2012年




『Another(上下)』(綾辻行人/角川書店 2009.10 → 角川文庫 2011.11)
本・特別賞『まだ恋ははじまらない… "Love has not begun"』(蘇部健一/PHP研究所 2012.09)
ノミネート全56作

『Another(上下)』
 <死者>は誰――?

 1998年、東京からちょっとタイミング遅れの転校生としてやってきた榊原恒一は初登校日だったはずの日に2度目の自然気胸によって入院することに。 そしてそこで左目を白い眼帯で覆った少女・見崎鳴と出会う。 退院後、夜見山北中学校三年三組に転入した彼はクラスメイトだった彼女に再会するが、彼女はクラスからまるで<いないもの>のように扱われており、このクラスは26年前のあることをきっかけに始まった『呪われた三年三組』だった……。

 第10回本格ミステリ大賞小説部門候補作(受賞作は『密室殺人ゲーム2.0.』(歌野晶午/講談社)と『水魑の如き沈むもの』(三津田信三/原書房))にもなった綾辻行人の「新たな代表作」(文庫版あとがきより)。
 地方都市の公立中学校という舞台は、ミステリやホラーにうってつけの閉ざされた世界であり、これは綾辻行人のホームグラウンドである。
 そして地方都市の公立中学校という舞台には、中学3年生という青春小説にうってつけの登場人物が揃っている。
 つまりこれは、挿絵こそないものの綾辻行人が全力を出したライトノベルと言える一品なのである。
 ストレートど真ん中のボーイ・ミーツ・ガールだし、ヒロインの見崎鳴は眼帯少女(あざとい!)だし、「うつろなる蒼き瞳」とかちょいちょい中二要素が入ってるし(中学三年生だから無理ないんだけど)。
 これを漫画やTVアニメ(や実写映画)にしようというのは頷ける。
 TVアニメなんか見崎鳴が『パルプ・フィクション』(1994年)ばりにダンスする(?)し。
 オリジナルエピソードで水着回もあるし。


TVアニメ Another 公式サイト  →  STORY
  第8話 Hair stand <紺碧>の画像にカーソルを合わせると……
  第6話 Face to face <二人>の左上で動いている見崎鳴にカーソルを合わせると……


 それでいて本作はちゃんと「ホラーとミステリの融合」(文庫版解説(初野晴)より)していて、それも高レベルで融合していて、文庫版だと上下巻であるにも関わらずするすると最後まで読み進んでいったらものの見事に騙されて、え、これどうやってアニメ化するのと思って慌ててまたTVアニメ公式サイトを見に行ったり。
 こんなもの書かれたら凡百なライトノベルなんか吹っ飛ぶよなぁ。

 余談。 → 参考資料ネタバレ備忘録


 ところで『安楽椅子探偵』の最新作はまだですか。

『まだ恋ははじまらない… "Love has not begun"』
 「本屋さんではじまったはず・・の恋の行方は? toi8氏の豪華13枚のイラストで贈る切なくも心ときめく純愛ストーリー!ネタバレの恐れがあるので、パラパラしないでください。」(帯より)

 『偶然の恋』というタイトルの恋愛小説がきっかけではじまる、まだ恋ははじまらないうちからはじまる、伊藤まなみと島本浩介の恋愛物語。

 著者略歴が「1997年、第三回メフィスト賞を受賞してデビュー。おもな著作に、『恋時雨』(講談社)、『赤い糸』(早川書房)、『古い腕時計 きのう逢えたら…』(徳間書店)などがある。」と、『六枚のとんかつ』シリーズ路線をうまく隠しているが、そうはさせないぞ。

 「待ってる時間もデートの内でしょ。デートの時間は、長い方がいいもん。」(古賀春華 『H2』あだち充/小学館)とはいうものの、物には限度というものが。

 絵本や漫画とは異なる意味で「文章と挿絵が融合した作品」という観点からみれば、これはライトノベルである。
 しかも、大半のライトノベルの挿絵は作品の魅力を増すためだけに描かれているが、蘇部健一作品の挿絵は作品のストーリー上重要な意味が込められて描かれている。
 だから、実はパラパラして挿絵だけ見てしまってもそこに込められた重要な意味がわからなかったりする。
 例えば、読み終わって最後のイラストを見てから表紙を見るととても驚くのだけど、パラパラして最後のイラストと表紙だけ見ても運命の恋の結末がどうなったのかはわかっても、運命の恋の結末がどうしてこうなったのかは、きっとわからない。
 その代わり、ちゃんとページを繰って見た挿絵の破壊力は尋常ではない。
 なんじゃそりゃコラの連続。
 蘇部健一作品の中でも一番効果的に機能しているのではないだろうか。


 ちなみに、2012年の作家は2006年、2007年、2010年に続き、9作の西尾維新


 そして、2012年の漫画家は『機動警察パトレイバー』『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』(小学館、廉価版)で12作のゆうきまさみ


参考資料甲斐高風のBOOK LIST(綾辻行人)
参考資料甲斐高風のBOOK LIST(蘇部健一)
参考資料甲斐高風のBOOK LIST(西尾維新)
参考資料漫画家作品年表(ゆうきまさみ)


TVドラマ『ATARU』(TBS 2012.04.-2012.06.)
ノミネート全44作
 


TVアニメ『未来日記』(テレ玉 2011.10.-2012.04.)
役者吉谷彩子(『謎の彼女X』東京MX 2012.04.-2012.06.)
ノミネート全54作

 『未来日記』はえすのサカエ原作。
 オープニングテーマ「空想メソロギヰ」(妖精帝國)→「Dead END」(飛蘭)、エンディングテーマ「Blood teller」(飛蘭)→「filament」(妖精帝國)。

 携帯電話に周囲の見聞きしたこと全てを日記につける(+ダーツ+中二病)くらいしか楽しみがなかった中学2年生・天野雪輝。
 彼の空想上の存在であったはずの時間と空間を支配する神である時空王デウス・エクス・マキナによって彼の携帯電話は未来が予知できる日記=未来日記のひとつ「無差別日記」に、彼は未来日記の所有者の一人・1stに選ばれてしまう。
 そして未来日記の所有者12人による次の神の座を巡るサバイバルゲームに巻き込まれることに。
 本来このサバイバルゲームは12人の未来日記所有者で最後の一人まで争う形式なのですが、初戦で1st・天野雪輝が自分が死ぬ予知・「DEAD END」を覆したことから、12人による乱戦混戦ではなく基本的に彼を狙って残りの未来日記所有者が襲ってくる形式に。

 本作はヒロイン、我妻由乃を愛でる作品です。
 本作は12人の未来日記所有者をはじめとして登場人物がみんな個性的で魅力的なのですが、その中でも彼女は突出しています。
 才色兼備な天野雪輝のクラスメイトとは世を忍ぶ仮の姿、その正体はバトルヒロインもある意味ここに極まったと言える天野雪輝、もとい、ユッキー一筋なヤンデレヒロインであり、2ndである彼女の携帯電話=未来日記も「雪輝日記」(要はストーカー日記)。
 ゲーム版『未来日記 13人目の日記所有者』→『未来日記 13人目の日記所有者 REWRITE』(プレイステーション・ポータブル/角川書店→角川ゲームス、2010年1月28日発売→2012年4月26日発売)でも ヤンデレオペレーションシステムだの初回限定版特典・ヤンデレお休みセット「由乃はいつもそばにいるよ。」(「ヤン由乃とデレ由乃・添い寝枕カバー」囁き声が収録された「ヤン由乃とデレ由乃・お休みCD」) だのとその魅力を余すことなく発揮してくれているようです。


PSPソフト「未来日記 13人目の日記所有者 REWRITE 」公式サイト


 あと私事なのですが、『みなみけ 〜おかわり〜』以後素直に「アスリード制作・細田直人監督作品」が楽しめたことは望外の喜びでした。

 以下最終回について。
 あっちここっちも幸せそうだなオイ。
 9th・雨流みねねの二人の子供のうち一人浮いてたように見えたのは見間違いじゃなかったのか。
 原作のラストシーンをあえてカットしたのもそれはそれで余韻が残ってよかったようにも思うんだけど、その後その余韻をぶった切るように表示された「NEXT PROJECT始動!」って何ですか。
 TVドラマ版『未来日記 −ANOTHER:WORLD−』とは別のプロジェクトがあるんですか。
 とか書いていたらどうやらラストシーンの前の出来事について描く『未来日記リダイヤル』とやらが出るようで。

 2012年の役者には『謎の彼女X』卜部美琴役の吉谷彩子を。
 『謎の彼女X』は植芝理一原作。
 転校生(高校2年生)・卜部美琴は目隠れ+よだれで感情をやりとり+白パンツにハサミを挟み込んで常備している謎の彼女。
 卜部美琴のよだれは粘度といい量といい嬉しいと口から溢れちゃうところといいよだれではない別の何かなんじゃないかと。
 吉谷彩子は本作で声優デビューした女優であり、所謂声優演技ではなかったので卜部美琴の声とあっているかというと、どうなんだろう…そんなふうに考えていた時期が自分にもありました。
 吉谷彩子が声優に、視聴者が吉谷彩子に、椿明が卜部美琴に慣れていくシンクロ感は素晴らしかった。
 この作品を知らない人にどのシーンを切り取って説明しようとしても変態にしか見えないのに(よだれ以外の例:裸段ボールキャストオフ)、実は青春物語過ぎて困る。
 オープニングテーマ「恋のオーケストラ」&エンディングテーマ「放課後の約束」も吉谷彩子。
 こちらも本作が歌手デビューでオススメ。

 余談その1。
 アニメで聞くまで主人公の名前が椿明(「つばき」あきら)だということに気づいていませんでした。
 余談その2。
 もうこの作品の世界観にも慣れたぜーと思って食事しながら見ようと思ったらうまくいきませんでした。
 まだ自分には他人のよだれをみながら食事をするのは早かったようです。


邦画『LIAR GAME REBORN −再生−』(2012年)
ノミネート全21作
 甲斐谷忍の漫画原作。
 2007年と2009年の2度のTVドラマ化を経て2010年映画化した作品の続編。
 帝都大学心理学教授・秋山深一(松田翔太)と帝都大学卒業式直後の(元)女子大生・篠宮優(多部未華子)が巻き込まれた対戦相手と騙し合いマネーを奪い合う「LIAR GAME」の物語。
 今回のゲームは20人で戦う「イス取りゲーム」。
 と、いうわけで原作にあったゲームなのにまた騙された!
 前作の映画で物凄い綺麗に終わったのに、ヒロインを変えての「再生」に意味あるのかなぁと思ったけど、「馬鹿正直のナオ」からヒロインの性格が変わる&秋山深一との関係がリセットされることにちゃんと意味がありました。
 旧キャラ勢もストーリー上の必然性もわかるしファンサービスとしてもわかるしよかった。

 でも初悪役として宣伝で釣りまくっていた芦田愛菜(&江角マキコ)はなんだったんだ。
 いや、芦田愛菜が悪役を演じること自体は別にいいんですよ。
 芦田愛菜が悪役を演じるから観に行こうと思う層がそんなにいるとは思えないけど、芦田愛菜が悪役を演じるから観に行くのをやめようと思う層もそんなにいるとは思えないので。
 ただせっかく悪役を演じるというのならちゃんと悪役を演じさせてあげればよかったのに。
 例えば思いきって船越栄一郎が怪演したカルト教団教祖・張本タカシ役でも演じさせてあげればよかったのに。
 フィクションの世界でカルト教団教祖が少女というのはしばしばあることなんだし。
 ちなみに芦田愛菜演じるアリスが主役のスピンオフドラマ『アリス IN ライアーゲーム』は未見なのでそこでちゃんと悪役してたらごめんなさい。


参考資料★2010年★  邦画『LIAR GAME The Final Stage』(2010年)


洋画『メン・イン・ブラック3(Men In Black 3)』(2012年:アメリカ)
ノミネート全12作
 地球外生命体(エイリアン)を監視する秘密組織に属する黒衣の男(メン・イン・ブラック)という都市伝説を元にしたSFアクションコメディ映画、MIBシリーズ第3弾(第1弾は1997年、第2弾は2002年)。
 ウィル・スミス(エージェントJ)、トミー・リー・ジョーンズ(エージェントK)、ジョシュ・ブローリン(エージェントヤングK(40年前のK))主演。
 いつ聴いてもMIBシリーズのテーマ曲(毎回変わる主題歌ではなくて)はいいよね。
 MIBは実はかなりバディムービーとして出来のいいシリーズだと思うのですが、今回もJとKのおかしな二人っぷりは健在。
 ただし今回は途中で敵によってKが40年前に亡くなったことに歴史が書き換わってしまいJが40年前にタイムジャンプしてヤングKと組むのでトミー・リー・ジョーンズの出番が少なかったりするのですが。
 ちなみに映画館で吹替3D版を観たのですが吹替だとKとヤングKの声が同じだった、それもサントリーの缶コーヒーBOSSのCMでトミー・リー・ジョーンズ演じる宇宙人ジョーンズの吹替をしている谷口節だったおかげで、よりストーリーにのめりこめやすかったような気がしました。
 吹替版は他にもシリーズお馴染みのJ=江原正士、今回の敵・ボリス(ジェマイン・クレメント)=中田譲治、グリフィン(マイケル・スタールバーグ)=三ツ矢雄二、そして江川央生&釘宮理恵とみんな適役でした。
 それはそれとして1を見たときはKは一途なのかと思っていたら、2のザルタ星王女ロラーナといい3のOといい割とロマンスの多い人生のような。
 あと今回はいい意味でも悪い意味でも話がまとまっていたので、ハチャメチャな地球外生命体や奇想天外なガジェットや荒唐無稽な感じは減っているような気がしましたが、話がまとまっていた分最後にはじんとしました。
 流石に4はないだろうしね。
 ところで前作から10年経った結果、1&2でレギュラーだったZとパグのフランクが。Zとパグのフランクが。

 余談だけど、この映画は友人と『映画ドラえもん のび太と奇跡の島〜アニマルアドベンチャー〜』を観に行った映画館でやっていた予告編を観るまでその存在を知らなかったのでとてもびっくりしました。
 友人も知らなかったらしくとてもびっくりしていました。

 最後に、謹んで谷口節のご冥福をお祈りさせていただきます。


アニメーション映画『フランケンウィニー(Frankenweenie)』(2012年:アメリカ)
ノミネート全12作
 科学と映画が好きな10歳の少年ヴィクター・フランケンシュタイン(!)と愛犬・スパーキー。
 不幸な交通事故で愛犬スパーキーを失ったヴィクターは禁断の実験でスパーキーの蘇生に成功するが……。

 ティム・バートン監督のストップモーション・アニメにしてディズニー映画。
 1984年の同監督の幻のデビュー作であった短編実写作品の長編リメイク。
 白黒3D吹替版を観劇(白黒映画の3Dは初めてと聞いたけど本当でしょうか)。
 フランケンシュタイン家の屋根裏部屋の秘密基地感は異常。

 登場人物も多彩で、それも大人よりも町長の姪・エリザ・ヴァン・ヘルシング(!))&飼い犬・ペルセポネ(!)、猫背男・エドガー、フシギちゃん&飼い猫・おヒゲくん、出来損ないの出木杉君・トシアキ、デブのボブ、知的なジャイアン・ナソルといった子供達の方が魅力的なのですが、本作で一番魅力的だったのは理科のジクルスキ先生。
 「科学者」としてマトモでユーモアもあって台詞が名言だらけで困る。
 うろ覚えだけど「みんな科学の恩恵は受けたがるが誰も内容を理解したがらず質問を嫌う」とか、1度目に楽しくやった実験はうまくいって2度目につまらなくやった実験はうまくいかなかった事に対して「君が変数を変えたのだ。実験で最も大切なことは、心を込めることなのだ」とか言える人。

 後半パニック映画化した後の解決方法が絶妙すぎる。
 と、いうかあの絶望的な状況で心折れないヴィクターが強すぎる。
 ヴィクターは「科学者」で実は容姿も運動神経もやる気も悪くない完璧超人の素養があるのに、恋愛要素はスパーキーとペルセポネとの間にしかなかったりする。
 そしてTHE ENDの出るタイミングのおかげでハッピーエンドのように演出しているが、その陰で1匹の尊い犠牲が。
 あと多分本作は映画史上シーモンキーが一番活躍した映画。

 豆知識その1。
 人に見せないように人差指と中指をクロスさせるハンドサインは嘘をついているの意。
 豆知識その2。
 本作にオランダ・デーが出てくるのは舞台がニュー・オランダだから。


ゲーム『オレは少女漫画家』(CEROレーティングD:17才以上対象、販売:ホビボックス、発売:PotatoSoftware/プレイステーション・ポータブル UMD版:2012.02.23. ダウンロード版:2012.05.31.)
ノミネート全24作
 制作:Giza10。
 或いは『モノごころ、モノむすめ。』『メイドさんと大きな剣』『遊撃警艦パトベセル 〜こちら首都圏上空青空署〜』『学園☆新選組! 〜乙女ゴコロと局中法度〜』『ぱいタッチ!』等でお馴染みの原画:あかざ×シナリオ:箒星。
 あ、自分は『モノごころ、モノむすめ。』のマリネゴン、もとい、意地っ張りな妹・向塚茉莉音や『遊撃戦艦パトベセル 〜こちら首都圏上空青空署〜』のGカップ整備主任・篠原伊月が好きです(←聞いてない)。
 あと『メイドさんと大きな剣』のロボメイド・環零那や『学園☆新選組! 〜乙女ゴコロと局中法度〜』の小柄で無口な三番隊組長・斉藤初音も好きです(←きりがない)。
 余談だけど作中で主人公が「メイけん」って叫びながらクラウドナックルでぶっ飛ばされるまで『メイドさんと大きな剣』のことをずっと「おおきなつるぎ」だと思っていましたが「おおきなけん」だったんですね(←余談にもほどがある)。
 ジャンルはドタバタ漫画家アドベンチャー。
 惹句は「漫画家、あなた」
 オープニングテーマ&エンディングテーマは「全世界待望!純愛ロマンス」「君に花束を 空に恋話」(井上みゆ)、挿入歌に「ポジティブルール」(歌:高杉ハルカ(CV:青葉りんご)、作詞:宮沢ゆあな(黛沙耶香役、Cheerful+Colorful))。
 週刊少女漫画誌コミックチャームで天才としてデビューしたものの今や4作連続打ち切りになり後がない少女漫画家である主人公(男子学生)が起死回生の策として女装して美少女漫画家で売り出していくという物語。

 PC成人指定ギャルゲーメーカー、May-Be SOFTのスタッフがPSPで放つ、移植ではないオリジナル完全新規タイトルギャルゲー。
 こんなもの以前からメーカーのファンだった人にしか需要がないかと思いきや体験版の配信があったおかげか意外に話題になっていた。
 潜在的需要はあるのだろうか。
 あかざ原画も箒星シナリオもクセがあるのでどうしても合わない人もいるだろうから、体験版で事前に試せるというのはよかったと思う。
 そのおかげかUMD版は概ね捌けてしまったみたいだし、PSVita発売後なのに体験版も配信したのにダウンロード版がなかったりするので入手しにくいのが困りもの。ダメじゃん。

(2012年5月25日追記) ……と、思っていたらダウンロード版が「PS Vita対応」「UMD Passport対応」で発売されることになった。やるじゃん。
 PSVitaでは表紙デザインシステムでユーザー画像が使用できないみたいだけど、あれ使用したことある人どれだけいるんだろう。

(2014年9月22日追記) しかもPlayStation Plusの「UMD Passport対象タイトルを「フリープレイ」で配信中!」第2弾(2014年10月1日〜2014年10月14日)の配信タイトルの中にしれっと入っていた。やるじゃん。

 所謂紙芝居ギャルゲーだけど、だからこそわかる実力というものもあり、オート再生、既読スキップ、既読部分の色替え、ボイス再生可能なバックログ、スクリーンショット撮影、差分でも画像が追加されると「NEW!」が表示されるピクチャーモード、クイックセーブ、80個作れるセーブと必要なものは一通り揃っている。
 そしてここのスタッフ定番の漫符(〜♪、Σビックリ、閃き・感知線4本、笑い・喜び線3本*2、汗、あせあせっ、溜息、「…」、キラキラ、怒りマーク、ゴゴゴゴゴゴ...、目がキラーン、縦線||||、♥、「(ぐちゃぐちゃ線)」)やアップ、集中線、興奮や恐怖で体が揺れる、SDキャラによる2コマアニメが駆使された小気味いい演出でテンポよく話が展開されていく。
 今作のシステムで特徴的なのは「ボキャ典」で、これは「少女漫画業界」「あかざ×箒星ワールド」「ネットスラング」等の業界用語についてフォローと小ネタを入れているという用語集。
 それだけではなく、くるっと一回転する画像やスクロールしないと全身が見られない画像の全体像を収めていることもあったりする。
 反面所謂紙芝居ギャルゲーとはいえ共通ルート中にヒロインを選んでイベントをこなして個別ルート(か打ち切りエンド)に入っていくしかゲーム性がない(選択肢の類すらない)というのはあんまりな気もする。
 せめて個別ヒロイン一筋以外の選び方でハーレムルートとか番外編とかに入れてもよかったのではないかと。
 シナリオについては、
「作中に普通に出てくる過去作品のキャラクターを「ボキャ典」で解説しつつその過去作品に興味を持たせるようにしていて、こいつら本気であかざ×箒星ワールドをコンシューマに持ち込もうとしているなぁ」
「今回は主人公が創作者である分シナリオの軸がしっかりしている代わりに、主人公とヒロインとの関係が恋人とのイチャイチャというよりは戦友みたいな感じになることが多かったなぁ」
「PC成人指定への移植を希望する人もいるみたいだけどお色気イベントがPSPだからこその見えないギリギリの攻防をネタにしていたりするので移植しちゃうと逆にこの面白さが消えちゃうような気がするなぁ(ちなみに発売が遅れているうちにPSPでも割と普通に見えることが多くなっちゃったのはご愛嬌)」
「女装主人公ものとして過度な期待をしちゃった人にはごめんなさいしないといけないんじゃないかなぁ」
と、いった感じ。

 個人的にオススメのヒロインは幼馴染のアシスタント・羽鳥ヒスイ。
 誕生日は2月14日、血液型はAB型、身長は157cm、3サイズはB95cm−W58cm−H93cm、声優は中田順子。
 毒舌&一途・多才・巨乳と心・技・体揃った最強の幼馴染にして仕事上のパートナーなのに、最強の幼馴染にして仕事上のパートナーゆえに、案外報われなかったりもする娘。
 心・技・体に加えてメイド服&スク水まで揃えているのにね。
 オススメのイベントはもちょこい。
 全てのコンシューマギャルゲーはもちょこいイベントを入れるべきだと思うんだ(←ただのくすぐりフェチじゃないか)。
 余談だけどはじっこでニヤニヤしている彼女のスクリーンショットをPSPの壁紙にしたら想像以上にキモかった。
 その時のシチュエーションとか考えるとカワイイんだけどね。


「ずっと好きな事のど真ん中で命を燃やせ!」(オープニングより)





キャラクター北嶌沙綾、三堂綺理(『期間限定いもうと。』長岡マキ子/富士見書房)
 

 尚、一応2012年のキャラクター・次点を挙げておくと、折木奉太郎、千反田える(『氷菓』テレ玉 2012.04.-2012.09.)になります。
 『氷菓』の原作は米澤穂信のミステリ(所謂「日常の謎」系)・<古典部>シリーズで、折木奉太郎&千反田えるは主人公&ヒロイン、或いは「やらなくてもいいことならば、やらない。やるべきことなら、手短に」なシャーロック・ホームズ&「わたし、気になります!」な依頼人(オイ)、或いは氷菓ップル。
 余談だけど千反田えるの「わたし、気になります!」等で御馴染みのあの特徴的なきらきら輝く瞳を見ていると、いつか本で読んだ瞳を宝石のように蒐集する猟奇犯の気持ちが理解できそうで怖いです。


参考資料甲斐高風のBOOK LIST(長岡マキ子)


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