヴが「愛」の元にがっちりと手を組んだシューティング・ラヴには敗北したものの、 メロディ・ラヴがいなかったら間違えなくキャプテン・ラヴが敗北していただろう。 しかも、ちゃんとメロディ・ラヴの正体も見抜き、妨害工作もしている(やっぱりシューティング・ラヴの「愛」の前に失敗したけど)。
 まともだ、まともだぞ、好青年・槙田彦麿(マッキー)!
 敗北後もそのまま党に留まっているし、君は偉い!

 よって、好青年・槙田彦麿(マッキー)率いる軽音楽部・シェイクハンズをラブラブ党最強の刺客として認定したいと思う。
 ただひとつ、疑問が残る。それは――

そんなに偉い好青年・槙田彦麿(マッキー)ともあろう男が、どうしてラブラブ党なんかに入党したのだろうか?


「全ての人々にラブを!」
「愛の共産化のために!」


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