すべての、特に入院中の幼かった私にトランシーバーを届けてくれたサンタクロースに――


どうしてサンタクロースが子供達にプレゼントをあげるのか、知っていますか?


 4世紀頃、リュキアの首都ミュラの町(現在のトルコに位置する)に聖ニコラウスという司祭がいました。 彼は困っている人々・貧しい人々を数々の奇跡や贈り物で助け、死後も子供、乙女、船乗り、学生、パン職人、肉屋の守護聖人とされました。 彼の命日12月6日に開かれるようになった聖ニコラウス祭で子供達にプレゼントにあげるようになったのが、サンタクロースのはじまりだと言われています。
 そう考えるとクリスマスに乙女に貢がされるのも納得できそうですが、彼女達に貢いでいるのは哀れな男性達であってサンタクロースではありません。 聖ニコラウス祭以来、サンタクロースにプレゼントをもらえるのは困っていなくても貧しくなくても常に子供達であり、困っていても貧しくても船乗り、学生、パン職人、肉屋ではありません。
 しかも、トルコ出身のサンタクロースは、今や世界中で様々な姿で目撃されており(オランダでは白馬にまたがっていたり、オーストラリアではサーフィンをしていたり、フィンランドでは小人の部下がいたり、イタリアやロシアではおばあさんだったり)、 人口増加にもくじけることなくプレゼントをあげています。 これはサンタクロースが増えているとしか考えられません。

 一体全体どうなっているのでしょう?

 これは長年の謎でしたが、ある時ある台詞に出会った途端、解決してしまいました。それは、
「先輩から受けた借りは先輩に返そうと思うな。後輩に返してやるんだ」
 という台詞でした。
 つまり、サンタクロースという「先輩」からプレゼントをもらった者は、いずれ「後輩」にプレゼントを返さなくてはいけないのです。 サンタクロースが「先輩」なのはあのたっぷりとした白い髭を見ただけで明らかですし、サンタクロースが「後輩」として子供を選ぶのも、子供が「後輩」なのが一目瞭然だからでしょう。

 はじめは一人の聖ニコラウスだったのかもしれません。しかし、プレゼントをもらった者が新たなサンタクロースとなって親から子へ、子から孫へ、と未来に向ってプレゼントを返し続けているのです。

 貴方はサンタクロースにプレゼントをもらったことがありますか?
 あるのなら、貴方もいずれサンタクロースとしてプレゼントを返さなくてはいけません。
 でも、心配する必要はありません。
 プレゼントをあげるのは、プレゼントをもらうくらい楽しいことなのですから。

 今年もクリスマスがやってきます。
 サンタクロースがやってきます。
 プレゼントと共にやってきます。

 未来へ贈るプレゼント。
 中身は一体何でしょうか?


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